「【”90dBの喧騒の街NYから変容した0dBの静寂の死の街NYで生きる。”今作はハラハラドキドキ感は初作、次作と同様だが、前作までの非情なまでの乾性な風合から情緒感溢れる風合に変容した作品である。】」クワイエット・プレイス DAY 1 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”90dBの喧騒の街NYから変容した0dBの静寂の死の街NYで生きる。”今作はハラハラドキドキ感は初作、次作と同様だが、前作までの非情なまでの乾性な風合から情緒感溢れる風合に変容した作品である。】
ー このシリーズの第一作が面白かったのは、主人公のアボット一家が正体不明の音に反応し、襲って来るクリーチャーが跋扈する中、幼子のボーを失いながら、妻のイヴリン(エミリー・ブラント)が声を立てないように赤子を産みつつ夫のリー(ジョン・クラシンスキー:監督・脚本&エミリー・グラントの旦那さん)は家族のために命を投げ出し、第二作では残されたイヴリンたち家族が、尋常でない緊張感の中、赤子を育てつつ生き残って行く様を描いていたからである。-
◆で、今作の感想・・で、少し気になった点
・DAY1だから仕方が無いのは重々承知の上で、ルピタ・ニュンゴ演じる鎮痛剤であるフェンタニルを肌に貼りながら痛みを堪える末期の病を抱えるサミラと、死を恐れるジョセフ・クイン演じるサラリーマン、エリックが、ひそひそ声ながら矢鱈に喋る。
危機管理能力が無いのかと思う位に喋る。
第一作、第二作ではアボット一家は、皆手話でコミュニケーションを取っていたのと大違いである。
けどマア、DAY1だからね。
・クリーチャーが視覚に矢鱈に入る事で、恐怖感が減じている。お化けはチラリと見えた方が怖いとはよく言うが、今作ではクリーチャーが見えすぎなのが気になる。
・サミラが飼っている猫が啼かない。敵が現れたら毛を逆立てて唸り声を上げると思うのだが、クリーチャーが跋扈する中、傍若無人に歩いている。
観ている方は、いつ猫が啼くのかハラハラするのだが、ここでの猫の役割は私は第一作、第二作での赤子の役割と思っていたので、クリーチャーの前で”ニャー”と啼いて欲しかったなあ。
けれども、今作でこの猫の存在は作品のハラハラドキドキ感を高めているのは間違いない。
■で、今作の感想・・で、良かった点
エリックが、余命僅かなサミラの為に、必死に彼女の自宅に連れて行きフェンタニルを彼女の肌に貼ってあげてから、想い出に浸らせてあげたり、彼女の好きなピザを必死に取りに行って食べさせてあげたりする姿。
サミラも、エリックを助けるために危険を冒して音を立ててクリーチャーを誘導し、愛猫をエリックに託し、海中に飛び込ませ逃げさせるシーン。
そして、余命僅かな彼女が誰も居ないNYの広い道でヘッドフォンで音楽を聞いていたが、そのヘッドフォンを外して”人間の尊厳を保つ覚悟を持って”好きな音楽を晴れ晴れとした表情で聴くラストシーンは沁みたなあ。
彼女のお陰で、エリックは船に辿り着き、生き残るのである。
その後は、第二作のラストで描かれた通りである。
<今作の感想を、個人的に感じた気になった点、良かった点で分けて記載したが、今作ではジョン・クラシンスキーは製作に回っている。
敢えて、第一作、第二作の非情なまでの乾性な作品から、情緒を漂わせた作品にシフトチェンジしようとしたのかな、と思った作品でもある。>