「【"City of Dreams。私は悪夢。”今作は、突然他人の夢に出没するようになってしまった男を襲う悲喜劇を描く”良くこの不可思議なシナリオを考えたなあ。”と思った不条理コメディホラーである。】」ドリーム・シナリオ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"City of Dreams。私は悪夢。”今作は、突然他人の夢に出没するようになってしまった男を襲う悲喜劇を描く”良くこの不可思議なシナリオを考えたなあ。”と思った不条理コメディホラーである。】
■大学教授のポール(ニコラス・ケイジ)は、ある日多くの人の夢に”何もしない人”として現れるようになる。最初は、生徒達からも不思議がられて、それまで地味だった彼は、注目を浴びて少し嬉しげである。
だが、夢の中のポールは、徐々に”何かする人”に変容していく。最初は仕事で出会ったモリー(ディラン・ゲルーラ)の夢に現れ、激しいセックスをして彼女を満足させるところから、さらにエスカレートして行き、(チラットしか映されないが)拷問、暴力などをするようになり、全然身に覚えが無いのに、街中や友人達から嫌われてしまう。
不思議な事に、妻のジャネット(ジュリアン・ニコルソン)の夢には現れず、”私の夢にはピンチの時にトーキング・ヘッズのあの変な服を着て、助けに来てね。”(もちろん、デヴィッド・バーンがライブの時に来ていたダブダブの”ビッグ・スーツ”の事である。)と言われる始末である・・。
◆感想
・序盤は、クスクス笑いながら鑑賞する。全く身に覚えが無いのに、ドンドン人気者になって行く様に、嬉し気なポール。
一番笑ったのは、モリーの自宅に誘われ、”もう一度、襲って頂戴。”ってな感じで、部屋の隅っこに立たされてから、怖がるフリをするモリーの座るソファの横に座り、キスをしてモリーにチャックを降ろされた途端に、”出しちゃう”シーンである。あの、オロオロしたポールを演じるニコラス・ケイジの情けない表情が絶妙であった。クスクス。
・だが、そんな楽しい時はあっと言う間に過ぎ、夢の中のポールは人々に酷い事をし始め、一気に嫌われ者になって行くのである。
友人のディナーに夫婦で訪れても、夫人の夢で酷い事をしたらしく”もう無理‼”と言って追い返されるし、ダイナーで本を読みながら食事をしていても店の人から”出て行って下さい。”と言われる始末。
そして、到頭ある日ランニング中に、彼は自分ソックリの男からボーガンで矢を身体に撃ち込まれるようになり、その深刻さを実感していくのである。
■だが、彼が起こす不思議な現象は、若手技術者により、”ノリオ”と言う他人の脳にアクセスする仕組みが発明され、彼の著書「私は悪夢」はベストセラーになる。
ー ここら辺が、良く分からなかったのは、私だけであろーか。ー
・それでも、境遇は相変わらずで、娘の学芸会には出禁を学校から喰らい、無理に入ろうとして先生に怪我をさせたり、散々である。
家族からも分かれて住む羽目になったポール。
<ラストも、実に不条理である。
妻のジャネットが何故か囚われており、彼女の周りには炎が。そこにやって来たポールは、デヴィッド・バーンがライブの時に来ていたダブダブの”ビッグ・スーツ”を着て、助けようとするのだが・・。
今作は、突然他人の夢に出没するようになってしまった男を襲う悲喜劇を描く不条理コメディホラーなのである。
良く、こんなシナリオ考えたなあ。クスクス。
エンドロールに流れる、トーキング・ヘッズの"City of Dreams”も、ピッタリの作品でもある。>
■ニコラス・ケイジは、度重なる離婚による大借金を抱えていた頃は、”どんな脚本の映画にも、物理的に出演可能なだけ出演し続けた故に、多数の駄作俳優”という有難くないレッテルを貼られていた。
が、借金を返済し終え、「マッシブ・タレント」で復調したが、それが本当かどうかは今作を観た人の判断によるかな。
還暦を迎えて、ますます盛んな最早、怪優と言っても良いニコラス・ケイジでありました。