パレードのレビュー・感想・評価
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朝日座ロケが効いている
未練を残して死んだ人間が「その先」に行くことができずに亡霊のようにさまよっているという設定で震災を描く点で、『天間(てんま)荘の三姉妹』にも近い作品。あるいは是枝裕和監督の『ワンダフルライフ』を思い出す人もいるかもしれない。こういう生の世界と死の世界の狭間という感覚は日本以外にどれくらいあるんだろうか。あまり西洋的な感覚じゃないのかもしれないとふと思った。 この作品では、子ども一人を残して震災で命を落としたシングルマザーが主人公で、他に様々な理由で未練を残した人々とのやり取りを描く。リリー・フランキー演じる男は映画プロデューサーで、未完成の作品を完成させるというエピソードが出てくるのだが、亡霊と「映画という虚構的なあわい」の親和性を活かしていて、主人公のエピソードよりも全体の中で光っている。それは全体としてバランス的にどうなのかという気もするのだが、気持ちのいい作風なので良いかな。 福島県南相馬市にある朝日座でロケをしているのだが、これが大変良い効果をあげている。かつての生者たちがかつて映画館だった場所につどい、映画という虚構を見つめる。このシーンはなかなか味がある。震災後に朝日座を訪れたことがあるのだが、「ニュー・シネマ・パラダイス」のような「夢の跡」を感じさせる場所だった。本作のロケ地にピッタリだと思う。
こういう事あるかもしれない
私達に見えていないだけで、こういう事はあるのかもしれないなと感じさせる映画でした。 震災で亡くなった方々なども心構えなどなく、いきなり日常が奪われ途絶えてしまう。心が彷徨っていつまでもこの世に留まっていてもおかしくはない。 何だか悲しくもあり、温かみも感じる映画でした。
悲しみと喜びのパレード
現世にやり残した事がありあの世へ行けない人が集う廃れた遊園地。そこではそれぞれの想いを胸に秘めながらも楽しそうに暮らしている。 成仏できない人、と聞くとだいたいは幽霊のようなものを想像するけれど、この映画では真逆のポジティブな存在として描かれる。ここに希望を感じた。仮に死に切れなくとも、この映画のような場所があるんだと思えるだけで救われる。 ひとり1人の想いに区切りがつき、あの世へと旅立っていく。そのドラマに胸が熱くなる。生きている者も亡くなった人も、それぞれの痛みや悲しみを抱えていることが分かる描き方がより切なさを感じさせる。 イジメられ自死を試みた高校生ナナが一命を取り留め、映画「パレード」を製作するメタ構造もこの世とあの世がどこか繋がっているような気がしてあたたかい気持ちになった。 派手さはないけれど、アップショットで微妙な表情の変化を表現するシーンが多く印象的だった。 そしてそんな難しい演出を支える豪華な俳優陣。 誰かにこの映画の良さを伝えるのは難しいけれど、なんだか良い映画だったなぁ。
死んでも死にきれない
有名なのではゴースト~ニューヨークの幻(古いけど)的なこの世に未練のある人が留まってという話。
うーん、他の人も書いてるけど設定が緩いのかなぁ。長澤まさみは震災で死んでしまったのは分かる。町もガレキだらけだし。けど、ななの学校は普通に授業してるなど、バラバラの地域からあの場所に集まった?と思ったけど、ラストのななと成長した良の会話だとそうでも無い様だし。
見せ場であろう、タイトルにもなっているパレードの意味もイマイチ疑問。会いたい人を探すって言うけど、双方死んでないとダメなワケで、それならあのキャンプ地みたいな場所で合流出来そう。出来ないまでも、相互に連絡とか取り合ってるだろうに、パレードの偶然任せ?
ななのセーラー服は流石に無理だろと思ったら、最後のオチの為なのね。うーん、ななが死んで無かったと言う隠し設定、別に臨死状態で三途の川を見たとか言う話も有るから良いと思うんだけど、リストカットで臨死で数日?
みんな、心残りが解消されたら強制成仏かと思ったけど、そうでも無いみたいだし。
設定の緩さが全体的に気になる。
成長した方の良の役者、見たことあるなぁと思ったら、MOTHERで長澤まさみの息子役だった子かぁ。
未練がない生き方…
そんな人がいたら、そんな人生を送れたのなら幸せだろう。それぞれ会いたい人や、やり残したこと、言い残した人がいて、本当に死ぬ前にワンクッション、時間を與えられ、それぞれのやり方で全うしていく。森七菜が生きていたなど、細かな矛盾する箇所はあるものの、景色やセットの映像美、出演陣の雰囲気の良さに包まれ、ほっこりするファンタジーだった。リリー・フランキーが良い。
なんか見たことあるような
そんな話。この世に未練を残してしにゆく人がこんなにいるのか。震災もそうだが、不慮の事故は本当にいたたまれない。自分が大切な人がそうなって、死んでもそばで見てるって、いいのか悪いのか。自分だったら見に行っちゃうけど。何も考えないまま成仏したいものです。でも生き返るパターンあり?!それってルール違反じゃない??笑 それにしても良が良い子に育ってよかった。
私的この映画に乗れなかった理由とは
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
このNetflix映画『パレード』は、いわゆる現世に心残りを持っている死者たちの話です。
私達は死者に対して、一般的には(罪を償っていない犯罪やそれに匹敵する行為がない場合)強い批判を継続することはないとおもわれます。
なぜなら死者は反論の機会を失っているからです。
例外としては、その人の成し得た功績や作品などについて、外化された物として(その内容や作品自体に反論が内包されていて)後に評論されることはあり得ますが、やはり1つの人格としての反論の機会のない相手に対しての一方的な批判は避けられる傾向にあります。
この作品で出てくる主要な人物は、(現世に心残りを持っている)死者たちです。
すると彼らは現実の世界での反論の機会を失われていて、是々非々でもって評価される機会を失っています。
すると、死者たちの描写は良い部分を強調されて表現されることになると思われるのです。
例えば、映画プロデューサーだったマイケル/古賀充(リリー・フランキーさん、若林拓也さん)のエピソードでは、(おそらく亡くなられた河村光庸プロデューサーがモデルになっていると思われますが)彼の撮影した沖縄での米軍基地反対闘争の映画が流されます。
しかし今作の中では、まずマイケルは死者として、そして彼の描いた沖縄基地闘争は劇中の映画作品として、二重に守られることで、彼やその劇中映画に対する是々非々の論評や批判を観客にやり辛くしています。
沖縄の米軍基地問題は、現在も解決されていません。
例えば辺野古基地移設の話を最終的に決めたのは、現在の野党議員の多くが所属していた民主党政権の時であり、そんなに簡単に解決できる話ではないことは多くの人が知っています。
しかし今作では、マイケルは死者として、描かれた沖縄米軍基地反対闘争の映画は劇中映画として、問題への言及はされないように守られています。
マイケルと佐々木博(舘ひろしさん、中島歩さん)との最後の会話では、米軍基地反対闘争の時に自分たちは「団結していた」と語られます。
ただその「団結」は、現在の私達から見れば、問題の現実解決策の本質から、地道な手仕事から、目を逸らせていたから可能だったのではないか?という疑念が現れるのです。
(今作の藤井道人 監督は本質ノンポリで、そこまで深くこの問題を取り扱う気もないかもですが‥)
しかしそんな疑念も、死者の彼らに届く術はありません。
同様に、息子や報道との関係での主人公・美奈子(長澤まさみさん)や、ヤクザや恋人との関係での勝利(横浜流星さん)や、家族の中でのかおり(寺島しのぶさん)など、それぞれ死者であるために、生きた相手との対立や功罪含めた相手との相互の葛藤は描かれないままです。
(ナナ(森七菜さん)が生きて次の周りとの関わり葛藤へと向かえたのは良かったとは思われました。また、アキラ(坂口健太郎さん)は藤井道人 監督の分身であるのか、多少はアキラの父・恵介(でんでんさん)とのリアリティある葛藤が伺えて共感度合いはありました。)
私がこのNetflix映画『パレード』に乗れなかった理由は、出てくる主要登場人物たちが死者として守られていて、彼らの一方的な想いが吐露され続けた所にあると思われました。
今作は特に美術や映像が素晴らしく、さすが予算あるNetflixは違いますね、と思われました。
であるので、今回の実力俳優陣の内容ある演技含めて、次は同様の座組で、相互に関係対立する生きた人々の映画として観たいと、僭越ながら思われました。
心が少し暖かくなるよう
採点3.6 残してしまった者への、届かない想いを描いた作品。 まず最初から死んでる感じを隠さないのが潔いですね。 キャストも豪華で、舘ひろしなんてほんのちょっとなのに「やっぱり格好良いわ…」ってなる位印象に残りました。 それとフランキーの歌が思いの外うまく、結構作品の良いアクセントになってました。 あと一行が立ち寄った劇場、そして後の息子が足を運んだ劇場がユーロスペースなのが面白かったです。 ちょいちょい脚を運ぶシアターなので、何だかくすぐったい気持ち。 皆にそれぞれのエピソードがあって、やっぱりキュってなるんですね。 中でも長澤まさみと息子との再会は…流石に涙してました。 あと音楽が中々良いですね。新海作品ではピンとこなかったのですが、こちらは作品にとても合っていました。 何というか、心が少し暖かくなるような物語です。
良い世界観
自分も死後はこんな感じで過ごすのかと考えさせられる。小さい子って霊感ある子多いって言うけど年齢によって会話できてたりと面白かった。
ナナの生き返りはいらなかったかも。
キャスト陣が良き!
この作品が観たくて早く観たいと思っていて Netflix繋げました😊 このキャスト陣なので とても期待してました😊 未練を残して世を去ったそれぞれの思い… 死んでしまった人の視点で物語が繰り広げられていくのかが描かれていて… 遺してきた人に、どうなって欲しいと願っている。 あの月に一度死者たちが集い それぞれの会いたかった人を捜すパレードには 少し違和感があったものの そこがタイトルになっている あのラスト…それぞれの行先が気になるけど そこは個々で想像しなければいけないの? 藤井道人監督の描く映像が分かる作品でした。 出来ればやっぱり劇場の大きなスクリーンで観たかった作品です。
死後の世界と残された者たちの葛藤
長澤まさみや坂口健太郎など豪華キャスト陣の演技は見どころですが、ストーリー展開にはやや難あり。限られた時間の中で、多くのエピソードを詰め込もうとした結果、話が散漫になってしまう場面があります。 出だしは非常に面白く、SF映画『シックスセンス』を彷彿とさせるようなワクワク感がありました。また、死んだ者が直面する葛藤や、残された者たちの苦悩は丁寧に描かれており、共感を誘います。特に、長澤まさみ演じる主人公・美奈子の母親としての深い愛情は、観る者の心を揺さぶりました。 設定やストーリー展開に粗さが見られるものの、死後の世界と残された者たちの絆を描いた感動作です。
まぁ・・わからないでもないですが・・ 大勢のパレード参加者は、亡く...
まぁ・・わからないでもないですが・・ 大勢のパレード参加者は、亡くなった人を探してるのでしょ? 生き残った人をパレードで探せないのでは? 生存情報のゲットは、なんだか苦し紛れ・・ 恋人同士でも、親子でも・・仲がいいからと言って・・今時、海に入って水のかけっこってする?したことあります? なんだか、そういう定番の演出は・・醒める・・。
映像美と音楽
死者たちが主役なため、ファンタジー要素の強い作品だった。
最初は、もう少し現世界とつながりのある話かと思いきや、話が進むにつれて、
死者たちの“生き様が”如実に。
そして、何と言っても圧倒的な映像美と音楽の美しさ。
これ、NETFLIX配信作品かと思うほど、こだわりぬいている。
これは、ある意味見る側に対しての挑戦状のような気もする(もちろん制作側はそんな意図はないかもしれないが)。
定額でみんなが見れるお手軽感があるからこそ、各々のデバイスでどこまで今作品を追求できるか。
さいわい私は、自宅のSONYのDolby Atmos対応サウンドバーで視聴したため、ピアノの音色がとても心地よく聞こえ、この世界に入り込めた。むしろ、映画館のボリュームで聴くより心地よかったかもしれない。
余談にはなってしまったが、藤井監督のこれまでの作品によく出てきたキャスト陣が集結していたり、『浜の朝日の嘘つきどもと』のロケ地だった朝日座がまた登場していたり、スターサンズ制作の『マザー』で親子役だった長澤まさみ、奥平大兼が親子役だったりと、日本映画を“線”で見てきた人たちには嬉しいところがあり、見ごたえ十分だった。
実写版ジブリ
のようなファンタジー。この世界観は好きですね。 お酒や食べ物ってなくならないの?髪は伸びるの?歳は取るの?とか余計なことは考えず!(笑) 短い時間にエピソード詰め込みすぎてる感はありますが、 ↑ たとえば長澤まさみちゃんはいつ気持ちの切り替えができたんだろうとかね? まぁそこは置いといて。 出だしおもしろかった。ワクワクした。ここはどこ?なんで?なんで?なんでー?え?もしかして? そして兎にも角にも映画讃歌。映画好きにはたまらない。 映画ってほんとにいいでしょー?って愛に溢れてる。 役者さんも豪華、豪華。長澤まさみちゃんと奥平くんはまたまた親子だし、森七奈ちゃん、今度は年相応な役でよかったね。(笑)←4月になれば 舘さん、でんでんちょこっとだ。 黒島結菜ちゃんが木野花さん?ん〜(笑) 推しの流星くんはわりと早くいなくなっちゃった。でもあのベランダのシーンの泣き顔はよかったなぁ。今までの過程もないのにすごく彼女のこと想ってるってのが伝わった。うまくなったねぇ、とおばちゃん感激。 ただねー、私はここまで長生きしたからあの世界には行かれないかな。未練がないわけじゃない。諦めの境地。人生こんなもんだよね。的な。あ。違う。他人に優しくないのか。とっとと生まれ変わってやり直そうと思ってます。(笑) でももしあの世界があるなら救われる人たくさんいるよね。 映画はメッセージだから。 ラスト。想いは必ずつながっていく。そう受け取りました。
パレード
映像がとても綺麗で見入ってしまう。行進の時ももちろんものすごく美しいんだけど、海の場面やアキラやマイケルの家の中も好き。最後の夕陽は忘れられない。 悲しさや悔しさ、寂しさもあるけど前向きにもなれる素敵な映画。
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