「旅の醍醐味」劇場版 再会長江 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)
旅の醍醐味
中国では「母なる大河」と呼ばれる全長6300kmの長江を2年もかけて走破し、源流に辿り着くまでを記録したドキュメンタリー映画!ではあるのですが、自分の想像を遙かに超えるドラマチックな旅路に目が釘付けになりました。巨大な国際都市「上海」に始まった旅は、「三国志」の舞台「赤壁」や長江一の絶景といわれる「長江山峡」、世界最大の水力発電ダム「山峡ダム」など中国の多様な姿を迫力ある映像で映し出します。最大の見所は、竹内亮監督が10年前にNHK「長江 天と地の大紀行」を撮った土地、人を再訪するという部分で、10年間という年月が映し出す中国と中国人、監督自身の変化を追体験することができ、まるで自分が旅をしているかのようなカタルシスに心揺さぶられました。何と言っても、中国全土でナンバー1インフルエンサー(2022年12月時点)という竹内氏の類い希な気さくな人柄によるところが大きく、彼の目線で旅先での奇跡のような出会いに驚き、おののき、打ち震えました。雄大な自然の息を呑むような美しさも圧巻でしたが、それ以上に「人」の生き様に魅了されます。今なお世界のあちこちで国や宗教、思想の違いで争い、中国も火種をかかえていますが、今作を観ると、そうしないこともできる人間の可能性を感じて心が浄化されるような気がしました。編集も素晴らしかったし、音楽もなかなかでした!
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