「面白いのにいろいろ文句が出てしまう」貴公子 もんちっちさんの映画レビュー(感想・評価)
面白いのにいろいろ文句が出てしまう
・主人公に魅力があると思ったら無かった
・主人公と思っていたら主人公じゃなかった
・敵か味方か分からないのが多いのでもう少しハッキリしてほしかった
・シリアスであってほしかった部分が雑に扱われた
・間延びしたシーンが多い
シュールで味気がない場面が目立つ。微妙な間や不要なセリフ。
そして登場人物の一人一人に他人事感があって感情移入しづらい。
肝心の主人公(と思っていた男)はほとんど喋らない。
となると誰にも感情移入ができないまま最後まで突っ走る。
父親が手を握ったシーンなど、真面目な場面かと思ったら悪い意味での裏切り。
オチの一つが発覚(主人公と血が繋がっていない)したときに安堵感もスッキリ感も無いというか。
伏線が視聴者にもある程度分かるなら良かったけど、読み取りが難しかった。
例えば主人公に「物語を変える力があるのではないか」と思わせる部分がある。
ボクシングが強かったり、ずっと逃げ続けられる機転の良さがあったり、親思いだったり。
その部分が連鎖しない。「連鎖しないなら描写するなよ」となる。
そして貴公子も、金が必要という目的を果たすために主人公を囮に使ったことは理解できる。
でもせめて味方であることを示し続けるべきではないか。
主人公に恐怖を与えたり襲うような素振りは必要なかったはず。頭がおかしいという理由で片付けて良かったのだろうか。
スケールが大きいと思わせて最後は小さい。
敵からチンピラ臭が抜けきれず、もっと凶悪なボスがいると思ったらいなかった。
風呂敷は広く、敵はあっさり死に、主人公サイドは生き残っている。
コメントには「続編を匂わせる」とあるがその通りだった。
とにかく・・・すべては一人の役者の演技でカバーしている(そういう目的の映画かもしれないが)。だから評価は悪くない。
どの役者にスポットライトを当てたかを知らないと楽しめない、というのは映画の基本としてどうかと思ったが、そんな楽しみ方もあると前向きに捉えることもできた。
