「東京の大手商社に勤めるサカイヒデキ(井浦新)。 主な業務は食品関連...」東京カウボーイ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
東京の大手商社に勤めるサカイヒデキ(井浦新)。 主な業務は食品関連...
東京の大手商社に勤めるサカイヒデキ(井浦新)。
主な業務は食品関連会社のM&Aだ。
最近も老舗のチョコレートメーカーを買収してきたところだ。
社内では副社長のケイコ(藤谷文子)と長年交際して婚約もしている。
ふたりは社内にはバレていないと思っているが、誰もが知っている。
今度の事業は、会社が主要する米国モンタナ州の牧場の売却。
牧場は不採算部門であり、売却しか手はないと会社上層部は考えているが、ヒデキは収益性の高い和牛育成に切り替えれば再建可能と提案。
現地に飛んで、牧場主に新たな事業のプレゼンに出かけた・・・
といったところからはじまる物語。
いわゆる、異文化に接して新たな視点・価値観を得る物語。
カルチャーギャップが笑いを誘うのはお約束で、スーツをまとったヒデキの姿は場違いとしか言いようがない。
女性牧場主からも、こりゃ牧場文化なんて全然知らないわよね、と軽くあしらわれ、ヒデキの案内役は牧場の何でも役ハビエルに委ねられる。
映画の魅力はモンタナの風景。
西部劇の舞台なのだから、その風景の魅力は半端ではない。
最近は、このような風景を映画で観ることも少なくなった。
ついで、ヒデキとハビエルの交流。
まぁ、類型的なんだけれど悪くない。
類型的な人物造形を類型的に撮るのも、近年では難しいのかもしれない。
最後は、ヒデキとケイコの関係。
上司と部下の関係なのだけれど、恋愛関係になので、ケイコが少々ヒデキに甘くなってしまうのが常套なのだけれど、意外にもビジネスライク。
予定を変更して帰国しないヒデキに最後通牒を突きつけに来るあたりとか、なかなか面白い。
付け加えれば、ケイコ役の藤谷文子が、ガメラ少女のから相当成長して(というか歳くって)、肉体的にも可憐からはほど遠い。
この肉感的な存在感というのが、映画に妙なリアリティを加えている。
最終的には、不採算牧場を売却することなく新たな道へと踏み出すわけなのだが、そんなにうまくいくはずはないよ、と思いつつも、映画の中ぐらいはうまくいってほしいね、うまくいってよかったと感じさせるので、映画として成功しているといえましょう。
監督はマーク・マリオット(初監督)、脚本は藤谷文子がデイヴ・ボイルと共同で手掛けています。