「米国ばかりがアメリカじゃない!」ラ・コシーナ 厨房 ノーキッキングさんの映画レビュー(感想・評価)
米国ばかりがアメリカじゃない!
バックヤードの猥雑さは ハンパない。この映画ほど酷くはないが、一昔前は日本もご同様。絵画の催事に伴って有名百貨店の裏事情をつぶさに見学したが、“社員食堂の雲“には仰天した。売り場のストレスだろうが、殆どの女子社員がタバコを口にする!社食は喫煙所と化し、タバコの煙が屋内の天上に雲を造るのだ。まるで舞台装置のような見事さで………
観光客用大型レストランで働くヒスパニック系移民の現在地。社会の縮図とも言えるその人間関係。底辺に居ることのみじめさ、もう浮上することはないという諦め、カオスに映るきたないジョークの応酬や仕種、あらゆる細部が常に映画全体を暗示していて、此処からはもう抜け出せないという雰囲気が全編を支配する。
簡単に入れるが出口は見つからないという寓意と自分と違う人間(移民)を容認できるかを問いかける物語。
不衛生で雑多な厨房、食材の扱いがひどすぎるけれど料理があまり不味そうに見えないのはモノクロ画面のせいで、“緑色の光“エピソードにも効果的。
休憩時間に集まった5人が移民としての夢を語るパートは、舞台演劇ならハイライトだろうが、それぞれの人物が披露する退屈な長台詞は端折ってもいいのでは?
売り上げ金の盗難額とジュリアの中絶費用額が
近いことで、犯人を読みきったマネージャーだったが、思わぬかたちで金が見つかり、刑事気取りがすっかり腰砕けって話は、どこかにもあったようなオチだが思い出せない。
『私のことをわかっていない』の一点張りで中絶理由を明かさなかったジュリアが、実は母子家庭の身の上だと知ったペドロ。冤罪事件も相まって、ウエイトレスとのささいな口喧嘩から気分がエスカレート!遂にブチ切れて大暴れ!厨房や客の居る店内まで破壊してしまう。沈静したところにオーナー登場。『給料をやり、まかないを食わせ、ビザの発給を手伝い(口だけ)これ以上なにが望みだ!』と言われ、ペドロは自身の矮小さに硬直したまま押し黙る。
現実に移民問題が『教皇〜』のようにタイムリーで、デモの拡大はどこまでトランプ政権に影響を及ぼすのか分からないが、ラスト、エステラの微苦笑がドロドロの有り様から、ほんの少し、わずかひと匙、掬い上げた希望のようなものに感じられた。
コメントありがとうございます。
この内容だと差別を助長しそうですよね。
まぁペドロの喧嘩っ早さなど個人の民度の低さは散々描いてたし、ノンゾのようにまともな人間もいましたが。
以前某ファッションビル内で働いていたので、喫煙率の高さは実感をもって理解できます。笑
コメントありがとうございます。
疲れる理由は色々ですが,ご指摘の「自分と違う人間(移民)を容認できるか」はその最たるものかも知れません。某北関東都市での昨今を見ていると到底イエスとは言えず,本来悪役の筈のオーナーに対する同情的な心情を否定しきれなかったりするので。
今晩は。コメント有難うございます。
本数に関してはカラクリがあります。30本ほどは、先月に鑑賞したモノです。あとは、これは良く聴かれるのですが私は、イーロン・マスクと同じショート・スリーパーでして一日3時間寝ればOKなんです。あと、お爺さんだろうと思っている方もいらっしゃいますが、バリバリの現役です。土日も少し仕事をしていますし、明日からも仕事です。(嫌だなあ。)要するに24Hをどう過ごすかだと思います。故に私は、TVはニュースしか観ませんが、本は読みます。ロックもガンガン聞きます。ではでは。
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