劇場公開日 2024年3月29日

「相手への思いやりが大切だよね」ラブリセット 30日後、離婚します おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0相手への思いやりが大切だよね

2024年3月29日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

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幸せ

最近、韓国映画にハマっていて、予告もおもしろそうだったので、公開初日に鑑賞してきました。期待どおりのおもしろさで、改めて韓国映画の質の高さを実感してきました。

ストーリーは、貧乏な家柄ながら努力して司法試験に合格したジョンヨルと、裕福な家に生まれて美人だが大酒飲みで気が強いナラが、大恋愛の末に結婚したものの、やがて互いの嫌なところばかりが目につくようになって離婚を決意するが、裁判所の調停で30日間の熟慮期間を設けることを言い渡された帰り道、交通事故で二人とも記憶を失ってしまい、記憶を取り戻すために事故前と同じ生活を再開する中で、二人が新たな関係を築いていくというもの。

まずは序盤、調停の場で互いの非を責め合う姿が、滑稽で楽しいです。それぞれの言い分も理解できるし、誰もが似たような経験を思い出し、共感しながら作品世界に引き込まれます。とにかく主演二人のコメディに振り切った演技が最高です。その後、交通事故で記憶を失くした二人が、ナラの妹を監視役に迎えて元の生活を再開するあたりは、ちょっと強引な感じがしましたが、この妹がなかなかいい味を出していたのはよかったです。

二人の距離が少しずつ縮まりながらの最終盤、ボールに書いたメッセージ、離婚届の提出期限、冒頭のナラのメッセージ等、ここまでに散りばめた伏線を回収しながらクライマックスに向かう展開が実に鮮やかです。そのままハッピーエンドかと思いきや、そこからさらに一旦落とすあたりは、コメディへの強いこだわりを感じます。でも、観ている側の気持ちからすると、ベタだけど搭乗ゲート前で終わってもよかったかなと思います。ちなみに、エンドロール後にもちょっとだけ映像がありますので、気になる方は最後まで席を立たないでください。

どんなに愛し合って結婚した夫婦でも、一緒に暮らせば相手の嫌なところも見えてくるしケンカもします。それでも最終的に離婚を選択しないのは、愛が嫌悪や憎しみを上回るからでしょう。そのためにも、植物に水をやるように、相手への思いやりを忘れず、愛も慈しみ深く育て続ける必要があるのでしょうね。ジョンヨルとナラは今回の記憶喪失がよいきっかけになったように、今危機が近づきつつある夫婦も本作をきっかけにして、もう一度パートナーとのいい思い出を重ねる努力をしてみるといいかもしれません。

主演はカン・ハヌルとチョン・ソミンで、冒頭での罵り合いから、もう一度愛を育み始める演技がすばらしいです。特にチョン・ソミンのお嬢さまとは思えないような本性丸出しの姿が秀逸です。脇を固めるのは、チョ・ミンス、キム・ソニョン、ユン・ギョンホ、ソン・ヘナ、オム・ジユン、ファン・セインら。なにげに二人の母親役もなかなかの存在感を発揮しています。

おじゃる