「ツッコミどころが多くて没入できない」六人の嘘つきな大学生 カワさんの映画レビュー(感想・評価)
ツッコミどころが多くて没入できない
飛行機で見ました。原作を読んでないので、原作が悪いのか、無理やり映画にしたことが悪いのかわかりませんが、とにかく就活や就活生に関するリアリティが無さすぎて没入できないし、ミステリーとしての説得力が皆無。まあフィクションってそういうもんなのかなとも思うが、実際に就活や人事を経験したことがある人なら120分間「ありえんだろ笑」とツッコミを入れることになる映画。医療ものや法律ものでもよくあることだが、ディテールにリアリティがないと物語全体が安っぽくなるという典型例。以下ネタバレあり。
【登場する企業について】
・6人だけ最終選考に残り1ヶ月後にグループディスカッションをする、しかも1人の内定者を6人で協議して決めてくれと学生に丸投げするという選考方法がまずありえない。細かいことを言うと一万人がエントリーするような一流企業の人事が最終に残った学生に対してあんな冷血な態度を取ることはありえない。まあこれはフィクションだし、この映画のキモになる部分なので多少非現実的なのは仕方ないかなとは思った。
・そのディスカッションの密室で大トラブルになり、怒号が飛び交い胸ぐらを掴みあったり、企業が関与していないアイテムがディスカッションに登場したりするわけだが、それを企業側は隣室で監視してるのに完全無視。ありえなさすぎる笑。
この時点でこの企業自体が今回のゲームの黒幕的な存在だというオチかと思ったら最後までその要素は全くなし。嘘だろ?ありえないし、そういう話にした方がまだ面白かったと思う。
【登場人物について】
・一流企業の最終選考に残った六人という設定だが、人事が隣室で見てるのに感情的になって大声を出したり、汚い言葉で相手を攻撃したり、ディスカッション前に自分を推薦してくれと言ったり、まだ若者だということを差し引いても人間として低レベルすぎる。こんな人物が人気企業の最終選考まで残ることにリアリティがない。
・どれだけ志望度の高い会社であろうと、就活生が一つの会社の内定を取るためだけにあそこまで固執して感情的になることにリアリティがない。
・学生の中に犯人がいるわけだが、その犯人がやったこととその動機の説明が意味不明。サイコパスっぽいんだけど、そういうわけでもないし、なんでそんなクソめんどくさいことをわざわざやったのかが最後まで全く理解できないで終わる。「は?」ってなる、悪い意味での意外性。
・浜辺美波さん演じる学生が外面はいいが何か秘密がありそうな感じで描かれているのだが、結局最後まで裏の部分が明かされず、リアルに事務所NGか何かですか?と思った笑
テーブルミステリーみたいなジャンルなのかなと思うが、ツッコミどころが多い上にオチの説得力やパワーが無さすぎて、全く時間の無駄だった。浜辺美波ちゃんは可愛いので彼女を売り出すために作られた映画と言われれば納得。