「呉美保監督長編初鑑賞」ぼくが生きてる、ふたつの世界 クロネコ。さんの映画レビュー(感想・評価)
呉美保監督長編初鑑賞
呉美保監督の作品は私たちの声しか見たことがなく長編は初鑑賞だったのだけれど、どちらの作品でも共通して思うのはこの監督は本当に、なんてことはないでもちょっとドラマなこともある日常をよりドラマチックに描くのが上手いなぁということ。
多分こんな家族は世界のどこかに居て日々を送っているんだろうなと感じさせられてしまう。手ブレっぽさのある画面の揺れや必要以上のBGMがないこと、環境音をはっきり使うところがよりそう思わされてしまう要因なんだろうか。何もかもが計算しつくされているような。ただただ日々を映しているように思える。すごい。
コーダのことはもちろんだけれど私が一番強く感じたのは愛だった。冒頭光の当たる中に寝かされてそれを純度100%の愛情を持ってあやす大人たちを見てこの映画が伝えたいのはこれなんだろうなと思った。家族愛の物語なんだろうなと思った。
原作とタイトルが全く違うけれどふたつの世界を表すための冒頭と最後の演出がものすごく効果的だったと思うし、最後の吉沢亮の演技は圧巻だった。あそこまで表情だけで訴えかけられる人もなかなかいないんじゃないだろうか。普段CMで見かける姿と全く違っててギャップで風邪ひきそうってこういうことなんだろうなと思った。
コーダあいのうた以降当事者が演じることの大切さや必要性が重視されてきてデフ・ヴォイスとかかぞかぞとかそういえばPERFECT DAYSもそうか。きっとそういう意識が生まれなければ見ることができなかった作品が生まれてきたことが素直に嬉しい。私は健常者で、だけど障害がある人も心の根っこの部分はきっと同じなんだろうなと感じることができたこの作品を観れて、ただただ良かったなぁと思う。
フォローありがとうございます。
忍足さんは何年か前にはろう者のピンク映画? で観た記憶があります、その時も字幕付でした。段々と肉声が有ったり、コーダの人の作品が出来たり変わってきてるんでしょうね、カタコト手話が一般的になればいいのにとも思います。