「アイドルが推しに気付かせたいこととは」【推しの子】 The Final Act movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
アイドルが推しに気付かせたいこととは
最重要登場人物、アイの双子の子供達の父親であり、真犯人の異常人格者に二宮をあえて使っているにも関わらず、ただ異常なだけで深いやりとりなどできない完全モンスターキャラなことが残念だった。
同じ親に愛されなかった子供でも、途中からアイドルになれるよう救いをかけて実子のように育ててくれた壱護夫妻と出会えたアイと、ただの商売道具として女性マネージャーから性被害にも遭って育ったカミキヒカルでは、大人になった時の人格に大きな違いが出るということか。かたや、人の愛も赦しもわからぬサイコパスになってしまった。齋藤飛鳥と二宮がなぜ同世代なのかはかなりの謎。
そして、アクアとルビーを産み残したアイのアイドル人生は、アクアとルビーの前世にあたる、さりなちゃんと主治医ゴロー先生にも大きな影響を与えた。アクアとルビーは産まれながら前世の憑き物に乗っ取られアイの復讐を常に考えながら生きてきた事になる。怖。
アクアもルビーも、ママが望むのは、復讐より自分の人生を歩む事だとはっきりと気付くが、アクアは真実暴く作品を遺して父親ヒカルと海に自死。アクアの通り水に還った?
ルビーはアイの残したグループを再結成させB小町のメンバーとして、他のメンバーが辞めてもアイドルを貫くようだ。
アイドル仲間の原菜乃華は裏ではキツめの性格で、あのちゃんはアイドルからYouTuberに転身し結婚。
それぞれアイに限らず、アイドルなんて嘘だらけの世界を推し推されしてるだけという象徴的存在。
ただ、ルビーだけはアイドルを全うするようだが、、斉藤なぎさのアイドルと、齋藤飛鳥のアイドルはぜんっぜん仕上がりが違って、すべて齋藤飛鳥がお手本のように見えてくる。演技でさえも、齋藤飛鳥のアイのシーンをなぞるように暴露映画でアイ役をルビーが行い撮影されるが、齋藤なぎさが齋藤飛鳥そっくりの語調でさすが親子だなと思わせる演技なのはすごいが、仕上がる画は齋藤飛鳥が美しくてルビーではアイに及ばない。
これが、出てくるアイドル経験者の原菜乃花あのちゃん斉藤なぎさとは、はるかにひとりで超える齋藤飛鳥の格の違うアイドルレジェンドなのだなと、アイ役は齋藤飛鳥以外ありえないと感じた。
演技でさえも、悟ったようにのんびりしたアイの話し方を齋藤飛鳥本人の案でしているとしたら天才すぎる。
原菜乃花もアイドル歌手かぴったり似合っているのだが、そういう次元ではない齋藤飛鳥のすごさを感じた。
ヒカル役、少年時代は怪物と国宝に出ていた子が出ていて良い感じなのに、そこからの成長過程をすっ飛ばしてなぜか異常に人の心のない二宮に繋がってしまうから、二宮が仕事をしていないのか脚本が悪いのかわからないけど、動機すらない変な父の血を引く双子が振り回されて片方が命を落とす話になってしまって残念。ニノが作品の邪魔をすることなんて、あるんだ、と思った。
親と縁のない子などにとって、アイドルはひときわ夢をくれる存在なのかもしれないと稲垣来泉ちゃんの演技を見ていて思ったが、この子、べらぼうかおり役や三浦春馬との関わり方といい、誰かれ構わず男性俳優に抱きついて甘えるような印象ができてしまっていて、今後の人生にかなり悪影響だと思う。そんな売り方しなくても演技が上手な子だし、永野芽郁のような、常日頃遊びたい俳優の遊女枠みたいな存在ならないように、周りが守って育ててあげてほしい。
産まれや家族など関係なく、「自分の人生を生きる」
それができたら、アイドルが身体を張って人生をかけて推しに背中を見せて伝えているポリシーを継承できた事になる。
