HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDSのレビュー・感想・評価
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小島秀夫を知らない人にもおすすめ
小島秀夫の創作に迫るドキュメンタリー映画。1時間程度なのでさらっと観られる。『デス・ストランディング』の制作過程を追いかける内容で、革新的なゲームを生み出すために小島秀夫が何にこだわり、スタッフがどう応えようとしたのか、彼のビジョンの原点は何なのかをインタビューで聞きだし、さらに著名な映画監督やミュージシャン、俳優などのインタビューを多数入れて小島秀夫のクリエイティビティに迫ろうとする。
出てくるメンツがとにかく豪華。押井守、ギレルモ・デル・トロ、ニコラス・ウィンディング・レフンにジョージ・ミラーなど名だたる大監督が彼を絶賛する。映画と小島秀夫の関係だけでなく幼少期の読書体験が原点にあることなど、いろんな角度から彼の創作の秘密に迫っている。
「つながり」をテーマにした『デス・ストランディング』のこだわりや、メッセージ性のあるゲームを作り続ける理由なども語られている。小島秀夫ファンには既知の内容もあるかと思が改めて彼の凄さを思い返してもいいだろう。むしろ、彼を良く知らない人が見ると感銘を受ける内容だと思う。
コジマ・カミナンデスカ? ただの小島秀夫監督のお友達紹介ビデオだこれっ!!
ゲームクリエイター・小島秀夫の実像に迫るドキュメンタリー。
○出演
・ジョージ・ミラー…『マッドマックス』シリーズ、『ベイブ』シリーズ。
・ギレルモ・デル・トロ…『ホビット』シリーズ(脚本)、『シェイプ・オブ・ウォーター』。
・ノーマン・リーダス…『処刑人』シリーズ、『ウォーキング・デッド』シリーズ。
・ニコラス・ウィンディング・レフン…『ドライヴ』『ネオン・デーモン』。
・押井守…『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』シリーズ、『花束みたいな恋をした』(出演)。
・塚本晋也…『シン・ゴジラ』(出演)、『SCOOP!』(出演)。
・レア・セドゥ…『グランド・ブダペスト・ホテル』、『007』シリーズ。
・マッツ・ミケルセン…『ドクター・ストレンジ』『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』。
かつては下賤なオタク趣味と蔑まれていたテレビゲーム。しかし今やそのプレイヤーは30億人を超え、市場規模は世界全体で2800億ドルにも上ると言われている。これは映画産業を遥かに凌いでおり、今後更に成長し、2030年には6000億ドルを突破するのではないか、とのこと。もはやゲームはエンタメ界の王者と言っても差し支えないでしょう。
そんなゲーム業界で最も注目を集める男こそ、今回の主役である小島秀夫!おそらく、世界で最も有名なゲームクリエイター…はNintendoの宮本茂だろうが、その次くらいにはランクインしてくるであろう、押しも押されもせぬ業界の立役者である。
本作ではKONAMIを退社(クビ?)し、自らのスタジオ「コジマプロダクション」を設立した直後である2016年から、コジプロの第1作「DEATH STRANDING」が発売された2019年まで小島監督に密着。監督本人や関係者へのインタビューを交えながら、彼のクリエイティビティの秘密に迫る。
正直、個人的には小島作品が好きではない。
彼の代表作「メタルギア」シリーズは無印2部作(1987〜1990)と「1」(1998)〜「4」(2008)、そしてPSPで発売された「オプス」(2006)と「ピースウォーカー」(2010)をプレイ。
「3」(2004)は本当に傑作だと思うのだけど、それ以外は…。ダイアローグやカットシーンがアホみたいに長いし、監督のエゴを前面に押し出してくる感じがかなりキツい😓
特に「ピースウォーカー」では、「コジマ・カミナンデス」という名前のキャラに「コジマ・イズ・ゴッド!」と言わせたり、自分自身を隠しキャラとしてゲームに登場させたりと、その「俺って凄いやろっ!俺って面白いやろっ!!」臭が辛すぎ、ここで小島作品からリタイアしてしまった。コジマ・イズ・デッド!
という訳で、本作で取り上げられている「DEATH STRANDING」も未プレイなのであります。
個人の好みはさておき。
アクション主流の時代に”ステルス”という概念を持ち込んだのは大発明。「メタルギア」シリーズがなければ「アサシンクリード」シリーズも「バットマン アーカムシリーズ」(神!)もなかったことを考えると、その影響力の大きさは計り知れない。
50歳を越えてなお、新スタジオを設立して精力的に作品作りに邁進する姿は尊敬に値するし、ゲーム史にその名を刻む偉大なクリエイターであることは間違いない。
そんな彼の創造の現場が見られると思いワクワクしながら鑑賞したのだが…。
結局このドキュメンタリーをみてわかったことは3つだけ。
・「コジマ・ワズ・鍵っ子」
・「コジマ・イズ・変なメガネ」
・「コジマ・イズ・大阪弁」
オシャレなMVみたいな映像ばっかりで、肝心のゲーム制作の様子が一切わからんやないかいっ!!
小島秀夫の幼少時代から、業界に入るまでの経緯は語られるものの、最も知りたいKONAMI時代の事は完全にオミット。KONAMIの「KO」の字もメタルギアの「メ」の字も出てこない。
じゃあ新作ゲーム「DEATH STRANDING」を開発する様子を仔細に映し出してくれるのかというとそういう訳でもない。すごくふわっとした内容で、結局小島監督が何をしている人なのかさっぱりわからなかった。スティーブ・ジョブズ的なポジションって認識でOKなの?
本作1番の見どころは、ジョージ・ミラーや押井守、ギレルモ・デル・トロといった大監督や、ノーマン・リーダスやマッツ・ミケルセンといった一流俳優のインタビュー。出てくる人物が一々大物なので、「うぉ!すげえ!」とはなるものの、盛り上がりポイントを他人に委ねていいのか、という疑問は拭えない。
結局のところ、このドキュメンタリーは小島秀夫監督の人脈の凄さ自慢にしかなっていない気がする。ここでもコジマ・カミナンデスの「俺って凄いやろっ!!」を見せつけられているようで、なんだか居心地の悪さを感じてしまった。凄いのはわかったから!もういいだろそういうの!!
ドキュメンタリーの合間を縫うようにして、小島監督の過去をアニメーションで描くという意欲的な表現も試みられているが、クオリティが低い上に描かれている風景が全然日本的ではない。このアニメになんの意味があったのだろうか…。
一体何を描きたいのかよくわからん、焦点のぼやけたドキュメンタリー。グレン・ミルナー監督は宮崎駿の映画作りに密着した6時間30分にも渡る大長編ドキュメンタリー『「もののけ姫」はこうしてうまれた。』(1998)でも観て、密着取材のなんたるかを研究すべし!
とはいえ、59分という短めのランタイムなので特に退屈はしなかった。大物がゴロゴロ出てくるので、そこを楽しみに鑑賞するというのも良いかも知れません。
「DEATH STRANDING2」を含め、2024年現在3本の新作タイトルを開発中だというコジプロ。「DEATH STRANDING2」にはジョージ・ミラーがキャラクターとして登場するらしいし、開発中の一作「OD」にはなんとあの『NOPE/ノープ』の監督、ジョーダン・ピールが制作に参加しているのだそう。
「僕の体の70%は映画でできている」(2008)という本を執筆しているほどの映画好きである小島監督。独立してからその映画愛が溢れ出まくっているようだが、それが作品にとって良い効果をもたらしてくれると、映画/ゲームファンの自分にとってはありがたい。
独自の世界観とは何か
鳥山明が68歳で亡くなった。
突然の出来事である。
言うまでもないが、彼の作品はその後の漫画家達の指針になっただけでなく、ある種「マンガ」をサブカルチャーからポップカルチャーへと変換させた、いわゆる時代の先駆者である。
さて、小島秀夫という人物もそういう意味で、いわゆるテレビゲームの世界をネクストレベルへ引き上げただけでなく、ゲームそのものを映画と同様の映像作品へと変換させた時代の寵児である。
本作では、小島秀夫の新しい制作会社立ち上げから、最初の作品である「DEATH STRANDING」の製作風景を、彼の生い立ちやキャスト、スタッフのコメントを交えながら描いている。
印象的だったのは、主人公サム役のノーマン・リーダスのあるコメント。
ある日「パシフィック・リム」「シェイプ・オブ・ウォーター」の映画監督ギレルモ・デル・トロから電話で
「Hideo・kojimaから君に連絡がある。そしたら、君は何も言わずにYESと答えろ」
と言われたらしい。
面白いエピソードである。
個人的には作品のサントラにも収録されているChvrches(チャーチズ)のタイトルトラック"Death Stranding"がお気に入りである。
新作「DEATH STRANDING 2 ON THE BEACH」
が今から楽しみで仕方ない。
R.I.P. Akira Toriyama
R.I.P. TARAKO
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