「無意識の加害者」デビルズ・バス HKさんの映画レビュー(感想・評価)
無意識の加害者
数百年前、狭い共同体内で生きている人間には、
精神的に追い詰められた状態から逃げる場所は現実になく、
また宗教にも(現代からみて)歪んだ異常な形での解決策しかない。
とくに生き物の姿を愛でることに心の安らぎを見出していた主人公の女性の
単に生活の糧として動物を飼い、狩猟する村での上手くいかない結婚生活の辛さは、
屠られた動物の死骸とシンクロされて表現されているかのようだ。
という感想に至ったのは見終わってしばらく経った後で、
見ている最中は主人公にほとんど共感できない状態でイライラし、
ラストの注釈でやっと気づくことができた。
つまり、主人公の身体、精神の状態を正しく理解していないとき、
私自身は周囲の村人に近しい気持ちを持っていたことになり、
図らずも無知のもたらす偏見による加害者の立場を疑似的に体験したことになる。
冒頭とラストの村の祭祀の対象の対称な状態も含めて、なんともホラーでありつつ、皮肉。
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