見えざる手のある風景のレビュー・感想・評価
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暗い風刺も不思議とポップ。
とぼけた笑いのオフビートな学園ラブコメディ、のように見せかけて、宇宙人に占領(武力ではなく経済的に)された近未来のアメリカを、風刺と皮肉満載で綴っていく。あれ?これってつまり、格差社会の底辺や、経済大国に搾取されている貧しい国々の境遇を、強制的に体験させられることになったアメリカ人中産階級の話よね、と気付かされてからは、もうなにひとつ他人事ではなく、ああ、やべえ、明日はわが身、と思いながらラストにたどり着いていた。不思議なのは、すっかりしょんぼり落ち込みそうなのに、皮肉にもあまり意地悪さを感じないのと、宇宙人の造形や動作がよすぎて、終始楽しく観られてしまうこと。描かれてることが絶望だけど気持ちは朗らかで、大変ありがたかったです!
カップル配信って難しいよね。
見えざる手っていうから経済の話か思ったら微妙に違った。
Youtubeでさえもカップル配信っていろいろ揉めたり分かれたりするのに。まして異星人相手なんて余計大変では。
異星人に支配されるディストピアかと思ったら派手な戦争や励行運動などのアクションなどは無し。
じわじわ権力層がエイリアンに置き換わって中間層が品構想に墜ちてホームレスになるという妙にリアリティのあるディストピア。医師をしてた人間がエイリアン専属の運転手をしているが給与や医師の時の5倍だったりする。えげつない。エイリアンは外国人の暗喩?
それにしても黒人家庭もギリギリの生活なのに、善意でホームレス状態のは苦参家庭を泊めてあげたところで、相手も家も金もないコンプレックスによってどんどん態度が横柄になって軋轢が出来ていくあたり、難民問題の暗喩なのか?
しかしクロエ父さんも兄ちゃんも勝手にパソコン使ったりクソすぎる。
こういう無駄にプライドだけこじらせた自称弱者の白人男性はこじらせると面倒なんだな。
エイリアンと正面切って闘うでもなく倒すでもないエンドがこれまた妙なリアティ。
悪い映画じゃないし深刻すぎる内容じゃないんだけど、現実の問題とリンクしててなんとなく視聴後はぐったりする。
訳が分からない映画
宇宙人の地球侵略もので子供たちのレジスタンス映画かと思ったら、いたって温和なエイリアンでハイテクを餌に支配階級に取り入って極端な格差社会で経済的に地球を支配する近未来が舞台。だから有名な経済学者アダムスミスの「見えざる手」をひっかけたタイトルなのか。
エイリアンの見かけをコーヒーテーブルと言っていたが、たしかに四つ足、ナメクジのような目とギシギシ手を擦る、コミカルに寄せた実に奇妙な造形。
この手のものは侵略戦争ものが主流、「ET」や「未知との遭遇」といった友好的な宇宙人もあったが二極化ではなくその中間的なとらえ方、地球人を洗脳、支配するエイリアンはインベーダーや「ゼイリブ(1988)」でも登場したが本作のヴヴヴ族はいずれでもないユニークなものであることは認めましょう、おそらく今の金持ち層を歪曲化した比喩的表現なのかも知れませんね。
ストーリーは黒人一家と同居する白人一家のファミリードラマ、ユーチューバーみたいなエピソードなどジュブナイル向けに現代社会を風刺したシュールなつくり、正直、面白いかと言えば訳が分からない映画でした。
序盤の面白さでグイグイ引き込まれ
更に加速するかと思ったら、そのままの距離をずーっと保ってユルッと進む近未来SF青春映画。
圧倒的なテクノロジーを持つ宇宙人に支配された地球を舞台に、徹底的に搾取され、日々の生活にも困る市井の人々の生活を描く、独特の世界観の作品。
主人公はアダム、元弁護士の母と妹との三人暮らしだが母も祝を探していて生活が苦しい。アダムのクラスに来た転校生のクロエは住むところもなく一家で車の中で生活している。そんなクロエを不憫に思ったアダムは家にクロエの家族を招き入れ、それをきっかけにクロエとの距離が急速に縮まっていく。
もちろんクロエ一家も無一文、アダムの家だってギリギリの生活なので何とか稼がないと、ということで、宇宙人に向けた恋愛実況なるものをクロエとアダムが始める。
恋愛という感情のない宇宙人にとって、とても興味のあるテーマなので視聴者がつくとクロエは乗り気。
配信の方法は宇宙人から何か情報を授受する際に使う、頭に着けるタイプの受信機。
最初は初々しい姿を配信してた二人、収入も順調に稼いでいたが、同居する家族同士のいさかいが絶えず、二人の仲も徐々に亀裂が入っていく。すると、宇宙人から恋愛実況は虚偽ではないかと宇宙人に訴えられてしまう。
これは宇宙人に支配された世界と見せかけて、現代の様々な問題を映し出している。例えば人種問題とジェンダー問題を、表裏ひっくり返して見せてみたり、テクノロジーの進化によって失われる職業、この映画では先生だっり、視聴者数を稼ぐためにプライベートを切り売りする、なんてまさに旬なテーマも盛り込まれていて、どれもちゃんと映画の中のストーリーの中で無理なく語られているのはなかなか凄い脚本だと思った。
ちなみに宇宙人くんのキャラクターもかなり独特、前足?手?を擦り合わせて声に代わる音を出すコミュニケーションとか、その色合いとか形とかキモ要素が強め。最後までかわいさを見いだせず。性格的にも感情が無い分可愛いところはほぼ無い。が、母の愛情はある模様。
物語自体大きなイベントはさほど無く、リプリーや黒づくめのJやKがいるわけでもないので一発逆転で宇宙人を排除することもなく、宇宙人がいる生活を受け入れていくしかない分救いのある話になりづらい部分はあるものの、それなりに未来は見えるのかなという展開だった。
全編通して流れるテルミンの調べが哀愁を誘う。なんかそこはかとなく閉塞感漂う世界観を優しく包むような音楽のチョイスもなかなか良い、けどやっぱり眠りを誘う。
どうでもいいけど、クロエの兄ちゃんはなんであんなクソ野郎なんやろか。マジで眉毛剃ってキモ顔になってもザマアとしか思えんぐらいマジ嫌い。
映画としては世界観も面白いし、あるかもしれないと妙にリアルでもある(それは宇宙人ではなく宇宙人的な他国の侵略なども含めて)。
少し動きが小さい分眠くならんでもないけど、いろいろ考えさせられる良い作品だと思う。
かわい気ゼロのET.
おもしろかった!
ひねりのあるファーストコンタクトもの、かつディストピアものでもあり、メインは現代の風刺なのかな。
カニ型エイリアンはぱっと見かわいいようで少しもかわいくない。
テルミンのエーデルワイスみたいなメインテーマ曲と相まってどこかとぼけた風味が漂うけど、内容はぜんぜん牧歌的ではない。
日常的にも「あいつはエイリアンだから」と人を評したりするけど、ちょっとは心が通じたのか、と思わせからあーぜんぜんダメだこれ、ってなるところとか、現実でのビジネス人間との断絶感を想起させる。
異邦人たちが現実の人間を無視して古典的な家族像やライフスタイルを要求してくるところとか、鼻白らむ感じが目新しいけど妙にリアルな侵略者像だと感じる。
心に引っ掛かりが残る映画
シュールなSF映画と一言では片付けられない
どこか心に引っ掛かりが残る映画。
エイリアンと支配される人間との格差。
黒人とその家に居候する白人との格差。
YouTubeさながらに恋愛状況を動画にすることでお金を稼ぐ人間。
今の実社会を風刺たっぷりに未来の地球にあてはめて
愛とは何ぞや、信じているものは信じられるのか
考えさせられる映画となっていました。
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