「養蜂家のステイサムさん」ビーキーパー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
養蜂家のステイサムさん
基本はいつも同じ。元軍人、元傭兵、元特殊部隊、元殺し屋…。
今は職種を転々。今回は“養蜂家”。
田舎町で蜂蜜を作りながら穏やかに“くまのプーさん”する…訳がない!
養蜂家ステイサムが悪党どもを刺す!
あらすじは割愛。始まって10分で設定も話の展開も分かる。
入り込んだ内容や一見さんお断りが多い中、いつだってシンプル。尺も100分ちょっと。
硬派だが観客には親切な兄貴。それは信念も。
今回兄貴がボッコボコにするのは、フィッシング詐欺集団。
世話になっている隣家の老女が標的になってしまい、世のため人のために尽くしてきた全財産を奪われてしまう。挙げ句、彼女は自殺を…。
何も言うまい。何も語るまい。ただただ、奴らに制裁を。
覚悟しとけ。俺がテメェーらをぶっ潰す。
兄貴演じる主人公=アダム・クレイ。やり過ぎってくらい情け容赦ナシ。
詐欺集団のアジトを突き止め、ガソリンを持って単身乗り込む。建物を放火&爆破、歯向かってくる奴らは殺す。
それで終わりかと思いきや、その上のグループを突き止め、こちらも根絶やし。
さらにまたその上、元を絶つまで。
兄貴が通った後は死体と破壊。特殊詐欺は許すまじだが、兄貴がやってる事も犯罪。
日本でも深刻な問題で社会悪の特殊詐欺。
法律では限界だったり、黒幕まで行き着かなかったり。腸煮え繰り返るほど悔しい思いをしている人も多い筈。
人殺しや破壊は現実世界だったらアウトだが、映画の世界だからこそ。
兄貴の正義の鉄拳が天誅炸裂し、スカッと!
ステイサム無双は勿論!
並の人間は相手じゃねぇ。一人で幾人も幾人もコテンパンに。
ザコ「3つ数える内に出ていけ」、兄貴「1、2、3。代わりに数えてやった」。こんな芸当が出来るのも兄貴だから。
キレるのは怒りだけじゃなく、頭も。
名台詞も生まれたね。「法律が通用しない時、俺の出番だ」
『MEG ザ・モンスターズ2』『エクスペンダブルズ ニューブラッド』が不完全燃焼だった兄貴の舎弟たちへ。俺たちの兄貴が帰ってきた!
クレイの復讐を全肯定するのではなく、故隣人老女の娘でFBI捜査官が追う事で抑止力。善悪を問う。
真面目な彼女とマイペースな同僚のバディやり取りもユーモラス。
ただ現在養蜂家ってだけじゃなく、ちゃんとそれが設定に活かされている。
クレイがかつて属していたのは軍の極秘組織。通称“ビーキーパー”。
その名を聞くだけで関係者は震えるほど。とことん最後の最後まで目的を果たす。狙われたら一貫の終わり。攻撃蜂の如く。
群れを守る。蜜蜂は、群れの中に“欠陥”があったら例え女王蜂であろうと殺して正す。
一介の詐欺集団~組織的グループ~そのリーダー。
リーダーはクズ若(バカ)者で、グループを母親から継いだ。
善良な人たちから騙し奪い取ったお金を、自分の道楽や母親の資金に。
会社を退いた母親は何と、アメリカ大統領…!
小悪党集団とのいざこざかと思いきや、FBIや国を巻き込んだ意外やスケール大のアクションへ。
これもアメリカでウケた理由の一つなんだろうね。不満を抱える国民たちを、ステイサムが代わってトップや国を世直し!
近年のステイサム映画の中でも出色の面白さ。やっぱり最高だぜ、兄貴は!
続編製作も決定。当然でしょう。
残念ながら続編は今回名タッグぶりを魅せたデヴィッド・エアー監督ではないが、エアーとは来年正月日本公開が決定した『ワーキングマン』で。兄貴の新しいお仕事アクションに期待。
リーアム・アクションと同じく、兄貴ステイサム・アクションももはや恒例行事。