トラペジウムのレビュー・感想・評価
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アイドル誕生前夜
アイドルを目指すヒロイン・アニメ。今やすっかり定番のジャンル。
担当声優たちが作中のキャラやグループのまま“アイドル”として活躍し、楽曲も大ヒット。パフォーマンスも本格的。
仲間が集まり、練習、友情、挫折、成長を経て、念願のデビュー…話もTHE王道。
キャラデザインも可愛く、皆キラキラして、ピュア。
夢=アイドルを目指して。
本作もそんな王道系でありつつ、“陰”が。
元乃木坂46の高山一実が現役中に発表した小説が原作。
光も陰も含めて、これがアイドルのリアルか…!?
アイドルを目指す高校生・東ゆう。
大抵アイドル・アニメの主人公はピュアだが、本作のゆうはちとヤな性格がちらつく。
アイドルになる為、とにかくひたすら奔走。仲間集めに、南へ、西へ、北へ。
その頑張りようは見上げたもの。
が、仲間集めも注目も存在アピールや売り出しも、計画ノート通りに。ボランティア活動も善意からではなく、後々プラスになる打算としてとか、計算高さにちとドン引き…。
嫌な事や自分の思い通りにならない事があると、舌打ちや毒づき。
メンバーで恋愛スキャンダル。冷たく突き放す。
アイドルになる事やアイドルになってもアイドルとして居続ける事が絶対。
その為には何を切り捨ててもいい。嫌われたっていい。
アイドルはそれ以上のものを得、皆から愛される。
友情だって。
いや、ゆうにとっては“友達”ではなく、アイドルとしての“仲間”でしかないのだ。…その大切さに気付くまでは。
お嬢様風の華鳥蘭子。
ロボット・コンテストで注目された大河くるみ。
小学校時代の同級生、亀井美嘉。
ゆうの目的の一つ。東西南北から可愛い子を集める。
自分が“東”で、各方角の高校に足を運んで見つけたメンバー。
“南”蘭子はキャラ個性、“西”くるみは可愛さ、“北”美嘉はルックス。ゆうの目利きやプロデュース能力もまんざらではない。
その甲斐あってTV取材で注目され、そこからはトントン拍子に。
事務所に入り、“東西南北”としてアイドル・デビュー。曲も出し、一躍人気者に。
夢ではない。本当に私たちはアイドルになったんだ。この後の事も…。
目が回る忙しさ。学業にアイドル活動に。
ゆうはアイドル活動に熱心だが、他の3人は…。
ゆうみたいに絶対にアイドルになりたかった訳じゃない。ゆうに誘われ、流れに身を任せる内に…。
それでも最初は楽しかった。が、忙しくなるにつれ…。
自分が自分じゃなくなっていく。
美嘉は恋愛スキャンダル。元々目立つ事が苦手だったくるみは精神不安定に。
せっかくここまで来たのに。足を引っ張るメンバーにゆうは叱咤。
アイドルは世界で一番の仕事。幸せな事。
だが、その声は届かなかった。皆の事より自分の事だけ。
あっという間に人気アイドルになった東西南北はあっという間に活動停止。ゆう以外は事務所も退所。
終わった。アイドルも夢も…。
あの日々は夢だったの…?
私はアイドルだったの…? 私たちはアイドルだったの…?
一人になって思い出す事はアイドルへの未練ではなく、メンバーの事。
仲違いした今だけど、一緒に練習して、遊んで、仕事して、笑って楽しんだ。
“メンバー”や“仲間”じゃなかった。“友達”だった。
ある時美嘉と再会。わだかまりナシの笑顔の再会だった。
小学校の頃いじめられていた美嘉。それを助けてくれたのがゆう。その時から一番のファンだったんだよ。
皆でよく練習した高台で皆と再会。東西南北の歌も収められたアルバムがリリースされ、皆それを手にここに集った。
自分勝手だった事を謝るゆう。
東西南北の再結成や復帰は無い。皆、それぞれの道を。再会は新たなスタート。
皆でアイドルを目指す王道系と思いきや、
アイドルになるまでと言うより、アイドルになってから。アイドルである事の辛辣さ。
ゆうは再びアイドルの道を。人気アイドルへ。
プライベートでは4人でよく会う。
人気アイドルがブレイク前、知る人ぞ知る活躍をしていた。短命に終わったアイドルグループがあった。
アイドル誕生前夜。
元人気アイドルだからこそ描ける、フィクションでノンフィクション。
これこそがフィクションの神髄・映像作品の神髄
物語はそれを観るひとのためである必要がある。勿論両論あるだろうが、少なくとも私はそう思う。娯楽作品である以上原則的にそれは鑑賞者の癒しのためのツールであるという側面が必要であるし、しかしそれとは別に、鑑賞後からやってくる現実の世界を生きる上での助けとなる教訓と励ましと、そして背中を押す情報である必要もあるだろう。そしてなによりこの作品は観ていて“ワクワク”した。そしてそれは、非日常と現実の交差によってもたらされる。異物がすぐそばにあるという緊迫感と、一方でリアリティのエンタメ化が効果的に実現されている。
そしてなにより、今作は“映画”している。原作は一人称視点の小説である。主人公の主観にそのまま没入できるものであったが、今作では一歩引いた、客観的な物でありつつも、没入感を保ち、リアルタイムをそのままに感じられる。原作では比較的長めなシーンも全体として多少のオミット・変更はあるが、そのディティールが客観的な時間の中で見事に完結する。ここでも主観と、客観的な映像の両輪で現実性とフィクション性が交差している。
また今作は映像制作という集団活動についての示唆にも富んでいる。映画は単独で創られるものではない。映画は大規模になればなるほど、一人の作家が制御できるキャパシティを超える。無論小説だって一人執筆されるものではないが。今作は原作が、あるいは作家が持っていた主観的な感覚も維持しつつ、普遍性を持った映像作品に昇華できている。集団が、原作について、あるいは作家の意図や感性について考えに考え抜いたが故に、ある種作家の単独での作業以上に作品がブラッシュアップされる。これは別に所謂原作付きに限ったことではなく、作家を持つ全ての映像作品に対しても同じ理屈が通るだろう。
最後に内容の話をしよう。この話には希望が詰まっている。自分にとって一番近い現実は他でもない自分であり、それを受容し、胸を張って肯定できる。誰か・何かではなく自分であることに誇りを持てるつくりは、まさに生きる希望をみせてくれる。それをもたらす要因はやはり程よいバランスの現実と虚構のつり合いで成り立っていることは言うまでもない。
アイドルものって難しいよね。
CloverWorks制作やったし、乃木坂46の人が原作ということでどんなものかと思って、内容全く知らずに見てみた。冒頭でアイドルになりたい系って分かって、個人的にアイドル作品があんまり面白いと思ったことがないから大丈夫かなって少し心配になっあ。ちなみに唯一「神クズアイドル」という作品だけ面白いと思った!(それもギャグ要素強めで笑えたからやけど)。
東西南北のメンバーの中で主人公の性格が、難ありって感じで、徐々に自己中になってメンバーにキツく当たって行く感じが苦しかった。(別の目線からいうと夢に向かって全力!って言う側面もあってそーゆーのはいいのだが、、、)起承転結はあった。
くるみさんのcv羊宮さんが合ってない気がした、、、。
リアリティがある
現代のアイドル活動のリアリティを感じた。
アイドルになりたい感情とアイドル適性は相入れないものがあるのかもしれない。
希望もありつつ容赦がない感じが個人的には好きでした。
主人公に共感できないという意見をちらほら見たが、主人公の言っていることもわからなくはないなと思った。やりすぎなのはわかるけど笑
青春のほろ苦さ
青春の1ページ
アイドルに限らす、テレビに出てきた有名人が登場の際は目立つ
光った存在であったのに、ある時期から、ほぼく見なくなるという
場合が多い。
大体は「大衆に飽きられた」のが原因でテレビの仕事が無くなる
事が多いのだが、この映画の様に「空中分解」の様に消えていく
場合もあるのだろう。
「アイドルなんか、やらなきゃ良かった」と思った時期もあった少女達で
あったが、最終的には「青春の1ページ」の中で「アイドルの時期」が
あって良かったという結末になる。
多くの場合「青春の1ページ」が、自分の「人生の1番の中心」となる
事があるので、それならば絶対に間違わない「青春の1ページ」の
描き方は何かと聞かれれば、私自身もその答えが何かと分かれば
苦労しないのである。
今現在も「青春の1ページ」となる「夢」を追いかけている若い人々が
多くいる中で、皆のそれが「人生の1番、充実した時間」となることを
切に願う…
乃木坂舐めてました。面白かったぁ!
いやぁ、アイドルになる為にはボランティアの爺ちゃん達を転がしてでも、のし上がっていくという主人公のサイコパスっぷりが最高でした。爺ちゃん俳優のあり得ないレベルの棒読みとこは気になりましたがw
清楚系だったメンバーに恋人が発覚したときは「 彼氏がいるなら友達になるんじゃなかった! 」 と捨て台詞を吐いたりして今までに見たことが無いクズっぷりを発揮してある意味痛快でした。
メンバーの笑かし担当が精神が崩壊するシーンなどは往年の大映ドラマのようで、何の映画を見てるのかが分からなくなってしまいました。
まぁ、色々あって数年後。主人公だけ大女優になってメンバーと再会してキャッキャうふふするんだけど、あれだけ修復可能な別れ方をしておいて、そうなるかぁ?とも思いましたが、うまく伏線を回収しているので、これはこれで良し!と思いました。
秋元康が嫌いな人は先入観無しに見てほしいな?これは本当によく出来た映画ですよ!
不親切な傑作青春映画
この映画は不親切だ。
なぜなら、かなりしっかり見ないとキャラクターのモチベーション、行動の根拠といった大切な情報を見落とす造りになっているからだ。
見落としやすい要素で一番大きなものは、クライマックスの展開『アイドルに巻き込まれた他三人、特に大河くるみは、なぜ主人公東ゆうを許したのか?』であろう。
大河くるみは抜群に可愛いが人見知りで注目されるのが苦手なロボ好きの少女だ。そんな彼女がアイドルをやったらどうなるかなんて火を見るよりも明らかで、実際彼女は限界まで追い込まれグループ崩壊のきっかけになった。主人公に利用され、そんな酷い目に合ったのに、なぜ彼女は主人公を許せるのか?彼女は聖人なのか?それとも主人公に都合がいいだけの薄いキャラなのか?
その答えは、一度立ち止まって大河くるみの視点で全体を見ればが分かる。
逆なのだ。『なぜひどい目に合ったのに許したか?』ではなく『なぜひどい目に合うと分かっていてアイドルをやったのか?』だ。
彼女にとって東ゆうはとても都合がいい人物である。孤立していたときに都合よく向こうからやって来て、初めての同性の友達になってくれた。もう一人の友達を紹介して居場所を作ってくれた。行き詰っていたロボコンの試運転をするプールを提供して最後まで付き合ってくれた。おかげで準優勝という結果も出せた。そんな東ゆうがなにやらTVとアイドルに強い意欲を示している。目立つのは苦手だが、嫌だったボランティアもこの4人でなら楽しかった。ならTV出演もやってみてもいいかもしれない。
彼女は目的の達成も欲しかった普通の青春も東ゆうに貰っている。だから東ゆうにやりたいことがあるなら手伝いたってあげたいと思うのは自然だ。先に貰ったものを返そうとしたのだ。
本質的にアイドルに向いてない、興味もない大河くるみがアイドルをやる理由なんて『東ゆうが、この4人の関係が好きだから』しかあり得ない。逆に言えば、苦手なアイドルを限界まで続けられてしまうほど大好きな友だちなのだから、アイドルに付き合いきれなかったことで友だちまで辞めるのはおかしい。その程度で手放す仲ならそもそもアイドルなんてやってない。
──といった大河くるみの心の動きは作中の描写から読み取れる。読み取れるのだが、ロボコンのシーンは極少ない。TV出演後の心理は、南さんに漏らした言葉の足りない吐露と彼女の言動─例えばカメラを向けられたり知らない人に注目されると俯くけど、4人でのロケになると楽しそうにしているといった姿─から読み取る必要がある。また、明確な表現が少ない代わりに、彼女らの心情を表す暗喩は表情、光り、背景や小物を使って豊富に用意されている。
いや、分かるかぁ!!
大河くるみに限らず、東ゆうのオリジンとか3人への想いとか、華鳥蘭子と亀井美嘉の価値観や心情とか、必要な情報はこの映画には確かに描かれている。いるのだが、前情報なしの完全初見で読み取れるかというとかなり厳しい。少なくとも私は読み取れる自信がない。スタッフは視聴者の鑑賞力を過信してないか? ただ、2回3回と観れば、あるいはある程度ネタバレされた状態で見ればちゃんと読み取れるように作られているのも事実だ。
また、こういう構造になっているのには意味がある。この構図はアイドルという結果だけを追い求めたために、大切なものが見えなくなっている主人公の視点そのものだからだ。「主人公の性格が最悪」という感想は、東西南北が破綻して泣きじゃくり、「私って嫌な奴だよね」と漏らした東ゆうの自認そのものだ。一種の叙述トリックである。まあ、叙述トリックを使っているくせに種明かしが甘いのはこの作品の瑕疵だろう。
東ゆうの視点を超えて、実のところこの作中では何が起こっていたのか、東ゆうは何をしたのかを把握するためには、彼女が見落としていたものを掬い上げるように視聴者がアクティブにこの映画を読み解く必要がある。
なんで視聴者がそんな労力を追わねばならんのだというの意見も正論なのだが、こういう隠された意図を探り出していく行為は好きな人にとっては物凄く楽しい。
そうやって考えれば考えるほど、夢を追う主人公の狂おしいほどの情熱と夢に純化しきれない人間らしさ、それぞれに問題を抱えた彼女たちが紡いだ友情が浮かび上がってくる。そこには青春の輝きがある。
繰り返しになるが、そういった深読みに耐えられるようにこの映画は丁寧に作りこまれている。
だから私は、この作品は非常に不親切だが、それでも、だからこそ、傑作であると思う。
東ゆう、おもしれー女!
原作小説は既に読んでます
ゆうちゃんの計画?行動力?と言うものがすごい
まず制服で堂々と他校に乗り込むと言うことに驚いた
あと友達になってもらうためにロボットやらのことを知ろうとしたり凄い
あとは美嘉ちゃんと2回目にあった時に「ボランティアに興味ありませんか?」と問いかけてきたのは面白かったw
東ゆうちゃんの声の方の演技はすごかった
例のけろりらさん作画?のシーンの演技の時、ポップコーン食べる手をとめてしまうくらいびびった
最後は皆それぞれ頑張ってて、私はにっこり大満足です笑
演出が素晴らしく、見応えがある
この映画は、演出がとても素晴らしく、ストーリーに厚みを持たせている。第一に、主人公の行動が理解できないといった声がチラチラと聞かれるが、ぜひともOPがYouTubeに上がってるので見直してほしい。主人公のアイドルになぜ固執するようになったのか、またアイドルのオーディションを受け落ちるとこも描かれている。正直、最初見ても気づかず通り過ぎるが、90分という短い時間で詰め込むためにとても良い演出だと思う。
第二に、キャラたちの表情がしっかりと場面ごとに変わっている。話しているシーンではどうしても話者に目が行くが、その周りにいるキャラにも注目してほしい。そこから十分に心情を読み取れるはずである。表情が直接的な感情描写へのつながりとなっており、特にくるみは初めからうつむきがちであった。まだまだ、多様な表現は様々なところに詰まっている。ぜひとも1回のみならず何回もそして原作も読み、この作品を味わい尽くしてほしい。
難しい映画
原作未読です。
アイドルに対する怖さ、憎さ、素晴らしさを感じる、難しい作品。
序盤から主人公は明確に腹黒く見えるように描かれており、主人公が打算的な行為をする際はキラキラした表情と音楽が合わさる為、余計に行為の不気味さが強調されて演出が上手いと思います。
特に文化祭のアイドル服で撮影するシーンの下りは演出のエグさに若干引きました。
後半はそりゃそうなるわなという展開にはなりますが、最後のシーンを見て思ったのは例えそれが打算的だったのだとしても、素晴らしいと言える瞬間も確かに有ったな〜と。
物語を俯瞰している(アイドルの裏側を知っている)鑑賞者は打算的な主人公を散々見せつけられますが、裏側を知らない、例えばキーとなる車椅子の女の子にとっては文化祭のアイドル衣装のシーンも含めて、確かに主人公から勇気を貰っているだろうし、あの子の目線では確かに主人公は憧れのアイドルだったと考えるとアイドル(偶像)の意義、素晴らしさも解る気がします。
最初は余りにも主人公が悪く見えるように描かれているので、アイドルのイメージに対する警鐘がテーマなのかと思いましたが、最後まで見終わるとそんな単純なテーマではないと解り何とも難しい。
結果、劇中セリフの「いい所も悪い所もある」を思い返してそういう事か!と納得しました。
タイトルなし(ネタバレ)
夢に向かって一途に行動する主人公の行動力は本当に素晴らしいです。
だんだんとメジャーになるにつれて、メンバーの中で徐々に認識がズレ始めたり
突っ走る主人公は周りが見えなくなるなどの、リアルに表現ができているな~と感じました。
私は登場人物のそれぞれの素直な気持ちや今後に向けた選択がどれも尊く感じ、
そして前に向くメッセージを映画から感じました。
星になろうとした若者の結末とは!?
主人公の高校1年生の東ゆうは夢があった。それは東西南北から女の子を集めてアイドルグループをつくるという夢。なぜその夢を叶えたいのかというと、アイドルをみたとき、思った。人間は星になれるんだって、みんなを笑顔にさせて、楽しくさせる美しい星になれるんだ、だからアイドルになりたい‼️と。東は純粋で努力家である。自分の夢が決まっていて、それをしっかり言語化して、叶えようと努力する。自分の気持ちに正直な人間である。性格は悪いが、高校生という精神的に未熟な年頃から誰でもそうであろう。というか人間はみんな性格は悪いのだ。東はアイドルメンバーを集めるために奔走する。自ら色々な高校に出向き、スカウトする。メンバーの趣味を聞き出し、色々勉強し、メンバーの好感を得る。華鳥蘭子、亀井美嘉、大河くるみ、それぞれ個性的な性格をした人間である。メンバーのスカウトに成功した東は、次の戦略を開始する。メンバー全員でボランティア活動をして、グループの好感度を高めるのだ。しかし、それは頓挫し、東は機嫌を損ねる。次に行ったのは、観光地で外国人に英語で建物や歴史を説明するボランティアだ。その観光地にTV局が取材しにくるので、そこで注目を集めて、グループを売り出そうというのだ。結果は、TVではカットされて、東はガッカリするのだが、ADからの電話で外でのロケ撮影をしてみないかと提案される。これを東は受け、無事に東のアイドル計画はトントン拍子に進む。歌を歌い、踊り、TV出演、事務所に所属、東の夢であるアイドルになれたのである。これで晴れて、星になれたね、ちゃんちゃんでは終わらない。徐々にメンバー内で不満が溢れる。大河くるみが楽しくないと感じる。大河はロボット専門学校の生徒で、人様に立って何かを積極的に表現するのが得意ではない。大河は疑問に思う。本当にアイドルってこうなの?本当に有名人になって幸せなの?不特定多数の人に認知されて本当にうれしいの?大河の精神が徐々におかしくなってしまう。そして、ある日、亀井美嘉の熱愛写真が流出してしまう。東は激怒し、友達にならなければよかったと告げる。歌のときに口パクがどうのとかで、揉め、徐々にグループ内に暗い陰鬱な雰囲気が漂う。ネットでは下手くそだのアンチコメント、誹謗中傷を浴びる。メンバー内で笑顔が消えて、我慢して、辛い思いをして活動を行うようになる。何かが間違っている。明らかにそう思えた。そして、それはついにくる。大河くるみが発狂してしまう。もうやめたい‼️もう行きたくない‼️心が拒絶して、精神が壊れてしまったのだ。東は引き止めようとするが、華鳥が止める。もう解放してあげましょうと、しかし、東は暴走する。アイドルは美しいんだよ‼️人々を笑顔にして、楽しませるんだよ‼️その場面はもっとも現代人の心の声を代弁している。誰だって有名になりたい、チヤホヤされたい。誰だって、承認欲求を満たしたい。その時の東の顔は狂気そのものである。亀井美嘉は泣き、今の東ちゃんはおかしいよ、怖いよ、と言われ、東の夢は破れる。亀井に周りの人を笑顔にできないのに、アイドルなんてできないよと言われる。東は自分はアイドルに不向きな人間だと理解する。そして、グループは解散し、メンバーはやめ、東も辞める。自宅に引きこもり、食事も喉を通らず、学校にも行かずに、寝込む。母親は心配するが、東は泣くのを堪える。電車を待っている時の女子高生達の将来どうする?大学に行くのか?という話が東の耳に入る。アイドルの夢がなくなった今の自分に将来などあるのだろうか?何もなくなった自分は何を目指せばいいのだろうか?東は純粋で正直で努力家である。やりたいことや夢があれば、それに一直線に向かって進めばいいのだが、その目指すべき道がなくなった今、どうすればいいのかわからないのは当然だ。東は途方にくれる。これからどうしよう?そこでお世話になったADから電話がかかってくる。ADからは番組の音楽CDに東達のアイドルの音楽が入っていると、そして、自分は東達のおかげでとても楽しいことができたと感謝の言葉を述べた。東は涙が溢れ、泣きそうになる。その時は泣かなかったが、自宅に帰り、ベランダで、我慢せず、思いのままに泣く。その上には美しい星が輝いていた。東は学校に行くが、友達もおらず、陰で悪口を言いふらされていた。自分は夢もなくなり、何もなくなった。その時、ボランティアの人達に遭遇し、過去の自分と重ねて、自分の内面と向き合う。そして、またやりなおす決意をする。亀井に会い、過去の自分を教えてほしいと頼む。亀井と東は小学生の頃からの同級生で亀井がいじめられているのを東が守ってくれたのだ。亀井は東にあの時から東のファン1号だと言う。東はハッとする。自分の本当に大切なものに気づいたのだ。どんなに不特定多数の人間を喜ばせようと思っても、周りの人間を不幸にしては、人間として失格だと当たり前のことに気づいたのだ。そして、メンバーに謝罪する。自分の過ちを謝罪する。メンバーは謝罪を受け入れて、アイドルの思い出をそれぞれ語り合う。そして、それぞれが、アイドル時代に自作の歌詞を書いたものを東のLINEに送る。その歌詞がとてもいいし、感動した。もっとも魂を揺さぶられたし、感情的になった。私は感動して泣きそうになった。そして、彼らはそれぞれの将来の夢を語り合う。それぞれが自分の夢がある。東の夢は?往生際の悪い東のことだから、簡単に夢を諦められない。夢が東を思考させ、行動に駆り立てたのだ。簡単に夢を諦めることができるなら夢とは言わない。東は芸能関係やアイドル関係の仕事につくことを決意する。10年後、彼女達は再会する。彼女達はお互いに別々の道を歩んでいるが、表情は笑顔だ。それが彼女らの幸福を物語っている。東達は、星の写真展を訪れる。そこには、10年前に写真を撮った、自分達の姿が写っていた。そこには、hello、10年後の私からあなたへ、一言と書いてある。夢へ向かって、一生懸命考え、行動し、フィードバックする。そこには、失敗や挫折や悔しさ、悲しさ、自分の弱さと向き合うことになるが、その過程は絶対に無駄にはならない。過去があるから今がある。必死に一生懸命努力し、考え、行動したことは、絶対に未来に生きてくる。それは絶対に裏切らないと。彼女はそれを10年経って実感している。だから、10年後の私からあなたへと、東は「ありがとう」と過去の自分に言葉を送る。未来の自分のみが過去の自分を肯定できるのだ。最後に、東ゆうは星になれたのだろうか?星に憧れ、星になろうと努力した。しかし自分は美しい星だった。自分は美しい星になっていた。この作品は懸命に夢を追いかけ、努力する普通の人間となんら変わらない。芸能界だろうが、なんだろうが、そこで生きている人と我々は変わらない。星というのは憧れているだけではなれない。現実で行動しないとなれない。懸命に努力することで星になれるのだ。星になろうと懸命に努力し、思考し、行動する。それ過程が何より尊いし、己を星にならしめるのだ。私はとても感動したし、EDの曲も感動した。勇気も非常にもらった。昨日の星より今日の星の方が明るく照らされるは本当にいい歌詞だと思った。何か目標や理想に向かって、一生懸命努力している人、勇気を持ちたい人は絶対に見た方がいい。
人は夢を二度見る
もともとアイドルというのは舞台裏を見せない存在だったのだが、
古くは「アイドル天使ようこそようこ」でアイドルの成長譚を描き、ハロプロでリアリティーショー化し、「アイドルマスター」で体験型エンターテインメント化した、
その延長に小説「トラペジウム」があるのだと思う。
主人公の東ちゃんは、自身がアイドルを目指しつつ、アイドルグループのプロデュースもする、という設定が独特。アイドル目指す子なんて多かれ少なかれセルフプロデュースするンだろうけど、あくまで大人に引っ張ってもらう前提。グループをセルフプロデュースするのは、まぁファンタジーか。でも最近、アイドル部があるらしいから、そういうのも現実になってきたか。
思い通りいかないこと、確執や葛藤があって、主人公のネガティブな面も描かれていて、というかソレがこの話のキモなのだけど、観ているこっちも、アイドルが最終ゴールじゃないんだ、と気付かされる。
中の人の切り口でアイドルはそう見えてるンだなぁ、と。
向き不向き
原作未読なれど、監修に原作者の名前があったからそうズレた物語にもなってないのだろうと思う。
東さんが無茶苦茶有能なプロデュース能力を持ってて驚くのだけど、アレが若さというものか。
アイドルとかに代表される特殊な職業って、成れる人は多いのかもしれないけど、続けていくにはそれ相応の特性が必要なんだなと思える。
原作は乃木坂を卒業した高山一実さん。
ご自身の体験ってわけではないだろうけど、そこかしこに経験者だからこその台詞があるようにも思える。
おそらく様々なものを見てきたのだろうと思う。楽しい事もそうではない事も。
だが、詮索したいわけではないので、それは一旦置いておく。
構成は結構しっかりしてた。
アイドルになりたい東さん。彼女が思う勝てる戦略を記したノートを片手に作戦を遂行していく。
メンバーが集まり、結束を深める。
お城のボランティアに目をつけた理由がさすがだとは思うも…その野心が運をも引き付けた事にたじろぐ。
著名人が口を揃えて話す「売れるには運が必要」ってのはこういう事か。
運を待ってるだけではなくて、彼女は運を掴める場所で待ってたわけだ。
…随分とか細い糸にも思うけれど、地方の女子高生が考えうる最大限の接点が城だったのであろう。
そして「出会い」
東西南北に目をつけたADは10年後、すっかり垢抜けてた。彼女と出会ってからはグングン時間が進む。
そしてアイドルとしてデビューする。
多忙な時期を経て不和が生まれ東西南北は解散する。
「アイドルが楽しくないわけないじゃない!」と訴える東さんなのだが、目がいってた。アニメ故の誇張表現だとは思うのだけど、原作ではどんな文章だったのだろうか?
ちょいと吹き出す。
アレで良かったのかなぁと。イッてるにしても方向性が違うような気もしてる。
時折挟まれる舌打ちが印象的だ。高山さんの持論に「舌打ちとか溜息とかって幸せが逃げてくよ」みたいなモノがあったのだろうか。
他の3人の退所報告を浜辺で聞く東。
「君はどうする?」
「わかりました。やめます。」
振り絞るような重く低い声が、胸の真ん中を抉る。
自分の夢を諦める瞬間ってどういうものなのだろうか?想像したくもないけど、彼女の胸の内は文字通り破れたようだった。
挫折が無慈悲に彼女を襲う。
けれど、彼女の夢は彼女を逃しはしなかった。
番組制作のアルバムに収録されるデビュー曲。彼女達が一つの目標に向かい手にした成果だ。
時間を経て離れ離れになったメンバーが集う。袂を分けても、友達なのは変わらない。
そして、東は「諦められないんだよね」と笑う。
再出発なんだろうな。
10年後、諦めなかった東はアイドルになってた。卒業間近なのかもしれないけれど、彼女がなりたかったキラキラ輝く存在になってた。
野心を抱き作戦を練って運と出会いを手繰りよせ、一所懸命前進し、諦めない。そうやって彼女は彼女自身の夢を掴んだ。
途中に描かれる不和の元凶は彼女ではあるものの、本作で描かれる「アイドル」って職業には向き不向きが明確に存在すると強烈に残るエピソードでもあった。
とまぁ…
王道な展開を見せるも⭐︎3.5なのは、なんだかのっぺりした印象を受けたからだ。起伏の幅が弱いというか…色味のせいもあるのだろうけど、彼女達があまり勘違いをしないからかなぁ。
城のボランティアの爺さん2人が明らかに女性の声で、予算なくて出演者の女性に声を当てさせたとしても、下手すぎんだろとか思ってたら、ご本人と同僚だった。
ははは…😅
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