劇場公開日 2024年11月22日

「ミステリーを不満が残らないよう作るのは難しい」六人の嘘つきな大学生 サイレンスさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ミステリーを不満が残らないよう作るのは難しい

2024年11月27日
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鑑賞方法:映画館

とても惜しい作品に感じた。
シチュエーションは面白い。
展開も悪くない。

しかしやはりミステリーの肝は
「いかに作品内の謎を解明するか」。
ほとんどのミステリー作品は
ばらまかれた謎をいくらか残して終わる。
たまにわざと謎を残して考察させる作品もあるが
大抵は謎をただ拾えきれずに幕を降ろす。

この作品もまさにそれ。
その他の映画として気になる点を差し置いても
やはり根幹の「謎」に関する部分を
いくらか回収しきれていない。

正直ミステリーというジャンルにおいて
キレイに風呂敷を畳めることの方が珍しい。
更に近年では伏線やどんでん返しが好まれる時代なので
根幹の謎以外にも畳まなければいけない風呂敷は多くなる。
それが更にミステリーというジャンルを小難しくし、
キレイに気持ちよく終わらせる事を許してくれない。
そして今作もご多分に漏れず、
「いかにどんでん返しをするか」に気を取られて
物語中盤までの言動や展開が矛盾してしまっている。
原作を読んでいないのでもしかしたら
そちらで上手くやっているのかもしれないが、
だとすれば小説を120分の映画にするとなった際に
説明足らず・言葉足らずな部分が出てきてしまっている。

この作品というよりは
現代のミステリー作品における課題なのかもしれない。

サイレンス