「なんでがわかりきらないSF」ドリーム・シナリオ 西の海へさらりさんの映画レビュー(感想・評価)
なんでがわかりきらないSF
サイエンス・フィクション=SF映画の定義は広い。
人の夢に出て人気者に、何もしないだけの無害さとはいえ
ニコラス・ケイジが夢に出てきたら、それだけでホラーだ。
たくさんの人の夢に出没する、この設定は面白い。
目だって人気者に。バズる感覚に近い。
不特定多数の実生活で知りえない人たちに、自分だけ
自分のことを知られる。有名人あるあるだと思うが
一般人にはそういった体験は縁遠い。
ここまではネタフリだ。映画はもうひと展開する。
夢の中で悪いことをする。ケガをさせたり、殺しに来たりと。
ん?ホラー映画か?そうだ映画内でも言われていた
フレディー感がある。ナイトメアな。
一転して嫌われ者に。シマウマのシマは目立つが、群れの中に
混ざると、ひと塊となって逆に個体がどこにいるのかわかりにくい。
これが、テーマというか物語の根っこみたいなものだと思う。
目立ってしまったポール(ニコラス・ケイジ)は、夢の中で悪さしたせいで
非難され、自分が所属するコミュニティーから追い出される。
仕事、家族、友人(あまりいないけど)。
これって、SNSに例えたら、あり得るはなしで。
自己責任の範囲を越えて、悪意ある受け取り方をされて炎上したら
総シバキに会って、自分が所属するコミュニティーにいられなくなることもある。
目立つってのは、生きていくうえで不便でもあるのだよと言われているようなの
だが、映画的にはオチが微妙で。インセプションのように、夢の中に潜入して
みたいなSFとは違う、もしかしてあるかもSFだなぁと。
本を書いていないのに、出版願望があるポールはどこか「明日から書くし」と
いっていた僕のようでもある。
夢オチでなかったのはよかったが、なんでポールが人の夢に現れたのかを説明
しようとしない。説明をガン無視する設定にSF映画的考えると微妙だが、説明
したところで「それ自体空想の話」なのでどっちでもいいかと。
立ち上がりがいい映画だっただけに、ちと残念。でも最後まで観られたのは
ニコラス・ケイジの演技力なんだろうなぁ。