劇場公開日 2024年6月7日

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「久米田康治?じゃない!」かくしごと 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0久米田康治?じゃない!

2024年6月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

2024年映画館鑑賞53作品目
6月22日(土)イオンシネマ新利府
ハッピーナイト1300円
21時30分の回

原作未読
原作のタイトルは『嘘』
監督と脚本は『生きてるだけで、愛。』の関根光才

是枝系社会派ヒューマンミステリー

杏にとっては『オケ老人』以来久々の主演映画

粗筋
東京の大学に在学中に妊娠し出産した息子をのちに海難事故で失った過去を持つ絵本作家の里谷千紗子
離れて暮らす父が認知症を発症した
7年ぶりに帰郷し再会した千紗子だったが父は娘を忘れていた
すぐにでも介護施設に預けて東京に戻りたい千紗子だったが空きのベッドがなかなか見つからず難航した
古くからの地元の友人の久江と居酒屋で飲んだ帰り道に偶然遭遇した虐待児犬養洋一を実家に引き取り実の息子のように育て始めた千紗子
久江から誘拐になると注意を受けるも虐待を繰り返す親元に帰すことになることなるため警察に引き渡すわけにはいかなかった
犬養洋一は記憶喪失の様子で自分の名前さえ覚えていなかった?
そこで千紗子は洋一に自作の絵本に登場する「拓未」と名付け自分の息子として自分の姓の里谷をつけた
認知症の祖父と他人の息子との共同生活が始まった

杏の代表作と言っても過言ではない
ブラーヴァ!
今更ながら背が高いことが若干気になるがガンダムやイデオンやエヴァンゲリオン同様徐々にそれも慣れてくる

さすが安藤サクラの父親
はじめは奥田瑛二とわからなかった
貫禄の名演技に賞賛の拍手を送りたい

中須翔真演じる里谷拓未の笑顔がかわいい
子役の熱演も高く評価したい

生真面目な千紗子に対して少々アレな友人の久江がちょうど良い緩衝役になっている感じ
彼女の存在もまたこの作品では重要でいるといないとでは大違い
ヤフコメ民やX民はなにかとけしからんと感じるキャラだろうが自分は子供の頃から模範的な人間ではないのでわりと受け入れることができる
流石に居酒屋でビール2杯(おそらくジョッキ2杯)を飲んで車を運転することに対しては「えー」とドン引きしたけど
おそらく2次会費用より安く済むから代行運転で帰りなさい

何かと相談役として登場する子供の頃から千紗子の父と親しい地元の医者役の酒向芳も良い
釣り好きで千沙子らを地元の川釣りに誘う

徐々に父と和解していく千紗子の姿も良い

重いテーマのオンパレードだがさほど重くもなく自分にはちょうど良かった
映画のタイトルは書く仕事と隠し事をかけているのだが久米田康治の漫画とは直接関係はないようだ
じつのところ隠していたのは千紗子だけでなく「拓未」もだったってのがこの作品のオチ

なぜあのタイミングで犬養洋一はカミングアウトしたのか
なぜもっと早くに公表しなかったのか
そして日本の検察は日本一のエリート集団といっても過言ではなく絶対に勝てると判断した案件だけを法廷に持ち込むわけでそれにもかかわらずあんなに無能なわけがない
その点では疑問点不満点はあるもののそこはやはり映画だから娯楽だから大目にみたい
星5の評価は揺るぎない
あそこで終わるのも素晴らしい

ちなみに犬養は奥田瑛二の妻の旧姓
偶然だろうか
安藤サクラは犬養毅の曾孫にあたるのはあまりにも有名な話だと思うが知らない人はいるのかな
ちなみに里谷拓未の下の本名は追手内洋一と同じ
これは偶然だろう

配役
不仲で疎遠になっていた父が認知症を発症し裸同然で地元を出歩いたため久々に帰省してきた絵本作家の里谷千紗子に杏
酒気帯び運転の久江の車で千紗子が夜間の帰り道に偶然保護され「里谷拓未」と名付けられ息子のように一緒に暮らし始めた虐待児の犬養洋一に中須翔真
厳格な元教師で妻に先立たれ山の上のポツンと一軒家に一人引っ越し魔を切るため日々仏像を彫り最近では認知症を患っている千紗子の父の里谷孝蔵に奥田瑛二
地元の役所で働く福祉課職員で千紗子の親友の野々村久江に佐津川愛美
シングルマザーの久江の息子の野々村学に番家天嵩
地元の医師で孝蔵の幼馴染の亀田義和に酒向芳
幼い娘を連れてマキと再婚した洋一の義父で日々虐待を繰り返した犬養安雄に安藤政信
再婚した安雄の暴力に支配されている洋一の実母の犬養マキに木竜麻生
千紗子を弁護する敏腕弁護士に和田聰宏
洗脳だと思い込み千紗子に刑を求める無能な検察官に丸山智己
千紗子の付き添いで拓未が診てもらった個人病院の受付の看護師に河井青葉
千紗子と久江が飲みに行った居酒屋の女将に池谷のぶえ

野川新栄