劇場公開日 2025年6月13日

「際立つコントラスト!」ラ・コシーナ 厨房 きーろさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 際立つコントラスト!

2025年7月1日
iPhoneアプリから投稿

7月ファーストデー1本目は、そういや見なきゃと思って先送りにしてたこの作品から。

だだっ広くて雑多な厨房内の画角が4:3で休み時間の路地裏は16:9になってて(だと思ったけど気のせい?)心が押し殺されてる⇄解放されていることを表してるのかなと思ったり。外には無限に広がる空もあるしね。全編モノクロでコントラスト強めなのも「肌の色が濃いヤツから尋問するのか?」ってセリフにあるように、世の中が肌の色や国籍で生きづらさが決まってる感じを際立たせるためなのかな。そういうアングルや撮り方で今の状況を伝えていくのはセンス良いなと思いましたね。あと劇伴と周囲のノイズの使い方も秀逸。終始流れる馬鹿でかいオーダーマシンのジージーという音は、メトロノームで規則正しく動かされてる(秩序はゼロだが)多国籍のスタッフに対するある種ロボット的な扱いを際立たせていて、それの音とリズムが止まった世界とのコントラストがめちゃくちゃ上手いなと思いました。

内容的には、好きな映画は?と言われてわりとよく答える「ディナーラッシュ」を期待してたんだけど、イントロの女の子は全然ストーリーに絡んでこないし、ペドロは馬鹿だし、ホワイトトラッシュの描き方も中途半端だし、オーナーもどっち付かずのキャラだし、正直見てて何が伝えたいかわかんなかったというのが正直な感想です。というわけで、揶揄と風刺が少しだけスパイスとして効いてる詰めの甘いプロレタリア文学でわりと期待外れだったけど、絵作りはめちゃ好み!

それではハバナイスムービー!

きーろ