「彩色を排除したゴジラ!まるでドキュメンタリーな怖さにイメージが掻き立てられる!」ゴジラ-1.0/C 菊千代さんの映画レビュー(感想・評価)
彩色を排除したゴジラ!まるでドキュメンタリーな怖さにイメージが掻き立てられる!
今回のゴジラ-1.0/Cは本当に楽しみでした。
何故なら、ゴジラ-1.0公開前の「シン・ゴジラオルソ」が想像以上に凄い出来栄えだった事があります。
「オルソクロマチックフィルム」はモノクロフィルムの一種で、赤系統の色が感光されない特徴を持つ他、モノクロフィルムで主に流通している「パンクロマチックフィルム」よりも重い質感の映像が撮影できる独特の生々しい映像が衝撃的でした。
生々しいだけに万人向けと言う訳では無いのですが、その生々しさが強烈な個性を引き出しシン・ゴジラが覚醒し名曲「Who will know」と共に街を焼き尽くすシーンは圧倒的な絶望感に鳥肌が立ちました。
今回のゴジラ-1.0が世界的にも高評価なのは周知かと思いますので-1.0と/C(マイナスカラー)の違いについて比較してみると、まずは冒頭の大戸島の「呉爾羅」のシーン、これだけでも観る価値ありです。やはりモノクロの世界だと夜のシーンは明暗コントラストがはっきりしているので正直カラーより怖さ倍増です、リアルさがすごすぎてドキュメンタリー見てるかのようですし、昭和感も満点なのでモノクロの良さが一番ダイレクトに伝わると思います。ただし冒頭の印象があまりにも強烈なためその後の昼間のシーンはややコントラストにかけている印象があるかもしれません。銀座のシーンで街を破壊し尽くす熱戦放射と土埃舞う街、黒い雨、駆逐艦隊シーンの質感や軍港シーンとかはとても良いですが、マイゴジの背ビレ隆起熱戦放射、重巡高雄を水中から熱戦放射するシーンなどはどうしても昼シーンなのでコントラストがぼやけてしまう印象、カラーの方が良かったかもしれません。
いずれにせよ、カラー/マイナスカラー共にそれぞれ良し悪しがあり、本当に2作品分楽しめる面白さがあります。全国340館上映というのもモノクロ映画としては異例ですし、やはり今回のゴジラ -1.0はまさに日本映画のエポックメーキングです。
(米アカデミー賞日本からの推薦作品「パーフェクトデイズ」も勿論すごく良いのですが、なんか気取った映画を選びがちな国民性というか選考委員様方、おフランスのカンヌやベルリンのブランドに弱いですよね、でも映画ってエンタメでこれだけ多くの人の想像力を掻き立てて、それこそスピルバーグやルーカス・コッポラなどのワクワクドキドキが牽引してきた世界ですので今回のゴジラ をアカデミー賞の日本代表にするべきだったと残念に思います。
ハリウッドの凋落が叫ばれてる昨今はまさにこの有無を言わせぬエンタメワクワク感が無さすぎで、金はかかっていてもつまらない作品ばかり、久々トップガンで話の中身は無くても圧倒的な映像、有無を言わせぬ痛快なアクションにこんな作品は日本では絶対作れんと思ってたところの今回のゴジラ。正直色々な意味で感動です。
サンディエゴ映画批評家協会賞最優秀視覚効果賞
第12回ノースカロライナ映画批評家協会賞最優秀視覚効果賞
ジョージア映画批評家協会賞最優秀国際映画賞
受賞!って視覚効果賞って国産映画で今までハリウッドに大差つけられ、一生縁が無いと諦めていた分野なのに凄すぎ!)
余談になりますが、今回のゴジラ -1.0で初めて(キワモノ扱いで行ってなかった)4D体験をしたのですが、予想以上に楽しめます(4回行ってしまった笑)。4DXとMX4Dと2種類あるのですが個人的にはMX4Dがよりハードで体感度は高いと思います(結構シートが動くので手すりは両手持てる隣空き席が良いです、座席はその分広めなので座席数は少ない)。それと、何と言ってもドルビーシネマ!カラーのままでもコントラストがはっきりとしたモノクロに近いような生々しさに迫力サウンドはIMAX以上かもしれません(上映館少ない・・・増やしてくれー!&マイナスカラーの上映なし)、IMAXは額縁上映の批判はあるものの十分に大画面でとにかくサウンドはザ・体感!レベルの大迫力なのでゴジラ -1.0のような作品は十分楽しめます(こちらもマイナスカラーの上映なし)。最近またトップガンマーヴェリックのIMAXやってますが、ゴジラとかの体感型映画はやはりラージフォーマット&体感サウンドで何度も観たいです、年末年始にその一年のIMAXリバイバルを朝一やラスト上映で良いのでぜひやって欲しいですね)