「母の生い立ちに比べれば」ぼくが生きてる、ふたつの世界 カール@山口三さんの映画レビュー(感想・評価)
母の生い立ちに比べれば
反社祖父母に育てられた五十嵐大の母明子の生い立ちはどんなに凄まじいものであっただろうか?
孫息子大の奇異な生活と思春期の葛藤よりも博打うち祖父、念仏祖母、ろう娘の壮絶な家庭に関心が持てるモチーフを想像してしまった。
静かな両親達は、ろう学校の同級生で恋仲となり東京に駆け落ちをして、各種の反対を振り切り母の実家で生活を始めた。
子供を授かりここでも出産に対する軋轢があったが何とか五十嵐大を出産をした。
そんな息子大も大きくなり、今までの家庭環境でない生活を求め両親も行った東京で一人生活を始めた。
人は自活して初めて社会、家庭、両親祖父母、知人、生活がはっきり見えてくる。
そんな生活の一つとしてコーダとしての世界を知り始める。
悲しいことに大の思いは9.5対0.5の母のこと。親父は何処に行ったのか?
母役の忍足亜希子さん、素晴らしかった。自然で何処までも優しくて、可愛かった。
(o^^o)
ぼくが生きてる、ふたつの世界
作家・エッセイストの五十嵐大による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」を映画化。
「キングダム」シリーズの吉沢亮が主演を務め、きこえない母ときこえる息子が織りなす物語を繊細なタッチで描く。
宮城県の小さな港町。
耳のきこえない両親のもとで愛情を受けて育った五十嵐大にとって、幼い頃は母の“通訳”をすることもふつうの日常だった。
しかし成長するとともに、周囲から特別視されることに戸惑いやいら立ちを感じるようになり、母の明るさすら疎ましくなっていく。
複雑な心情を持て余したまま20歳になった大は逃げるように上京し、誰も自分の生い立ちを知らない大都会でアルバイト生活を始めるが……。
母役の忍足亜希子や父役の今井彰人をはじめ、ろう者の登場人物にはすべてろう者の俳優を起用。
「正欲」の港岳彦が脚本を手がけた。
ぼくが生きてる、ふたつの世界
劇場公開日:2024年9月20日 105分