「アニマルパニックの新たな秀作」スパイダー 増殖 荒川ラリーさんの映画レビュー(感想・評価)
アニマルパニックの新たな秀作
個人的にはヒッチコックの鳥に匹敵するような面白さがあったと思う。
こう書くと褒め過ぎかもしれないけれど、恐怖の演出が非常に的確で、不気味な影が鏡越しにもぞもぞと動いたり、服の陰に気配を感じて恐る恐るめくってみるが…いない……いややっぱりいた!といった王道の見せ方が、テンポよく畳みかけるように描写されており、その手堅い手腕にはとても好感が持てた。
クモがたった一日で大繁殖したり車と同じ大きさに巨大化したりと、ホラーにリアリズムを求める人には肩透かしを食らう作品かもしれない。しかしそうしたありえない設定を演出の力技でねじ伏せて物語るというのもやはりホラーの魅力の一つだと思うので、そういうことを加味しても星4は決して過大な評価ではないと思う。
販売元がアルバトロスということで(いい意味で)期待せずに見始めたのだけれど、(これまたいい意味で)期待を裏切られ、いい映画体験ができた。
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