「スパイもののポイントは押さえている」ブリックレイヤー おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
スパイもののポイントは押さえている
予告ではさほど惹かれなかったのですが、今週末公開の洋画作品は他になかったので、とりあえず鑑賞してきました。同様の考えの人が多かったのか、田舎の映画館のわりには珍しくなかなかの客入りでした。
ストーリーは、アメリカの諜報活動に批判的な女性記者がギリシャで殺され、CIAの関与が疑われる中、そこに反米感情を煽る意図があり、その容疑者として、すでに死亡した元CIA諜報員ヴィクター・ラデックが浮上したことから、かつての同僚であり今はレンガ職人として働くスティーヴ・ヴェイルが、CIAからの捜査協力を受け、CIAから派遣されたケイトとともに真相を明らかにしていくというもの。
テンポがよく、スパイものらしい二転三転の展開は、最後まで飽きさせません。途中でちょっとややこしくなり、十分に理解できないところがありましたが、大筋はわかりやすく描かれているし、勢いがあるので最後まで楽しく観ることができます。
また、アクションシーンもしっかり用意されていて、それなりに見せ場となっています。近接戦闘が多く、迫力は感じられるのですが、いかんせん暗いシーが多く、激しいカメラワークも手伝って、少々わかりにくいです。それでも、日中のカーチェイスシーンは、高級車で市街地を駆け抜け、なかなかいい感じです。
終わってみれば、数々のピンチ、相手の裏のかき合い、生々しい命のやり取り、それさえも手のひらで転がす組織の思惑など、諜報活動のリアルを体感した、優秀だが現場を知らない諜報員ケイトの成長譚として、心地よい作品ではありました。
そんな感じで、全体的に悪くはないのですが、M:Iシリーズや007シリーズの劣化版という印象が拭えず、本作ならではの個性が光るとさらによかったです。中でも、タイトルにある「ブリックレイヤー」が、ヴェイルのスキルとして、作中でもっと生かされているとよかったです。とはいえ、事件解決とケイトの成長を、“地道な積み上げが確かな成果につながる”ということのメタファーとして描いていると受け取れば、このタイトルも悪くなかったと言えそうです。
主演はアーロン・エッカートで、シブく強いヴェイルを好演しています。脇を固めるのはニーナ・ドブレフ、ティム・ブレイク・ネルソン、クリフトン・コリンズ・Jr.ら。
seiyoさん、コメントありがとうございます。
そんなに上映館が少ないんですね。大作ではないので、無理に観に行かなくてもいいと思います。でも、それなりに楽しめたので、配信が始まったら観てみてください。
来週の「オッペンハイマー」はメッチャ楽しみです!
こんばんは~。
おじゃるさんは、こちらを観られたのですね。
私もスパイ物なので観たいのですが、
東京は3館、何と、埼玉は0館なんですよ。
0とは驚きです。
都会まで観に行く元気はないので、動画配信を待ちます。
来週はオッペンハイマーですね。