「ミステリーを不満が残らないよう作るのは難しい」六人の嘘つきな大学生 サイレンスさんの映画レビュー(感想・評価)
ミステリーを不満が残らないよう作るのは難しい
とても惜しい作品に感じた。
シチュエーションは面白い。
展開も悪くない。
しかしやはりミステリーの肝は
「いかに作品内の謎を解明するか」。
ほとんどのミステリー作品は
ばらまかれた謎をいくらか残して終わる。
たまにわざと謎を残して考察させる作品もあるが
大抵は謎をただ拾えきれずに幕を降ろす。
この作品もまさにそれ。
その他の映画として気になる点を差し置いても
やはり根幹の「謎」に関する部分を
いくらか回収しきれていない。
正直ミステリーというジャンルにおいて
キレイに風呂敷を畳めることの方が珍しい。
更に近年では伏線やどんでん返しが好まれる時代なので
根幹の謎以外にも畳まなければいけない風呂敷は多くなる。
それが更にミステリーというジャンルを小難しくし、
キレイに気持ちよく終わらせる事を許してくれない。
そして今作もご多分に漏れず、
「いかにどんでん返しをするか」に気を取られて
物語中盤までの言動や展開が矛盾してしまっている。
原作を読んでいないのでもしかしたら
そちらで上手くやっているのかもしれないが、
だとすれば小説を120分の映画にするとなった際に
説明足らず・言葉足らずな部分が出てきてしまっている。
この作品というよりは
現代のミステリー作品における課題なのかもしれない。
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