「【貧しき家庭の私生児ながら、美貌と知恵と機知で国王ルイ15世の公妾まで上り詰めた実在のど根性女性の生涯を描く。今作は、当時の仏蘭西王宮文化を再現した、意匠、衣装も豪華絢爛たる仏蘭西映画でもある。】」ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【貧しき家庭の私生児ながら、美貌と知恵と機知で国王ルイ15世の公妾まで上り詰めた実在のど根性女性の生涯を描く。今作は、当時の仏蘭西王宮文化を再現した、意匠、衣装も豪華絢爛たる仏蘭西映画でもある。】
■物語は、ジャンヌ(マイ・ウェン:ナント、監督・脚本まで手掛けている。)が、美しい女性に成長し、数々の貴族の愛人になりながら着々とその地位を上げていくところから始まる。
そして、彼女は、その経験の中で文字を学び、知恵を付けて行くのである。
◆感想
・ジャンヌがルイ15世(ジョニー・デップ:ナント台詞は少ないが、仏蘭西語で喋っている!)に初めてベルサイユ宮殿の広い廊下で謁見したシーン。それまでポンパドール夫人を亡くした事で気鬱だったルイ15世が彼女の姿を見て足を止め、少し頬笑み立ち去るシーン。
ー ”ジョニー・デップ、仏蘭西映画に出て大丈夫か!”と危惧していたが、全く問題ない。流石である。オーラが違うのである。-
・で、ササット、執事ラ・ボルト(バンジャマン・ラヴェルネ:若き仏蘭西の名優である。)は彼女を誘い、性器を診察させ性病でない事を確認させるのである。
ー 堂々と、医師の前で足を広げるジャンヌの根性が凄い。又、慇懃なラ・ボルトが徐々に自由奔放なジャンヌに惹かれて行く最初のシーンでもある。-
・ジャンヌは、デュ・バリー伯爵と結婚し、正式にルイ15世の公妾となる。
ー 当時の王宮文化では、フツーの事である。何故ならばデュ・バリー伯爵の地位も上がるからである。彼は、決して寝取られ男ではない。-
・ジャンヌは、王の寵愛を受けベルサイユ宮殿の中で、自由に振舞う。それまでの旧弊的な文化を蹴散らすかのように、男装したり、黒人の少年ザモルを招聘したり・・。
ー それを快く思わない、ルイ15世の娘達。演じた女優さんには申し訳ないが、”良くここまで不細工(ホント、スイマセン・・。)な女優を集めたなあ。”と感服する。
序でに言うと、王の前から退出する際の背中を見せずに、小さいステップで下がる面白い仕草が個人的に、非常に気に入る。クスクス。
今度、社長の前でやってみようかな・・。-
・オーストリアから、王太子妃のマリーアントワネットが嫁いでくる。ジャンヌの立場は微妙になるかと思われたが、ルイ15世の計らいで彼女の地位は揺るがない。
ー デュ・バリー伯爵との間の息子、アドルフを決闘で失っても彼女はめげない。強い女性である。そして、ルイ15世のジャンヌへの基本的な想いは変わらない。それは、彼がジャンヌの前から退出する時に、おふざけで取った小さいステップで下がる面白い仕草からも分かる。-
・だが、時は無情でルイ15世は天然痘に掛かる。一度は彼の前から去ったジャンヌは周囲の制止を振り切り、罹患する可能性があるのに、彼の看病をするのである。だが・・。
そして、執事ラ・ボルトは王が臥している間の窓を開け、蝋燭の炎を吹き消すのである。
<ラスト、テロップで流れた事実は哀しい。且つては彼女に優しかったルイ16世により修道院へ幽閉されるジャンヌ。
その後、ベルサイユ宮殿に近づかない事を条件に幽閉を解かれるが、時代の流れは加速度的に王宮廃止路線を突っ走り、仏蘭西革命が起こりルイ16世、マリーアントワネットは断頭台の露と消え、ジャンヌも同じ道を辿るのである。
今作は、仏蘭西革命前の、華やかなる仏蘭西王宮文化の中で、貧しき家庭の私生児ながら異例の地位を気付いたど根性女性の物語なのである。>