「これ観るんだったらモービウス見る」マダム・ウェブ あめざりさんの映画レビュー(感想・評価)
これ観るんだったらモービウス見る
ミステリーやサスペンスとしては「どこにその要素があるの?」状態。最序盤でヴィラン(30年前のすがた)が希少種のクモを盗むのだが、ここだけでヴィランの正体が分かり、その後すぐに顔出しする。この時点で見る側はヴィランに対するミステリー的な興味が消え去り、いつも通りのドンパチアクションになると予想する……がしかし、そこから始まるのは約30分に及ぶ主人公が能力に気づくまでの過程。ここは本当に眠くなった。主人公の能力は未来視と言うより第六感や現実の書き換えで、それを表すシーンは現実離れしていてとてもいいのだが、主人公はこの力をヴィランが殺そうとしている3人の少女に一切の説明なく「未来が見える」とだけ言って森の中に放置する。それも3時間だ。このシーンは意味が分からなかった……「私にもよく分からないけど、危機が訪れたりする時に少し先の未来が見えて、その未来が訪れると同時に時間が巻き戻る」とでも説明すればその時点での能力は全て説明できる。案の定、主人公は3人のうちの1人に物を投げられ「見えてないじゃん」と言われてだんまり……その後、少女達が近くの店に食事しに行くのだが、その姿をヴィランに見られ追われてしまう。そこから助かった後主人公が少女達に言う言葉が「クソガキども」だ。完全にお前のせいだろと言いたい。
さて、この映画はどんなジャンルなのかと言うと、シンゴジラなどと同じ『強大な力を持った敵に非力ながら立ち向かう映画』だ。主人公の能力で未来を見ながら先打ちするのかと思ったら、タクシーで店の中に突っ込みヴィランを轢いたり救急車を看板裏にある道路からヴィラン向かって突っ込ませ轢いたりAEDで車両上に乗ったヴィランを感電させたりしている。と言うかヴィランの影響で主人公達が傷つく事はほとんどない。あるのは主人公が毒を手首に流し込まれたのと最終決戦くらいで、その最終決戦もフレアが原因の発火や爆発が殆どの攻撃もしくは被弾の原因だ。
最後にこの映画を見るべきかどうかだが、まあ暇な人は見ればいいくらいだ。今後のマーベル映画に関わってきそうだから見るべきかどうかで言えばYESだが、正直予告で見た「オッペンハイマー」「砂の惑星」などの方が面白そうだった。だがこの映画には「ONE PIECE FILM RED」のような劇場で見るべき必要性は感じられないので、少女3人を題材にしたヒーロー映画が出たらディズニープラスで見るくらいでいいだろう。
見るのならば何も考えず、サメ映画やジュラシックシリーズと同じ感覚で見ろ。