12日の殺人のレビュー・感想・評価
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事件は解決しない
映画の前説や予告動画からはサスペンス系の作品だと思わされるが、本作は難解な事件を解き明かすサスペンススリラーではなく、事件を操作する警察官の葛藤を描くヒューマンドラマのテイストが強い。サスペンス系の展開を期待してみると裏切られることになるだろう。
コピー機の故障や同僚の立てる音に神経質になったり、私生活の問題も相まって先走ったりと、進展のない捜査状況に摩耗していく警察官の様子が丁寧に描かれている。
リアルな表現だと捉えることもできるが、進展のない捜査を延々と観続けるのは少し辛い。中盤の展開を圧縮してもう少し短い作品に仕上げたほうが良かったのではないかと思う。
未解決事件が解決するドラマだと思って観るとつまらない。人間ドラマだと思って観ると面白い。
始まった瞬間、『La Nuit du 12』が、なぜ日本版のタイトルでは『12日の殺人』何だろう?なんて考えさせられてしまい、集中するまで多少時間を要した。それと隣に座った男性が最初から何度もあくびをして、こんな事言ったら失礼だけど、その都度流れて来る生暖かい口臭がストーリーへの集中の妨げになったのは辛かった。ま、これは映画のせいではないので単なる愚痴。
感想として、わかっちゃいるがつくづく、人ってそれぞれいろいろあるなーと。なかなか子供が出来なかったのに浮気した妻が浮気相手とたったの3ヶ月で妊娠してしまった事に悩む同僚。そんな同僚を泊めてあげた主人公は、トイレのおしっこの撥ねをやたら嫌がる。
出会って間もないのに結婚を決めた新人刑事を笑う同僚。あー、ストーリー思い出しながらこう書いていくと、この映画は男性目線で書かれているな…
途中、犯人はほとんど男性とか、男と女の溝は埋められないだったかな、とか、警察が男性社会である事などなどのセリフが出て来る。出てくる男も大概ロクなやつはいない。殺されたクララの捜査を進めて行くうちに奔放な男性関係が浮き彫りになり、被害者であるのに犯罪者みたいな扱いの聞き込みをされて女友達が怒るシーンも印象的だった。かといって、フェミニストフェミニスト臭さを感じさせないこの映画。やはり脚本の上手さなのだろうか。
罪を犯すのも男、逮捕するのも男、BBQ引火するのも男
鑑賞後、後ろの席の方から「ちょっと難しかったなー」と声かけられて、苦笑い(^^;)
確かに劇的な展開がそれほどなく、事件も解決しない。
描かれているのは、ただ男性目線での調査、取り調べ、レッテル張り、証言など
そう、あくまでも「男性」目線なのである。だからそこ解決しないのだと言いたげに。
犯人を見つけることのできないままのめり込んでいく… 容疑者が続々と...
犯人を見つけることのできないままのめり込んでいく…
容疑者が続々と浮上しては消えていき操作が難航するイラ立ち、過剰な行動、普段の会話のユーモア…殺人の追憶と比較してしまいどれも今一歩に感じたけど、なんとなくラストであきらめるのではなく、また一歩踏み出すささやかな暖かみを感じられて良かった。
ポイントは?
未解決事件のノンフィクションを元にした映画、ってことで冒頭から「未解決」に終わる宣言で始まるフィクション映画。
観てても予想以上の未解決っぷりで、この映画を作る意図を考えてた…
思うに以下2つのポイントがあったと思う。
1. 生きてても、死んですら、女の子は女の子というだけで殺され危ない目にあうのだということ。
2. 刑事が『事件に囚われる』とはどういうことなのか、ということ。
個人的には一つ目の点が本作のメッセージかとは思ったが、ラストシーンなどは二つ目を推してる気がする。でも特にそれは知りたいわけじゃないんだけど…ww
商業映画の企画として資金があつまるフランス映画の懐の深さに脱帽。
迷宮入りになってしまった事件の顛末を淡々と描いていく。どこにそんなストーリーの需要があるのか不明だが、まあフランス映画っぽいというか。それでも映画賞を作品賞はじめ獲得しているのだから、不思議だ。どのくらいの興行成績だったんだろう。
ものすごく期待していただけに…がっかり。
申し訳ないけれど、全然面白くありませんでした。期待が大きかっただけに失望も大きかった。刑事さんらにも、誰にも共感できず。生きたまま焼かれた美しい少女の殺人事件がテーマということで、もっとミステリーサスペンス色の強い推理物かと思っていたのが間違いだったのかもしれませんが。捜査する刑事さん達の能力も高くなく、まあこれが現実なのかもしれませんけれど。結局この映画で何を見せられたのか・・・。エンドロールの歌はよかったです!
ミステリーではなくドラマでした
「悪なき殺人」がおもしろかったので観ましたけど、失敗したなというのが正直な感想です。
未解決で終わるのは構わないのですが、イマイチ盛り上がりに欠ける気がしました。
お墓のカメラのくだりで盛り上げたつもりなのかもしれませんが…
映画はエンタメと考えてる自分には合わない作品でした。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 未解決事件捜査映画の秀作。極力感情を排した静謐な演出の下に様々な感情が渦巻いているところが如何にもフランス映画。担当警部が忘れられない様に暫くクララを忘れられそうにない。
①フェミニズムを表に押し出した映画では決してないが、犠牲者であるクララの親友の台詞『彼女が殺された理由?理由は彼女が女の子だったからよ!』、新たに班に配属された女性刑事の台詞『』
新班長奮闘記
未解決事件になるJD殺人事件の捜査にあたる刑事達の話。
あらすじ紹介には「未解決事件の闇に飲まれていく」とか、サスペンススリラーとか少しミスリードな書き方されているけれど、未解決事件の捜査をする訳ではなく、携わっている捜査が未解決事件になっていくというストーリー。
2016年10月12日、深夜に友人宅から帰宅途中のJDが、公園に差し掛かったところでガソリンをかけられ火を付けられ殺される事件が発生し巻き起こっていく。
班長になったばかりのヨアンと相棒マルソーが推理らしい推理もなくひたすら聞き込み捜査ばかりしている様と、その合間の捜査とは関係ない退屈な刑事達の会話劇が繰り返されて、やっと事件が主ではないと気付いた自分(´・ω・`)
頭を切り替えられるのが遅かったからか、言いたいことは判るけれど、このドラマの面白さにイマイチ乗っかれず。
かと言ってもう一度劇場で観ようという気になれる感じでもなかったかな。
フランス人の結婚観はへーなるほどだった。
「未解決」になる確固たる理由
あっ、彼が犯人だったんだ…と言う感想で終わると思っていたけど、本編は違った。
情報があり過ぎて、掴むべきポイントから逸れちゃったんだ。
だから、未解決事件って減らないんだろうな。
「落下の解剖学」よりこちらの方が好き。
フランス、グルノーブルの街なかと郊外を舞台とした物語。劇中、車を走らせるシーンで度々雪山が映る。ああ、あの山々の何処かに「落下の解剖学」の山荘がある(という設定)なんだなあと思いながら観ていた。
ほぼ同時期に制作され、同じ地区を舞台とし、ともに犯罪をテーマにした両作品だが全世界での興行という点ではかなり差がついてしまったようだ。カンヌでパルムドール、米アカデミーでも脚本賞をとった「落下の解剖学」が華々しい成功をおさめたといえる一方で、本作品は自国のセザール賞は独占したようだがやはり地味な感じは拭えない(セザール賞はかって「アメリ」とかが受賞しているので私自身は結構信用している)
「落下の解剖学」が印象的なキービジュアル(雪の上の死体)、派手な法廷の応酬、唯一、目撃の可能性があるのが視覚障害の少年といった道具建てに不足していないのに比べ、本作品は「12日の殺人」というタイトルが表しているようにナンバリングされる数多くの殺人の中の一つの捜査を丹念に追いかけるのみの筋書きで地味とといえば地味である。
でも映像もそうだしセリフ廻しもそうだが全体のトーンのダウナー系な感覚は嫌いじゃない。物語としては「ツインピークス」に似て謎が謎を呼び限りなく広がっていく感じが好きだなあ。解決しないことは既に冒頭で明らかにされているし。
カンヌに話を戻すけどやはり「落下の解剖学」はサンドラ・ヒューラーが出演していたのが大きく映画の評価に影響したんでしょうね。カンヌは最近、ちょっと役者の演技に甘いところがあるような気がする。逆に「Perfect days」には男優賞しか与えなかったところがカンヌの見識っていうものだとも思うけど。
12日の殺人 殺人事件の未解決事件のリアルさを描いた作品。解決でき...
12日の殺人
殺人事件の未解決事件のリアルさを描いた作品。解決できない、犯人を特定できないもどかしさが終始残るのがこの作品の特徴でありそれが凄く魅力的に描かれていた。
登場してくる容疑者候補の連中がどの人たちも怪しく見え、被害者の気持ちに偏ってしまえばしまうほど推定無罪を無視した盲目に陥ってしまいそうになるのをうまく誘導してくるのが良い。
こちら側も色々考えさせてくれる2時間で面白かった。
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11 ミツバチと私 3.6
12 12日の殺人 3.3
13 コヴェナント/約束の救出 3.0
14 僕らの世界が交わるまで3.0
15 ストリートダンサー 3.0
16 カラーパープル 2.9
17 弟は僕のヒーロー 2.8
18 RED SHOES レッド・シューズ 2.8
19 関心領域 2.6
20 ジャンプ、ダーリン 2.5
21 エクスペンダブルズ ニューブラッド 2.3
22 マダム・ウェブ 2.3
23 落下の解剖学 2.3
24 ダム・マネー ウォール街を狙え! 2.3
25 哀れなるものたち 2.3
26 DOGMAN ドッグマン 2.2
27 パスト ライブス/再会 2.2
28 ボーはおそれている 2.2
29 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 2.2
30 瞳をとじて 2.2
31 ゴースト・トロピック 2.2
32 葬送のカーネーション 2.2
33 Here ヒア 2.1
34 ハンテッド 狩られる夜 2.0
35 サウンド・オブ・サイレンス 2.0
36 ポーカー・フェイス/裏切りのカード 1.9
37 アバウト・ライフ 幸せの選択肢 1.8
38 サン・セバスチャンへ、ようこそ 1.8
39 VESPER/ヴェスパー 1.5
40 フィスト・オブ・ザ・コンドル 0.5
番外
QUEEN ROCK MONTREAL 5.0
π〈パイ〉 デジタルリマスター 2.0
私としてはあまりオススメしません
最近この手の作品が多くて、ストレスが溜まってしょうがありません💦要はクライマックスもラストシーンも無いまま、エンドロールが流れ始める映画です。
実話ベースなので真実を捻じ曲げる事はできませんが、迷宮入り時間を解決に導くかのような映画説明は止めていただきたい!"捜査が行き詰まるなか、ヨアンは事件の闇へと飲み込まれていく"、まさか観客も闇に引き込んだまま強制終了とは思わなかった😭
殺人事件の捜査の中で刑事たちが抱く疑惑、推理、確信、被害者への思いと共に、私生活とのはざまで揺れる心情を並行して描く社会派ドラマ。
各自が自制しながらも時に爆発し弱さを露呈する一人の人間であるという生々しさ。男女関係、結婚への考え方、男性社会での女性が持つ不満や人間関係の難しさは「事件」だけにとどまらず誰にもつきまとう問題なのだ。
事件は未解決のままだが、それが現実であるという終わり方もまた良し。
推理ものとは違った、味わいある─
衝撃的な事件を扱った作品でしたが、内容はかなり淡々としていた印象です。
事件解決に向けてサスペンス的な要素を持ちつつストーリーは展開していくけれど、焦点が捜査する側に当てられていて、なかなか味わいがあるものだと感じました。故に事件を解決するという推理的な要素は少し希薄さを感じるのですが、個人的には推理小説とかはそれほど・・・といったところなので、それがかえって作品の見やすさに繋がっていました。逆に、物足りなさを感じる人もいるかもしれませんけど。かといって、事件そっちのけで推移するわけではなく、その謎もしっかりと絡めながらドラマとか世相を反映させて語られるので、かなりハマりました。
タイトルからは想像できない内容でしたが、率直に非常に堪能できました。映像でも引きつけようとしていたように思いますし、台詞なんかもかなり練り込まれている感じがします。とにかくめっちゃ面白かったです。
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