「ラストでストンと腑に落ちる・・・これで良かったんだ、と。」かくしごと 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストでストンと腑に落ちる・・・これで良かったんだ、と。
虐待を受けていたらしい少年を匿い母親として、
大切に暮らし始めた千紗子(杏)
それは世間的には誘拐に当たる事。
事故で記憶を無くした少年に拓未(たくみ)と名づけて、
「きみは未来を切り拓く子なんだよ」と由来を告げる千紗子。
認知症の父親孝蔵(奥田瑛二)と祖父・母親・息子3人の
細やかな幸せは、
義父の犬養(安藤政信)が、家を探し当てて訪れた日に暗転する。
「一億円で譲ってやるよ」
そう脅す犬養を拓未がナイフで刺したのだ。
死にかけた犬養を千紗子は決意して、
とどめを刺す。
絵本作家の千紗子が東京から認知症の出た父親の看病に
長崎の山奥を訪れた日に、誰一人こんな展開は思いも
付かなかった。
千紗子は学生結婚して出産した5歳の息子を
海の事故で亡くしていた。
欠落を埋めるようにして現れた少年は、
本当は前世の息子だったのではないか?
拓未(犬養洋一)は、あの事故の日。
高い橋の上から、義父に“バンジージャンプ“を強いられて、
川へ落とされたのだ。
これって立派に殺人・・だよね‼️
洋一は死んだんだよ。
記憶を無くしたことにして少年は千紗子の息子の拓未に
生まれ変わったのだ。
自分からそれを選んだのだ。
もし世間の常識通り、千紗子が警察に届けて、
実の母のいる鬼畜の義父の家に戻っていたら?
早かれ遅かれ洋一は殺されていただろう。
ここで私は思った。
常識や法律で護れない子供がいる。
千紗子は命懸けで1人の少年の未来を護った。
大きな代償は払ったけれど、
これで良かったと思う。
(殺すしかない鬼畜がいる)
だからラストはストンと腑に落ちる。
千紗子にも拓未にも「明日」が開ける。
人間の作った法律は万能ではないとの欠陥を知る
映画だった。
杏さんの好演と少年役の中須翔真くんの、嘘のない演技が
支えていました。