東京カウボーイのレビュー・感想・評価
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カリフォルニアロールの味わい
都会で数字と金だけを追って来たビジネスマンが、和牛ビジネス開発の為に訪れたモンタナで大自然と人によって新しい生き方に目覚めるというお話です。ストーリー自体はありがちと言えるのですが、アメリカ映画なのにどこか邦画的のんびり感とお約束的展開が感じられます。藤谷文子さんが脚本に入っているせいなのでしょうか、マーク・マリオット監督が嘗て山田洋次監督作に参加した事があるせいなのでしょうか、どこか不思議な和洋折衷感が漂います。でも、井浦新さんが居るから、それらを全てまとめ切ってしまいます。
アメリカ映画なのこれ
2024年劇場鑑賞206本目。
ミニシアターに井浦新が舞台挨拶に来るくらい力入ってる映画。自分は普通の回でしたが。ヒロインなんか見たことある強い顔の人だなと思っていて途中でセガールの娘の藤谷文子だと気づきました。製作もこの人だったんですね。
出世に明け暮れる冷たいビジネスマンがアメリカののんきな風土で自分を見つめ直すという、ありそうな話ですがじゃどの映画?って言われたらすぐ挙げられないので意外と隙間だったのでしょうか。國村隼がいい感じの適当アドバイザーを演じていて良かったです。
アメリカ映画なんですね。。
映画館で予告を見ていて気になっていたので見にいってみた。
この映画って、日本映画じゃなくてアメリカ映画なんですね。
監督もアメリカ人。
この監督のマーク・マリオットさんは、若い頃に山田洋次監督のもとで助監督してた人らしい。。
日本映画にしては、アメリカに行ってからのカウボーイ達の会話と演技がスムーズで違和感が無いなーとは思ってた。
それに、ヒロインが藤谷文子。
彼女って、たしかスティーブン・セガールの娘でしたよね。
普通の日本映画・日本人監督だったら、日本人とアメリカ人とのシーンはグダグタになっちゃうところなんだけど、
違和感なく見れたし、ボスの女性が良い感じの女優さんでしたしね。
そしとビックリしたのは、國村隼がめっちゃ英語が上手いんです!
カウボーイ達との井浦新のやりとりは面白かった。
そこが一番の見どころ。。
副社長の藤谷文子との関係がよくわかんない関係だったけど、最後はハッピーエンドだし、楽しく見れました。
キヌアってスーパーフードですよね。
儲かるのっていうのが気になってしまった。
気になった点がひとつ。
日本語での会話が聞き取りにくかった。
映画館の音響設備の問題なのか、少し会話が反響した感じになっていた。
アメリカに行ってからは英語は字幕が出るので気にならなかったけど、日本語での会話シーンはホント聞き取りにくかった。
典型的な「優秀だと自己認識している」サラリーマンの成長ストーリー
日本のTHEサラリーマンである英輝、しかも自分が優秀だと認識しているだけに
タチが悪く、上司且つ彼女でもある けい子の言うことも全く聞かなかったがゆえに
アメリカはモンタナの地でカルチャーショックを受けることから物語は始まります。
実にスローな展開ながらも、
郷に入っては郷に従え、を、牧場の仲間から身をもって知ることとなり、
己の考え方、生き方を変えていこうとする英輝が
実に観ていて気持ちよかったですね。
ベタベタなストーリーなので、驚きなどは全くないのですが、
國村隼のキャラクターで笑える要素を入れていたり、
また、アメリカのカウボーイたちから観た、日本のサラリーマンの佇まいや言動・行動の
滑稽さを敢えてFeatureしていたりと、実に軽やかに見進めることができました。
温泉に入りながら、けい子の気持ちがやっとわかった英輝とけい子が
愛を確かめあうシーンはグッときましたね。
井浦新のアメリカ映画初主演作、実に鑑賞後感が良く、楽しめました。
気持ち良い映画でした。
思えば遠くにきたモンタナ
2024年映画館鑑賞68作品目
7月20日(土)フォーラム仙台
舞台挨拶特別料金2000円
監督はそれまでドキュメンタリー番組を専門に制作してきたマーク・マリオット
脚本は今回の作品にも出演している藤谷文子と『マン・フロム・リノ』のデイブ・ボイル
東京の商社マンが交渉目的で渡米し牧場を深く知ることによってカウボーイになる話
ハートフルコメディー
東京の投資会社三輪ホールディングスはモンタナ州の牧場を買い上げ開発会社に売り飛ばす計画を立てていた
三輪の商社マン坂井英輝は上司で婚約者の増田けい子副社長の反対を押し切り和牛ビジネスのためモンタナ州に渡った
畜産の専門家で英会話が堪能なビジネスパートナーの和田直弘がロデオマシーンから落ちて大怪我をして入院生活を始めた
頼みの綱を失いたった1人で牧場側と交渉するハメになったヒデキだったが現実の壁にぶつかり難航した
この土地で和牛の飼料となるトウモロコシの生産は無理だった
紆余曲折の末にヒデキはガイド役を務めた牧場の労働者のハビエルのアドバイスを受けて歩み寄る姿勢を見せるため本気になって「カウボーイごっこ」を始めた
和牛計画をすっかり諦めたヒデキは三輪が買った土地をみんなで逆に買い戻す計画を牧場側に提案した
ボスに黙ってハビエルがこっそり肥沃な土地でキヌアという穀物を生産していた
恋人との結婚生活資金を貯めるためだ
キヌアという植物を自分は知らなかった
向こうではシリアルのトッピングとして馴染み深いようだ
あるハリウッド俳優を思い出したがあっちはキヌアではなくてキアヌである
きっと揶揄われたことだろう
ハビエルの姪っ子のバースデーパーティーでその姪っ子の隣で父親がパーティーに参加した者たちに向かいスピーチ的なものを始めたのだがそこの部分だけなぜかまるまる字幕がなかった
それを聞いていたヒデキが気持ちが変になり涙を流したシーンだ
それは手抜きでも無ければ編集作業に疲れてド忘れしたわけではない
スマホのアプリを使わないとスペイン語は全くわからないヒデキの思いを日本人の観客にも少しでも共有してほしかった監督の意図である
でも自分としてはやっぱりあのシーンにも字幕はほしかった
エンディングテーマの作詞も藤谷文子
歌い手は久石譲の娘
幼少期に『風の谷のナウシカ』で「ランラララランランラン」などと歌っていた人である
ちなみに今回は主演した井浦新がフォーラム仙台のために大阪から舞台挨拶に駆けつけた
こういったイベントに遭遇するのは人生初の体験だった
質問コーナーと写真撮影とサイン会もあった
手を挙げたところでたくさんいるなかから選ばれるわけがないので3回目は天高くあげてやった
井浦新は日野市出身で東京都民のわりに子供の頃から乗馬用の馬に親しく馬糞に郷愁を感じるらしい
きっと自分の脇の下が馬糞臭くそれを一流俳優だけに敏感に感じ取ったのだろう
質問者は少なくともフォーラム仙台側の仕込みではなかった
今の時代にギャンブラーだなあと感心した
取り立てて井浦新のファンでないしそもそも空豆ピースケのような趣味はないのでサイン会には参加しなかった
フォーラム仙台のメールマガジンは毎回しっかり読み込むことにした
あと劇中で登場するバタンガ
所謂メキシコーラ
テキーラとコーラを混ぜたもの
フォーラム仙台の売店でも販売されていた
ノンアルも売られていてそちらはコーラにライム果汁を混ぜたもの
度数が高い酒を甘い炭酸で割るとハイペースでどんどん飲んでしまうので気をつけたいものだ
配役(外国人俳優はロビンとゴヤ以外自信なし)
モンタナ州に渡り現地の牧場で和牛を育てるビジネスにチャンレンジする商社マンの坂井英輝に井浦新
三輪ホールディングスの副社長で英輝の婚約者の増田けい子に藤谷文子
英輝の部下の佐野に苅田裕介
三輪ホールディングスの社長で英輝の上司の三輪に岩松了
和牛ビジネスのパートナーとして英輝と共にモンタナ州に渡った和牛を育てる専門家で関西人の和田直弘に國村隼
モンタナの牧場「レイジー・リバー」のボスのペグ・シャウウェイにロビン・ワイガート
案内役を任せられる牧夫のハビエル・メディーナにゴヤ・ロブレス
ハビエルの恋人のべロニカにステファニー・フェルナンデス
牧場の管理マネージャーのアシスタントのレオン・ダラハイドにガブリエル・クラーク
牧夫のフィル・ウェイドにジェフ・メドレー
牧夫のブレイス・フィルモアにザック・トーマス
挨拶程度の日本語はできる日本のアニメ好きで秋葉原に行きたいモーテルの受付のシンディにスカウト・スミス
15歳の誕生日を迎えパーティーを開いてもらい祝福されているハビエルの姪っ子にリリアナ・アントンズ
ハビエルの姪っ子の父親にルイス・ホセ・ロペス
仕立て屋のラリー・ヴァージルにジョージ・デブリーズ
和田の担当看護師にジェンナ・コレルリ
松山チョコレートの社長の松山に有福正志
松山チョコレートの工場長に重松愛子
英輝とけい子に物件を紹介する東京の不動産屋に坂口沙由理
日本のお菓子は世界一美味い
いつもの映画館で
祝日だが月曜日なので会員料金 おあつらえ向き
チラシであらすじを読んで間違いなかろうと思っていたら
間違いなかった こうなるだろう こうなってほしいと思う
ほぼその通りの内容で裏切られなかった
安全安心の展開
・国内で実績を上げて自信満々の主人公
・意気揚々と外国に乗り込む
・今までのやり方で現地人から食らう反発
・現地人の協力者
・現地のやり方をやってみる
・理解者が少しずつ増える
・これまでの自分のやり方を振り返って間違いに気づく
・第三の解を見つける
・オラここでやっていく
王道だ 好きだ
この歳になると登場人物にあまり酷い目にあってほしくない
あと確実に笑いポイントが下がっていることに気づく
馬に乗り損ねて泥まみれになるとか
パリパリのロデオスーツを着せられたところなど
声をあげて笑ってしまった
あと國村隼がロデオマシンから落ちるところと伝言
おっさん何しに来たんだ
30年前は松田優作の子分をやっていたよな
井浦新は朝が来るから好きな俳優で
かぞくのくにとか福田村事件にも出ていた
上手くはないが誠実さがにじみ出ている
誰かの結婚式で新郎が真面目に語っているのを聞いて
おそらく言葉は分からないのに涙を流すシーン素晴らしかった
伝言を履行したときの笑顔が最高だった 冷めていたが
藤谷文子は町山智浩とのYOUTUBEをたまに観ていて
元女優だというのは薄々知っていた
プロデューサーに名を連ねていたので
自分がやるかみたいな感じだったのか
いつもの町山とのやりとりと変わりない自然さで好感
ストーリーは粗いしリアリティに乏しいが不思議と許せる
雄大で美しい自然の描写の前では
チマチマしたクレームをつける気が失せる
日本のお菓子は世界一美味いということだけは言っておきたい
現地人には通じんか
(ここから映画と無関係)
終了後はちょうどお昼
最近の恒例は自作弁当をつまみながら持参冷え冷えビール
雨上がりの青空で風が爽やか
いい休日になった
あんた誰や?俺の知ってるサカイさんはどこ行ったんや?
まず、30年くらい前の経済力のあった日本ならこんな話も成り立ったろうけど、いまや隣国どころか東南アジア諸国にさえ勢いで負けている日本には、こんなリゲイン片手の猛烈サラリーマンはいないだろうな。しかもサカイは、本人はできるビジネスマン気取りなんだけど、どこか風采が上がらない。大きな案件(チョコレート会社)をまとめた手腕を自慢していてもその実情まで把握していない。そもそも数字さえ上がれば興味がない。
そんな奴。
だから婚約者を5年も放置しているのだろう。
だけどまてよ、あのできる上司(婚約者)がどうして5年も待っていられるんだ?待てるだけのなにか魅力が、彼にあるのか?
そう、あるんだなあ。けして彼女がダメンズウォーカーなわけではなかった。サカイには彼なりの愛嬌がある。そこに彼女が気付いている。だから待てたのだろう、そう思えた。
劇中、「何で泣いているの?」「わからない」のやりとりにはハッとした。「俺はいままで、ものごとを良くしてる人だと思ってた」の反省も素直だった。「売っちゃったんでしょうね。俺みたいな口先だけのサラリーマンに」はその先の決断に至る決意に見えた。そういう感性だ。不器用だけど、受け入れる度量がある。大物感は全然ないけど、人としての優しさがある。(←ずっと気を張って数字を追いかけていて忘れがちだったけど)
人生は反省と後悔の連続で、それでも人は生きていく。ラストの展開のあと、サカイとケイコの二人なら上手い結果を導くだろう。そんなムードがあった。そんな二人の関係性を、こんなにうまく伝えてくれたという嬉しさが残ってほろりと泣けた。たぶん、その時理由を聞かれても「わからない」としか答えられなかっただろうけど。
なお、国村隼演じるワダは、破天荒でいながら頼りがいもあり、心地いいはっちゃけキャラだった。
ケイコは誰?と思ったら、スティーブンセガールの娘さんか。いい味出してた。もっとスクリーンでお見掛けしたい。
時間と体験の共有 Sharing Time and Experience
テアトル梅田で最終日に鑑賞。
時間の進み方の表現が良いなあと。
井浦新さんが演じる主人公の変化が
映画の字幕で表現されていた。
アメリカへの溶け込み方の深度で、
字幕の表示の仕方が変わる事によって
観客もその関わり方を体験する。
主人公と一緒にアメリカに行った
牛の専門家は、英語も巧みに
相手の懐に飛び込むので、
字幕が表示されて会話が理解できる。
トラブルがあり、
主人公が独りで動かざるを得なくなった途端、
字幕の表示が主人公の理解度に比例して減り
溶け込んで仲間になっていくにつれ
字幕が増えるようになる。
日本語のパートでも、
字幕ではなく、
相手のセリフが窓越しになったり、
騒がしい中で聞こえなかったり
主人公が考え事をしているので、
相手の言うことを聞いてない表現があった。
その仕掛けゆえに、
後半に向けて、
主人公が変わっていき
人と人が理解が深まる様が
盛り上がっていく。
観客も同じ体験をする。
予告編を観て、良い映画に違いない
と思った期待のままの、
それ以上の映画だった。
最後の藤谷文子さんが綺麗だったなあ。
Watched it on the last day at Theater Umeda.
I was really impressed with the way the passage of time was expressed.
The transformation of the protagonist, played by Arata Iura, was conveyed through the movie’s subtitles.
The way the subtitles were displayed changed with the depth of his immersion in America, allowing the audience to share in that experience.
The cattle expert who accompanied the protagonist to America was adept in English and quickly won people over, so the subtitles made the conversations understandable.
When trouble arose and the protagonist had to act alone, the amount of subtitles decreased in proportion to his understanding. As he became more integrated and made friends, the subtitles increased.
Even in the Japanese parts, instead of using subtitles, the dialogue of the other characters was sometimes obscured by a window, drowned out by noise, or unheard because the protagonist was deep in thought, showing that he wasn’t paying attention.
Thanks to these techniques, the film grew more exciting in the second half as the protagonist evolved and deepened his understanding with others.
The audience experienced the same journey.
I had high expectations after watching the trailer, thinking it must be a good film, and it exceeded those expectations.
Atsuko Fujiya looked beautiful at the end.
東京カウボーイやぶれかぶれ。
企業再建の雄?!敏腕サラリーマン英輝が会社の反対を押し切って自身考案のアメリカで和牛を育てるプロジェクトの為、買収したモンタナの牧場に意気揚々と乗り込みこてんぱんにやられる話。果たしてスーツを脱ぎ捨てたヒデキは従業員の心を掴んで本物のカウボーイになれるのか。
いや、ヒデキよ。まず最初っから翻訳機能使おうか。あと会社の金で好き放題しすぎやで。さすがにもう諦めて一旦帰ろう、ってなった。後半はなんかアットホームな感じになって最終的にどんな終わり方やねん!和牛はよ?!ってツッコんで終了した。
もう井浦新が何してもかっこいいよねってことで私の中では何とか丸く収めたいと思います。1ヵ月もすれば観たことすら忘れてそうな話でした。
星はいつも三つです。
マーク・マリオット監督『東京カウボーイ』
食品関係のコンサル会社でバリバリ働く井浦新が、アメリカの田舎の不採算牧場をたてなおすべく意気込んで乗りこんでくる。
モンタナの風景を見ただけで利益追求とか効率とかはどうでもよくなってしまいそうなものだが、そこはバリバリビジネスマン。牧場の女主人以下、カウボーイたちに資料を配りPCのパワーポイントでプレゼンをはじめたりするが、ブレーカーが落ちてさんざんな目に。
それでも負けなかったのだが、次第にやっていることのアホらしさに気づき、着ていたスーツを脱ぎ捨てて現地で買ったカウボーイのいでたちに身を包む。
スーツ姿で馬に乗ろうとして失敗して泥水のなかに全身突っこむ。井浦新は文字通り顔から泥水に突っこんだ。
チョコレートとWagyu
設定やストーリー(全体の流れ)には難があった。
東京で食品系の商社(とは言えM&A専門か)に勤めるヒデキは、経営の振るわない米国モンタナ州の牧場と提携し、経営を立ち直らせようとする。しかし、そのアイデアたるや和牛の導入。そのためには、交配が出発点になるが、経営上の数字だけ見て、現地のこともよく知らず、いきなり現地に乗り込んで行ったりするものだろうか。案の定、うまくゆかない。アイデア自体、30年くらい前のもの。ご本人は、英語というよりはコミュニケーションが得意でなく、それにたけた同行の和牛飼育の専門家ワダ(國村隼の好演あり)は、到着早々、アクシデントでドロップアウト、なぜか終盤、ほぼ無傷で戻ってくる。しかし、寅さん映画と思えば、あきらめもつく。
では、この映画の優れたところはどこか。広々としたモンタナ州の景観に尽きる。厳しい山々、なだらかな丘陵と、そこに広がる牧場、特に温泉。ロッキー山脈の周りには、あちこちに温泉があり「スプリングス」という地名がついているので、すぐにわかる。この温泉に、ヒデキが、駆けつけてきたフィアンセであり、上司でもあるケイコとつかるところはよかった。それにしても、なぜ、ケイコが逃げていかないのか、ヒデキが現地で知り合い、最も心を許したハビエルの奥さんから、会ってもいないうちに見抜かれるくらいだから、たかが知れている。
それでも、この映画を観ていて、気になったことがある。
一つは、チョコレート。ヒデキが、牧場の案件の前に関わった小さなチョコレート工場の製品をお土産に持ってゆくが、米国の人たちには、全く受け入れてもらえなかった。口に入れた途端、吐き出す子さえあり。予想した味と違ったのだろう。滞在先のホテルで良くしてくれた受付の日本びいきの若い女性も、正直に感想をと言われ「Wax(ろう)みたい」と。ヒデキは、珍しいものをと思い「ホワイト・チョコレート」を持っていったのだろう。アメリカでもヨーロッパでさえも、日本と違ってコンビニのような便利な店は少なく、お菓子だって、あれもこれも手に入るわけではない。むしろ、小さい頃から、家族と親しんだ決まったものを食べることがほとんど。おそらく、スイス発祥だが日本で好まれている、甘味もカカオも少ないホワイト・チョコレートなんて食べたことがなかったのだろう。
それじゃあ、なぜ、日本の和牛は、ヨーロッパでも米国でも、あれほど愛されているのか。この前、アメリカに行ったとき、6種類の牛肉が載ったプレートを現地の人たちと分けあって楽しんだが、そのうちの二つは和牛(ただし、US Wagyuと豪州Wagyu)。おそらく、霜降り肉が最も得意にしている「すき焼き」や「しゃぶしゃぶ」ではなく、彼らの最も好きな「ステーキ」に特化して、適度なサシ(脂肪)を加えて、味わいを遥かに増したからだろう。それには、両国とも、交配だけでなく、映画でも出てきた「とうもろこし」などの飼料、松阪牛の飼育で培ったビールを混ぜることを含め、育て方に長年の努力があったに違いない。彼らのブランド、Wagyuと呼ばれる所以。今は、和牛の精子を輸出することなんて、勿論できない。そうしたら、私たちの生きる道は、ワダがそうしていたように、飼育のノウハウを伝えて、商社の力で流通させること、それを改めて教えてくれた映画であったようだ。
東京の大手商社に勤めるサカイヒデキ(井浦新)。 主な業務は食品関連...
東京の大手商社に勤めるサカイヒデキ(井浦新)。
主な業務は食品関連会社のM&Aだ。
最近も老舗のチョコレートメーカーを買収してきたところだ。
社内では副社長のケイコ(藤谷文子)と長年交際して婚約もしている。
ふたりは社内にはバレていないと思っているが、誰もが知っている。
今度の事業は、会社が主要する米国モンタナ州の牧場の売却。
牧場は不採算部門であり、売却しか手はないと会社上層部は考えているが、ヒデキは収益性の高い和牛育成に切り替えれば再建可能と提案。
現地に飛んで、牧場主に新たな事業のプレゼンに出かけた・・・
といったところからはじまる物語。
いわゆる、異文化に接して新たな視点・価値観を得る物語。
カルチャーギャップが笑いを誘うのはお約束で、スーツをまとったヒデキの姿は場違いとしか言いようがない。
女性牧場主からも、こりゃ牧場文化なんて全然知らないわよね、と軽くあしらわれ、ヒデキの案内役は牧場の何でも役ハビエルに委ねられる。
映画の魅力はモンタナの風景。
西部劇の舞台なのだから、その風景の魅力は半端ではない。
最近は、このような風景を映画で観ることも少なくなった。
ついで、ヒデキとハビエルの交流。
まぁ、類型的なんだけれど悪くない。
類型的な人物造形を類型的に撮るのも、近年では難しいのかもしれない。
最後は、ヒデキとケイコの関係。
上司と部下の関係なのだけれど、恋愛関係になので、ケイコが少々ヒデキに甘くなってしまうのが常套なのだけれど、意外にもビジネスライク。
予定を変更して帰国しないヒデキに最後通牒を突きつけに来るあたりとか、なかなか面白い。
付け加えれば、ケイコ役の藤谷文子が、ガメラ少女のから相当成長して(というか歳くって)、肉体的にも可憐からはほど遠い。
この肉感的な存在感というのが、映画に妙なリアリティを加えている。
最終的には、不採算牧場を売却することなく新たな道へと踏み出すわけなのだが、そんなにうまくいくはずはないよ、と思いつつも、映画の中ぐらいはうまくいってほしいね、うまくいってよかったと感じさせるので、映画として成功しているといえましょう。
監督はマーク・マリオット(初監督)、脚本は藤谷文子がデイヴ・ボイルと共同で手掛けています。
大胆さと繊細さを兼ね備えれば、大抵のことは何とかなるのかもしれません
2024.6.26 一部字幕 アップリンク京都
2023年のアメリカ映画
日本のビジネスマンがアメリカのモンタナにて和牛ビジネスを始めようとする様子を描いたヒューマンドラマ
監督はマーク・マリオット
脚本は藤谷文子&デイブ・ボイル
原題は『Tokyo Cowboy』
物語は、日本のある都市にあるチョコレート工場を視察する会社員・坂井英輝(井浦新)を描き、買収を成功させる様子が描かれて始まる
英輝は、コスト削減のためのアイデアを実現させ、それは社長の三輪(岩松了)を喜ばせた
そして、次の事業として、モンタナの牧場再建のアイデアをぶち上げるものの、それは上司かつ副社長の増田けい子(藤谷文子)を驚かせることになった
実は英輝とけい子は恋人関係にあり、彼はモンタナのアイデアを事前に通していなかった
けい子は計画を無謀だと思い「大きく出たわね」と言い、英輝は「大きくでなきゃ上には行けない」と答えた
映画は、英輝と和牛ビジネスのアドバイザー・和田(國村隼)が現地に向かう様子を描き、「レイジー・リバー牧場」の経営者ペグ(ロビン・ワイガード)たちと交流を深めていく様子が描かれていく
牧場には、案内役を任されるハビエル(ゴヤ・ロブレス)の他に、レオン・ダラハイド(ガブリエル・クラーク)、フィル・ウェイド(ジェフ・メドレイ)、ブレイス・フィルモア(ザック・トーマス)たちが従事している
英輝たちが泊まるモーテルの受付シンディ(スコット・スミス)はアニメが大好きで、暇を持て余しては、デバイスでそれらを視聴していた
難しい話に入る前に懇親会と呼ばれるジャブが入るのだが、下戸の英輝は飲めず、調子に乗った和田はロデオマシンで大ケガを負ってしまう
通訳がいない状態で話を進めることになり、プレゼンは完全に空振り状態で、話は一向に進まなくなってしまう
そこで英輝は、郷に入っては郷に従えを体現し、カウボーイ姿になって、乗馬などを始めていく
そして、彼らの仕事を体感していくことになるのだが、それらの報告を本社にちゃんと報告していかなった
その後、プロジェクトがどうなっているかわからない本社は、牧場を開発会社に売却する方向で動き出し、英輝はそれを方向転換させようと考えていく
そんな折、ハビエルが牧場内にて植物を育てていることがわかり、それをプロジェクトの一環に加え、牧場と農場を同時経営する案を思いつく
そして、本社から牧場を買い取ることで、存続させようと考えるのである
映画は、牧場どうするか問題と同時に、英輝とけい子の今後どうするか問題も浮上してくる
付き合いだして7年、家庭を作るかどうかを話し合って来なかった結果、けい子は自分が大事にされていないことを感じ、「ある決断」を胸に忍ばせていた
英輝はペグの助言を受け、けい子と向き合うことになり、そして自分が今後どうしたいかを話す
そして、内観した住宅を買って、そこで生涯をともに過ごしたいと思いを告げることになったのである
ビジネスにおける卓上の思考と現場の感覚のズレを描いていて、これまで数字だけで判断してきた英樹が考え方を改める様子が描かれていく
冒頭のチョコレート工場のチョコをおみやげとして持参していたのだが、それを食べたシンディが放つ言葉は辛辣でもある
これまでに良かれと思ってしてきたことは大部分で間違っていて、それに気づくための時間がモンタナの数週間だった
現地でこれまで続いてきたものの尊さを感じ、それを存続するための方策を考えるのだが、それこそが英輝の真骨頂だったと言えるのではないだろうか
いずれにせよ、モンタナの景色を眺めながら、そこにいる感覚になって、英輝を愛でる内容になっていた
女心がわからない英輝だが、惚れた弱みにとどめの一撃を贈ることができるのは天性の人たらしの部分があったのだろう
これまではビジネスの世界でそれを発揮してきたのだが、最後にはけい子に届けられたのはよかったと思う
そういった意味において、モンタナで天然温泉を見つけることができた英輝はラッキーだったのかな、と感じた
「お見掛けされた」ではなく「お目にされた」だろうな
モンタナ州の広大さは堪能できるし絵に描いたようなカウボーイ達の気質も面白かった。あの風体で”son of a gun”って言うと迫力あるな。
とはいうものの、無能なくせに何故か自信満々な奴は現実世界にいくらでもいるという意味でリアルだし、そういうキャラ設定にしないとストーリーが成立しないんだろうけど、いくらなんでもあれでビジネスは出来ないよな、と悪いけど途中から白けてしまった。
やはり 人は自然に感動して 別人になる。
違和感アリアリでしたが そこが狙いなのかも。
thankyouを 言わなければ ならぬ場面で それは無し
工工エエェェ(´Д`)ェェエエ工工
「そこは言うでしょ」と 突っ込んでました。
大自然の美しさは たーまーりーまーせーん。(^Q^)/゚
皆良い人たちで めでたしめでたし。
Mile
バリバリのお仕事ものかと思いきや、ちょっと抜けたサラリーマンが牧場を通して少しずつ成長する物語になっていたので、予告から予想していたものとは違いましたが、これが寧ろ良かったなと思いました。
基本ざっくりした感じで和牛育てよーぜ!みたいなテンションでモンタナの牧場に行って、現地の人々に鼻で笑われて、なんとか交渉しようと牧場の仕事を手伝う様子が全編渡って描かれており、主人公のプライドがへし折られて丸くなる様子がじっくり映されていました。
最初は毛嫌いしていた乗馬も後半にはすっかり慣れていましたし、カウボーイ姿も気に入ったり、なんやかんやで事業も進められたりと、うまくいきすぎなとこはありましたが、ビッグマウスな自分を等身大の自分に変えていく成長譚で面白かったです。
結構ひどい目にあってしまうんですが、その度にクスッと笑えるので、その点でも好みな作りになっていました。
モンタナの大自然はとっても美しいですし、その自然を駆け回る馬や牛も壮大さにアクセントを加えてくれますし、とても綺麗な野原で乗馬できるなんて贅沢だな〜とモンタナに足を運びたいきっかけになりました。
なんだか丸く収まって、温泉に入って事業が出来上がってハッピー!と爆速で広げた風呂敷を畳んでいって、急に終わったとポカンとなりましたが、全体通してやや緩い雰囲気があったので、これくらいの終わり方でちょうどいいのかなと思ってしまいました。
井浦さんや國村隼さんのちょーっと抜けたキャラはとても素晴らしく、現地の方々のにこやかな感じも良かっただけに、上司で彼女である役柄を演じてた藤谷さんがどうにも棒読み&表情の起伏の無さが気になって、会議のシーンや怒りを露わにするシーンとかが観ている側がモゾモゾしてしまうくらいの棒演技でびっくりしました。
脚本も担当されているらしく、井浦さんと役として共演したかったから今作の重要な役どころで出演したのか?ってくらいで、過去作も観たこと無かったので、職権乱用したのか?と疑ってしまいそうになりました。
ほのぼのした作風で、空白が多いのもあって上映時間よりかは長く感じてしまいましたが、疲れた時に観て温泉に浸かっているかのような感覚になれたのはよかったです。
監督の日本への愛もあって、洋画のはずなのに邦画を観ている感じで不思議でしたが良かったです。
やっぱ井浦さん素敵だわ〜ってなりした。
鑑賞日 6/22
鑑賞時間 19:40〜21:45
座席 E-12
スーツとテンガロンハット
さすが新さん、スーツもジーンズも、どちらもかっこいい。あの派手なロデオ衣装でも、品がいいのはなぜ。ラストシーンなんか、後ろ姿だけなのに、ステキすぎて、うっとりだわ。余韻が…ヤバい!
会社を買って、生産と利益の再構築をするサラリーマンのヒデキは、数字しか見てない。人間だけど、機械みたい。しかし、自分の仕事にまったく疑問も感じてない彼が、モンタナの牧場で突如変わった。なぜヒデキが実績を上げることにこだわるのか、それは彼女(けい子)より上に行きたいからなのか、それがなぜモンタナの土地で変化するのか。うっすら想像できるのだが、できれば「なぜ」の裏側を、あと少し見せてもらいたかった。そうしたら、もっとヒデキに感情移入できるんだけどな。あと、細かいことを言うが、美味しさにこだわってチョコレートを作っていた会社を買い取り、材料と工程と人件費を見直すのはわかる。でも、作り変えて味がまずかったら意味ないでしょ。パッケージデザイン変えて、宣伝でもして、最初は売上が良くなったとして、おいしくなければ顧客が離れていくだろう。結局、数字は悪くなるんじゃないの? まさか、同じことをモンタナでもやらないでしょうね。
異邦人ゆえの気づきを描いた作品ではあるが、なんか都合良すぎな感じがした。あと、ヒデキとけい子が恋人っぽく見えなかった。ふたりきりの時でも、なーんか硬い雰囲気だった。でも、ウエスタン風味の井浦新を堪能できたのは良かった。そして、広い大地、広い空、美しい山々、かわいい馬には癒された。あと、エンドロールで流れる女性ボーカルの曲は好き。
ちょっとむかっと
来ました、序盤滑舌やBGMのせいで何ヶ所か台詞が聴き取れなかったから。でも終盤のお話の進み方、終わり方、あぁ日本人監督じゃなかった、そこは重要じゃなかったんだと得心しました。
イイ感じに薹が立った浅黄ちゃん、台詞廻しが日本人離れしてましたね。
カウボーイファッション
僕は、あんま…でした(笑)
60点ぐらい。
終始ぬるい(笑)
カウボーイのファッションがカッコイイです♪
そこが1番よかった(笑)
カウボーイのジーンズは、やっぱりラングラーなのか?
みんなラングラーを着てた(笑)
エンドロール中に会話シーンが少し差し込まれます。
観たい方お気を付けを。
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