「大胆な構成」【推しの子】 The Final Act naichinさんの映画レビュー(感想・評価)
大胆な構成
原作漫画全16巻。この量を1本の映画で描くのは、どだい無理というもの。
そこで映画では、大胆に原作を解体、再構成して、序盤と最終章のみを描いた。
それはある意味成功だといえる。原作のエッセンスはそのままに、物語の縦糸であるサスペンス部分に集中した内容に。また、アイとアクア、ルビーの3人の物語に集約したので、最低限映画だけで成立するように纏めている。(まぁそれでも1本の映画としては難しくはあるが)
そして、駆け足ではあるけれど、映画の間の物語を配信のドラマとして描くのも、現代的で面白い。
また、キャストも原作のイメージを活かしている。特に齋藤飛鳥がアイそのもので驚き!スゴい!
ただ、「推しの子」という物語は、確かに縦糸のサスペンスが全体を引っ張っている。しかし、何が面白かったかというと、「芸能」の世界に生きる人々を、時にその裏側までも含めて、じっくりと描いている部分だと思う。そこが失われては、本来の7割方損をしている様な気がする。
だからこそ個人的には、映画を観る前にAmazon Prime Videoで配信中のドラマを、
出来るならば、アニメの「推しの子」を
本当は原作漫画を
読んでから、映画を観て欲しいな、と思う。
余談ですが、おそらくラストは、原作のプロットの段階で制作を始めているんでしょうね、そこに至るまでと比べると、急速に薄っぺらくなっている。(これは「僕だけがいない街」もそうだった)
話題にはなるし、古びない内に、というは分からなくもないが、やはりちゃんとラストが描かれてからスタートする方が質が良くなると思う。
原作を読んで、B小町のLIVEとアクア&カミキのカットバックに期待してしまいましたもので…。(その後の葬式は流石に無いだろうなとは思っていましたが)
#推しの子