「良いところもあるし悪いところもある」劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX Lclcさんの映画レビュー(感想・評価)
良いところもあるし悪いところもある
週に1回、計4回観に行きました。
週替わりの展開があることから、初週から作品を評価するのはどうかと思い、週替わり展開はまだ控えているものもありますが映画の流れや全貌が見えたであろう今になりレビューをすることにしました。
前提として、私が映画を観る上で『映画』とはこうあるべきという指標があります。
それは『1度のみの鑑賞で楽しめること』です。
一部理解できない点やこれってどういう事だったんだろう?と思うこと(意図を持ってわざとそのように制作されている作品もあります)は考察や理解を含め更に映画を楽しむ助長になると思っています。
ですがこの映画はどうでしょうか。
まず、映画を楽しみにされていた方の多くは初日ないしは初週に観にいかれると思います。
ダブルアンコールの無い状態では余りにも説明が足りないと感じました。
『劇中劇』という今迄とは違うことをしたかった。演じるということにすれば彼等の今迄の歩みを隠すことなく表現することができる。
そういった意図を理解出来たのは随分後になってからでした。
1回観ただけではかなり理解しにくいと思います。
『怪盗→宝石に関わった人々→帝国のプリンス』という役柄の変化は説明不足の一言に尽きます。初見では次々と変わる役に着いていくことは出来ず、カルナイのライブ映画を観にきたのに、役になりきっているばかりでカルナイ本人たちの言葉や率直な歌はほぼ無く、何を見せられているんだと理解が出来ませんでした。
ダブルアンコールでは役についての言及があり成程そういうことだったのか、と思うことが出来るようになっています。
初週の時点でこの説明のMCは入れるべきでした。
2週目以降に驚きを感じさせたかったのかもしれませんが、それは初週を蔑ろにしていると私は感じました。
そして、この作品はプロモーションが失敗だったと思います。
謎が多い状態で期待感を上げるというのも分かります。ですが、分からなすぎた。
『ライブ映画』『怪盗(カルナイ)が宝石(多分この宝石というのは色んな意味がある)を盗む』『カルテットエンパイアというものがあり、領地が分かれている』
この情報は読み取れましたが、鑑賞前に関連付けることは難しく、一体どんな作品になっているんだろうと考えると、前作が王道的なライブ作品だったこともあり謎(設定)はさて置き、きっと同じようなものなのだろうと解釈してしまうのは自然なことです。
事前に前作とは違う構成になっている、劇中劇になっている、と分かっていれば少なからず鑑賞の印象は変わったと思います。
QUARTET NIGHT、劇中劇、素材は悪くないと思います。3Dモデルも前作以上に良くなっており、動き、表情、服装の質感等とても良かったです。だからこそ尚更、プロモーションや映画内での表現の仕方次第でもっと良いものが出来ただろうと思うと残念で仕方がありません。
ライブの演出に関してですが『こういうのが好きなんだろ?』というものを詰め込まれたみたいで一貫性がなく、なにを見せたいんだろうという疑問が残りました。
プロジェクションマッピングや、巨大なセットから小物まで、様々な展開は飽き知らずですが『歌で伝える、歌があればいい』と言うカルナイにはやり過ぎなものだと感じる面もありました。
ど派手な演出も結構ですが、歌声にフィーチャーしたパートがあればもっとカルナイらしい映画だったと思うことが出来たのかもしれません。
上記の演出過多に付随して、カメラワークの悪さはより目立ちました。
アイドルを見せたいのかと思えばバストアップの画面が多く、会場を把握出来ない。アイドルを見せるべきなのでは?というところで演出を優先してアイドルが映っていない。すきなところを見れないというのはある意味本当のライブのビューイング感はありましたが、それにしても魅せ方が下手だなと思います。
制作陣のインタビューやXの投稿を拝見しましたがそれを読んで余計、制作陣はQUARTET NIGHTを通じて自分たちの高い技術を見て欲しいという欲があり、こういったカメラワークになってしまったのかなという印象です。
此方としてはカルナイを第一に見に来ているためそのズレは作品全体を通して大きく感じることになってしまいました。
毎週見ている為服装や劇中劇の設定に関しては自然と慣れましたが上記に述べたことや、ソロ曲はライブと言うより場面を繋ぎ合わせたMVを見ている様で没入感が少ないこと、その他気になることが多すぎて素直に楽しむことは出来ていません。
この先も定期的に観には行きますが、何度観ても作品自体は変わりませんし、改善されることはないと判断しこのタイミングのレビューとなりました。
この作品を楽しいと思えるならそれで良いと思います。どうか楽しめる方は楽しんで、良い時間を過ごされることを心より祈っております。
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