劇場公開日 2024年4月5日

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「伝統的価値観の変質と、親の役割、家族の絆」アイアンクロー アイアムユアドリームさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5伝統的価値観の変質と、親の役割、家族の絆

2024年6月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

1980年代のプロレスを土台にした話なので、オールドプロレスファンにはたまらない作品だと思います。
試合会場等のロケーション、セット等が当時の雰囲気を忠実に再現していて、そういった部分の制作陣のこだわりには感心しました。

また、今ではレジェンドとなった当時のトップレスラーたちの再現度も高く、知識のある人ならクスっとなったり、おおっ!となったりすると思います。

ただし、ストーリーの根幹部分はプロレスそのものよりも、アメリカ、及び西欧世界の伝統的な価値観が徐々に変質していく中でもがき苦しむ登場人物たちと、親の役割とは何か、家族の絆について描いた作品だと思います。

事実を下敷きにして製作されていますが、作劇上、事実と異なる部分も多々あります。
(主にケリー・フォン・エリック周りと、登場しない5番目の弟)
また、ボカシてある部分も。(ドラッグ関係のことは、映像として出てきますが言及されません)
ですが、あくまで演出上、物語をわかりやすくするための物なので、その点では不満はありませんでした。

いわゆる伝統的なアメリカ的、西欧的考え方である「マッチョイムズ」と「キリスト教的価値観」、そして、「成人した子供を大人として扱う両親」と、「都合の良いときだけ子ども扱いしてくる両親への葛藤」、そして、それを乗り越えようとする兄弟の絆。
色々な関係性、物語性、メッセージ性が込められている作品です。

70年代、80年代へのノスタルジーを感じつつ、現在の価値観からはすでに失われてしまった伝統的な考え方、そういった物について考えさせられる作品でした。
「プロレス物」という色眼鏡を取っ払って見ても、良い作品だと思います。

アイアムユアドリーム