「ビーキーパーと目が合った奴は、地獄の業火に焼かれて死ぬ」ビーキーパー Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
ビーキーパーと目が合った奴は、地獄の業火に焼かれて死ぬ
2025.1.8 字幕 イオンシネマ久御山
2024年のアメリカ映画(105分、PG12)
恩人の自殺を機に復讐を果たす養蜂家を描いたアクション映画
監督はデヴィッド・エアー
脚本はカール・ウィマー
原題の『The Beekeeper』は「養蜂家」かつ主人公が属していた特殊組織の名称のこと
物語の舞台は、アメリカのマサチューセッツ州スプリングフィールド
その郊外で養蜂家として生活をしているアダム・クレイ(ジェイソン・ステイサム)は、家主であり恩人のエロイーズ(フィリシア・ラシャド)と静かな交流を交わしていた
ある日のこと、エロイーズに夕食を誘われたクレイは、仕事を終えて彼女の家へと向かった
だが、ノックをしても反応はなく、部屋の中は煙が充満し、検知器が作動していた
クレイは中に入って様子を伺うものの、彼の背後から一人の女が彼に銃を突きつけた
彼女はエロイーズの娘のヴェローナ(エミー・レイヴァー=ランプマン)で、現役のFBI捜査官だった
クレイは「残念だ」と彼女に告げる
そこには、拳銃で自殺を図ったとみられるエロイーズの遺体があり、クレイは容疑者として拘束されることになった
だが、クレイの体から硝煙反応が見られず、警察は自殺であると断定する
また、エロイーズのPCを見たヴェローナは、母がフィッシング詐欺に引っかかったことを知るのであった
映画は、非常にわかりやすい勧善懲悪もので、無知な老人を騙して大金をせしめている詐欺グループにお仕置きをするという内容になっている
当初はビルの警備くらいだったものが、その系列会社のCEOの権力によって、FBIやら特殊工作員などがクレイの行手を阻もうと躍起になってくる
ネタバレと言えば黒幕の正体とその繋がりになると思うが、あっさりと黒幕は登場するし、その家族背景というものも明るみになる
後半は、黒幕とその母親を守ることができるかというアクション劇になっていて、クレイがどこまでをターゲットにしているのかというのが本作最大のネタバレになるのではないだろうか
特殊詐欺グループがイケイケな職場になっていたり、その元締めがヤク中のバカ息子となっていて、容赦のない復讐劇が続いていく
だが、仕事で駆り出されているFBI&SWATには甘く、金で雇われている警備&傭兵には容赦がない
このあたりの選別を一瞬で行なっているのだから、そもそもの能力値が絶対的に違うと言わざるを得ない
ビーキーパーを引退したので隠れ家的なところには入れないのだが、現役を倒して指チョンパをする流れはサクッと描かれていく
あの部屋に入ったことでビーキーパー陣営が動きそうなものだが、アニセット(メーガン・レイ)が倒されたことで「傍観」に徹することになったので、「うわあ、用意しているよ、やばいの」みたいな感じで動きを監視していたのかなと思った
いずれにせよ、特殊詐欺が法律を自由に使っている状況が世界共通の悩みの種になっていて、それを力でねじ伏せる感じの映画が増えてきたように思う
法律が強いものの味方として作っているからこういうことが起きるわけで、何も持っていない無敵の人が暴れたら手に負えないというところなのだろう
ビーキーパーは世界の歪みを正していくのだが、彼の哲学では「目を見て奪う」のは許容範囲らしい
なので、クレイは「相手の目を見て殺す」のだが、その哲学を知る元CIA長官のウォレス(ジェレミー・アイアンズ)は「お前が最後に目を合わせる男だ」とデレク(ジョシュ・ハッチャーソン)に警告した
クレイはウォレスを殺さなかったのだが、おそらくはクレイが現役の時のビーキーパーの責任者だと思うので、ある種の温情があったのかもしれない
とは言え、ウォレスはデレクの罪に加担していないし、ジェシカ(ジェマ・レッドクレイグ)も息子が母を想ってやったことみたいになっているので、復讐の対象にはしていないのだろう
だが、情弱の老人から騙し取った金で勝利した選挙には意味がなく、本当のところが隠蔽されても、いずれはその職から降りることになると思う
そう言った観点から「女王のチェンジ」というのは自然と為されるので見逃したのかな、と感じた