「教員なんて、なるものじゃない(笑)」ありふれた教室 もりぶでんさんの映画レビュー(感想・評価)
教員なんて、なるものじゃない(笑)
「熱狂×驚愕×賞賛の嵐」とか、「今観るべき衝撃の…」とか告知媒体には勇ましい宣伝文句が並んでいて、また騙されたかな?と一抹の不安を感じておりましたが、噂に違わぬヒリヒリする緊張の99分。
大傑作とは言いませんが、ちゃんと定価を払って観る価値のある佳作だと思います。
日本で言うと中学1年生程度の子供たちを預かる新任女性教師が、校内で起こった連続盗難事件をキッカケにちょっとしたボタンの掛け違いから窮地に陥れられる…言ってみれば一種の「恐怖映画」ですね。
人も殺されないし、派手な暴力もレイプも、ハラハラするカーアクションも何もありませんが、とにかく画面に釘付け。怖い怖い。
誤解や想いのすれ違いや行き過ぎた正義感が絡まると、組織がここまでこじれるのか、いや自分の職場でも全く起こり得ない話でもないなと我が身に置き換えたら更に怖くなります。
主人公の心情を表すような不安定なカメラワーク。
神経を逆なでするような弦主体の劇伴が効果的。
ノヴァク先生を演じるレオニー・ベネシュという俳優さん、もちろん初めて観る方ですが、ギリギリで正気を保っている新任女性教師をとてもリアルに演じていて素晴らしいです。
結末は観ているものに委ねる系のラストシーンで、おやっコレで終わっちゃうの?と最初は拍子抜けしましたが、テーマを観客にしっかり考えさせるには、こういう終わり方もありかな?とも思います。
今年観た映画で5指には必ず入るであろう素晴らしい作品でした。
あと、学生時代二十歳くらいまでは教員にないたいなぁ…とわたし漠然と思っていましたが、そちらの道に進まなくて大正解。
教員なんてなるもんじゃない、と心底思わせてくれる問題作でもあります(笑)