「斎藤飛鳥ってすげえな。」【推しの子】 The Final Act U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
斎藤飛鳥ってすげえな。
なんかエラい端折ってんなぁと思いながら見てたらシリーズものの続編ぽかった。道理でエンディングに見た事もないカットばかりだったはずだ。
原作は読んでないし、アニメも見てない。YOASOBIの「アイドル」でしかこの作品を知らない。シリーズくらいは見といた方がいいのかも。
なんか…物語上の出来事は語られるものの、重要な部分まで表現しきれてない感じ。シリーズを見てない俺が悪いのかもだけど、繋ぎが悪いというか、唐突というか…消化しきれてない感じがする。
ハッキリ言うと凡庸なのだ。仕掛けもなさそう。
あの作者が描く作品なのに…や、あくまで映画しか見てないのだが、普通すぎる。
ただ、そんな中の斎藤飛鳥さん。
彼女は最初オファーを断ったとか。なるほど登場時の台詞とかからすると、乃木坂っていう日本屈指のアイドルグループにいた身としては思う事もあるだろうと思う。なんだけど!
なんだけど!
斎藤さんが演じるアイを見てしまうと、斎藤さん以外が演じるアイがアイじゃないように思えてしまう。
斎藤さんのを見る前なら、選択肢はあったと思う。
でも、彼女のアイを見てしまったら、他のアイが偽物に思えてしまう。
なんだコレは?
アイはおそらく破天荒なアイドルなのだろう。妊娠してもアイドルを続けられちゃうメンタルとか。
アイは「嘘は愛なの」と主張する。確かに嘘も方便なんて諺もあるから間違えではない。
ないが…言い切る彼女が切ない。とてもとても切ない。段違いな真実味があるように聞こえる。
間延びした喋り方とか、おっとりした表層とは異なる内面が浮かび上がってくるようだ。
ぶっちゃけると、斎藤飛鳥は正真正銘のアイドルで、東京ドームを2DAYS満席に出来る程のアイドルだ。
霞むのだ。
B小町の面々が。アイドルと女優にここまでの差があるなんて思いもしなかった。輝きなのか煌めきなのか明確に違う。シリーズの時は良かったのかもしれない。比較対象が居なかっただろうから。
でも、本作にはいる。斎藤飛鳥がいる。
アイドルとしての到達点に何年も君臨してた怪物が。
死に際とかを見るに彼女がどれほどの覚悟を持ってこの役に挑んだのかが伝わってくる。
とても意地っ張りなのだと想像する。
「斎藤飛鳥が斎藤飛鳥でないアイドルを演じる」+にも働けば−にも働きそうなシチュエーション…相当しんどかったんじゃないかなぁと思う。
ズバ抜けてる。
原さんもアイドルしようとしてたけど、太刀打ちできない。本作には役作りをしなくてもアイドルとして立てる女優がいる。
他の追随を許さぬ程のトップランナーが。
同じグループの西野さんとか白石さんでもアレは無理だ。斎藤さんだから出来たんだと思う。
斎藤さんだけ見たら⭐︎5.0の昨品だった。
◾️追記
なんかYOASOBIの「アイドル」を聞き直してみたのだけれど…本作のアイにめちゃくちゃリンクしてんな。狙いなのか、発注からしてそうなのかわかんないけど、ほぼ今作のアイの事だった。
最後の歌詞が最後の台詞とか、よくできてんなあー