「単純明快と思いきや」ビーキーパー saitofjさんの映画レビュー(感想・評価)
単純明快と思いきや
「悪いことしてると、ステイサムが見てるぞ」という単純明快な話です。
そんな単純な話ですが、実はプロットがけっこう練られてるんじゃ?と思ったので、印象に残った点を残します。
① 組織(ビーキーパー)より、養蜂家(ステイサム)が強い
普通、元所属組織の威厳を示すために、組織の現役キャラはそれなりの最強格に描かれるものです。
ところが本作では、振れた瞬間に軽率なのがいきなり登場して、養蜂家(ステイサム)が圧倒します。これにより組織(ビーキーパー)よりも養蜂家(ステイサム)が強いんですと印象付けられます。
「ビーキーパー」と「養蜂家」という呼び分けがされている時点で、これ意図的ですよね。
②大統領の悪事より、養蜂家(ステイサム)が強い
信頼できる身内のFBIによって「女王殺し」のミスリードが爽快にぶち込まれます。
普通なら、大統領の金の出所とか権力構造を暴く方向に行きそうなところを、この映画はそうしない。
弱い人から金を巻き上げる行為そのものが許せない。それだけが行動原理でした。と颯爽とお家に帰宅。
もし大統領殺しにまで踏み込むと、政治思想くささが鼻につく場面になりそうですが、それを避けているのが絶妙です。
大統領の悪事よりも、養蜂家(ステイサム)の思いが強い
③ 不殺する余裕があるぐらい、養蜂家(ステイサム)が強い
二つ目のビルに乗り込んだシーン、外を警備していたFBIたちは生きてると発言が。。
いやいや別にビルの爆破で死んでる人もいるじゃん。不殺は流石にとなるのですが、
実は、組織が複数登場しており対応も良く見てると違うのです。
悪事側+CIA連れのごろつき → 上半身に銃
シークレットサービス+FBI → 下半身に銃や体術で制圧
つまり、相手の所属組織によって手加減までしている。
単身で大統領のところに乗り込むくせに、組織を見極めて舐めプするおっさん。
不殺ってこんな感じで"舐めプ"とかすぐ呼ばれて扱いづらいテーマになりがちですが、本作は「舐めプできるぐらい養蜂家(ステイサム)は強い。」という逆転の発想で利用しています。
最初のビルのボディーガードのやりとりや、組織の違いを服装の違いで明確に書かれている辺りだいぶ意図を感じますね。
※シークレットサービスの車を爆破しまくってるので、悪事側以外も間違いなく死人は出てるのであくまでも意図ぐらい。。
「ステイサムが強い」とただ言いたいだけ。ただそれだけ。
でも、その言い方を際立たせるために、行動原理や組織の描き方が実はちゃんと練られている。
単純明快で気持ちいいのは、意外とよく練られているからではとかなんとか。
