「小児性愛者の執念がとにかくおぞましい」コンセント 同意 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
小児性愛者の執念がとにかくおぞましい
50歳の著名な作家と性的関係を持った14歳の少女と聞くと、あぁグルーミングの被害者なんだなと想像できるくらいに未成年の少年少女への性犯罪の認知が高まっていると言える。それだけ報道される性犯罪の件数も増えているということでもあるのだが。ただ、絵のモデルを頼んだ少女と画家が性的関係を持つなんてことは昔であれば珍しくなかったはず。時代が変わったから問題にできたと言える(事実、当時のフランス文学界ではマツネフは問題視されなかった)。だが、実際に映像として見るとかなりおぞましい。
ヴァネッサの通う中学校に現れたガブリエルは、ちょっとしたホラーだ。彼女が彼のおぞましさに気づかないのはおかしいと断罪するのは酷というもの。ただ、母親も娘(ヴァネッサ)に認めてくれなければ自殺するとまで言われたらどうしていいかわからなくなるのも理解できる。その後にガブリエルと仲良く食事をしている時点で母親も何やってんだ!とは思ったが。
その後の展開は、まぁ予想できるもの。グダグダにこじれて、最後にヴァネッサが告発本を書くまでを描くのだが、少し理解できないことがある。それは、ヴァネッサが何に対してトラウマを感じたのかということ。いや、もちろん老人になってまでヴァネッサを自分の所有物かのような内容のメールを送ってくる執念を見て、なんてやつだ!と思ったとは想像できる。でも、50歳のガブリエルに騙されて性的関係を持つことになったことを悔いてるというより、作家であるガブリエルが自分との関係を赤裸々に著したことへの不満の方が強い気がした(映画を観た上での印象ではあるが)。そこなのかなと疑問に思ってしまうところもある。
だからといってこの映画と、原作になったヴァネッサの告発本の意味が損なわれるということではない。性的な描写も結構あるが、どんな手口で迫ってくるのかを理解する意味でもっと積極的に未成年者に観せていくべき映画だと感じた。