「鑑賞後は晴れ晴れとした気分が味わえます」ビーキーパー 臥龍さんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞後は晴れ晴れとした気分が味わえます
過去に世界最強の秘密組織に属していたステイサム演じるクレイ。そんな彼も引退後は養蜂家(ビーキーパー)として静かに隠遁生活を送っていた。しかしある日、彼の恩人である老婦人がフィッシング詐欺に遭い、全財産を騙し取られ、絶望のあまり自殺してしまう。
さらに、そんな卑劣な詐欺グループが法律では裁かれない(米国の法律では、被害者が自らの意思で振り込んだと判断され、加害者を罪に問えない)ことを知り、怒りに燃えるクレイ。詐欺グループの黒幕を突き止め、組織を壊滅すべく立ち上がる。
クレイはまず秘密組織からの情報を得てアジトのひとつを突き止めると、単身乗り込みビルごと破壊。別のアジトでも厳重な警備を軽々と突破し、黒幕を突き止めることに成功する。さらにクレイ殺害のために送り込まれた特殊部隊の精鋭もことごとく返り討ちにするなど、まさに無双状態。
そして、詐欺グループの黒幕が大統領の息子と分かると、厳重に敷かれた警備を巧みに掻い潜り、大統領邸に潜入。顔バレしてもお構いなく警備をバッタバッタとなぎ倒し、黒幕のいる大統領の部屋に辿り着くと、それまで威勢の良かった黒幕は嘘のように号泣しながら拳銃自殺。最後までピンチらしいピンチもなく一件落着。
昨今は日本でも時代の進化に法の整備が追いつかず、法の抜け穴により不起訴となったり、犯行の内容に比して明らかに刑罰の軽い犯罪が増えています。
そんなニュースを見るたび、どこか法に対してもどかしさやモヤモヤした感情を抱いていたのですが、この映画では『法律?裁判?犯罪者の人権?知らんがな!極悪人はぶっ殺す!』と言わんばかりに気持ちよく成敗されていきます。
もちろん、正論を言えば完全にアウトです。しかし、鑑賞後は言いようのない爽快感、気持ちよさ、すっきりした感覚を味わえます。それだけでもこの映画を見る価値があったと思えます。
ストーリー的には確かに突っ込みどころが満載です。予定調和?ご都合主義?その通りです。しかし、この映画は極悪人どもをステイサム様が容赦なくバッタバッタとぶち殺す。そんな無双ぶりをひたすら拝むエンターテイメントであり、小難しい理屈や評論はむしろ滑稽といえます。
最近、小難しい映画を見ることが多かったのですが、こういう単純明快で頭を空っぽにして楽しめるハリウッド映画もいいな、と改めて感じました。
映画の本筋からは逸れますが、ひとつ気になったのが詐欺グループのアジト。真っ暗な部屋に巨大なディスプレイが置かれ、ド派手な映像とノリノリの音楽が大音響で流され、部屋の中央ではトップがマイクを握り『さあ、みんな!ジャンジャン稼いじゃおう!ウェ~イ!』とスタッフを煽っている。まるで六本木のクラブのようなノリで、最初見た時は『なんだこれ?海外の詐欺グループってこんなパリピなの?』と面喰いました。笑