「ドラマを完走しないと無理ゲーだが、色々と不思議を抱えたまま終わっている気がする」【推しの子】 The Final Act Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
ドラマを完走しないと無理ゲーだが、色々と不思議を抱えたまま終わっている気がする
2024.12.20 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(129分、G)
原作は赤坂サカ&横槍メンゴの漫画『【推しの子】』
Amazon Prime Videoの配信ドラマの最終話
アイの生い立ちとアクア&ルビーの復讐を描いたヒューマンドラマ
監督はスミス
脚本は北川亜矢子
物語の舞台は、都内某所
トップアイドルとして君臨するB小町のアイ(齋藤飛鳥、幼少期:松井彩葉)は、隠し子としてアクア(櫻井海音、幼少期:岩川晴)とルビー(斉藤なぎさ、幼少期:斉藤柚奈)を育ててきた
ようやく夢の舞台に迎えると思った矢先、アイは引越し先を知ったファン(杢代和人)によって殺されてしまう
アクアは何もできなかったことを責め、犯人を探して、復讐しようと考えるようになっていた
一方ルビーは、母親と同じようなトップアイドルを目指し、新生B小町として、子役上がりの有馬かな(原菜乃華)、YouTuberのMEMちょ(あの)と活動を始めていく
その活動が軌道に乗り始めた頃、かなは映画監督との密会現場を撮られてしまう
アクアはB小町を存続させるために、自らがアイの隠し子であることをリークすることになったのである
映画は、ドラマの続編で、主にアイがアクアを産むまでの過去譚と、アクア主導の復讐が描かれていく
そして、その中で二人がアイを推しているファンの転生であることを語り合う
アクアはアイの主治医だった産婦人科医の雨宮(成田凌)であり、ルビーは彼の患者だった少女さりな(稲垣来泉)だった
二人は「推しの子」として再会することになって、それぞれの人生を歩んでいく
だが、狡猾な犯人は奥の手を用意し、それによって、あらぬ事態へと突き進んでいくのである
映画というよりは、ドラマの最終話拡大編という感じになっていて、それまでの総集編も込めた一本の時系列を作っていく流れになっていた
ドラマありきの作品なので、単体で評価することは難しいのだが、映画としての完成度はやや低いと言わざるを得ない
本編ではアイの過去とアクアの計画を描き、真犯人となる人物が登場するのだが、その脚本を作る素になった子ども宛のDVDの中身はほとんど描かれない
特にルビー宛のものは一瞬たりとも映らないので、彼女がオファーを受けるきっかけになった動機そのものが「単なる転生の暴露」になっているのは残念だったように思えた
また、アクアは犯人を特定できる程度に仄めかすことで復讐することを考えるが、ネットの憶測が犯人にダメージを与える可能性は極めて低いように思えた
いずれにせよ、色々と不明瞭な点を残したまま映画は終わっていて、完結しているようで完結していないようにも思える
ラストダイブによってアクアは復讐を遂げたように思えるが、あれだけでは真犯人が死んだのかどうかもわからない
また新生B小町の畳み方がかなり雑で、最後はルビーがソロアイドルとして活動を再開したみたいな感じになっているのも意味不明だったりする
新生B小町を守るために暴露したのに、かなはその思惑も知らずに卒業するし、MEMちょもいつの間にか卒業して結婚していたりする
そんな中でルビーだけはアイドルを続け、ソロ活動で上り詰めたということになるのだが、彼女にそこまでの力があったのかもわからないし、他のメンバーもよろしくやっている的なまとめ方になっているのは微妙だなあと感じた