「忘れていく悲しさと、思い出される怖さ」かくしごと kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
忘れていく悲しさと、思い出される怖さ
認知症ドラマとして忘れられない『明日の記憶』。その若年性アルツハイマー症を患った主人公が渡辺謙だったが、その娘である杏が介護する側に回るというのは因縁さえ感じてしまう。しかし、絶縁状態だった親子関係が介護認定から施設入所という安易な考えに支配されていて、それほど親子愛が感じられないことも興味深いところだ。
一方で、一人息子を海で亡くしてしまった過去のある千紗子(杏)。少年の記憶喪失を利用して自分の息子だとして育てようとする千紗子。楽しい一家の思い出もどこかで綻びが現われるはずなのに、自分自身を取り戻そうと頑張る彼女の姿もいつしか共感してしまう・・・が、それは誘拐罪という犯罪です!
DVを受けている子どもを庇いたい守りたい。そうした母性でのみ行動して、詐欺まがいの行為まで及んでしまう。やり過ぎな設定ではあるけれど、色んな隠し事で固められ、砂上の楼閣でも作るかのように新しい家族を作り上げようとする行為には法を除外し人道的な見地でのみ成り立っているのです。
全ての責任を被ろうとして心臓を刺した行為では虚しくもなりましたが、まさかの息子が証言台で自分をお母さんだと主張したことに涙。この子、上手すぎ!最も大きな嘘は彼がついていたものだったんですね・・・もし、あのまま警察に届け出ていればと考えると、ちょっと怖い。佐津川愛美の飲酒運転、公務員の懲戒免職は確定だし・・・
共感ありがとうございます。
杏さんは唐田さんを干した人・・と先入観が在ったのですが、今回のなりふり構わぬ演技で相当見直しました。妙なエロさにも打たれ、結局全て東出くんが悪いんじゃないか!