ジャンプ、ダーリンのレビュー・感想・評価
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ドラァグはアートだ!
自分にとっては「ヘドウィッグ・アンド・アングリー・インチ」以来のドラァグ・クイーン映画。予告編も見ず予備知識もほぼなかったのでとても嬉しくワクワクして感動した。音楽が全部良かったし、パフォーマンスもかっこよかった!
主人公ラッセルのおばあちゃんはユーモアがあってキュートで一言一言に笑えてしまう、素晴らしい女優!ラッセルのママは最初は嫌な描かれ方だったが彼女も辛かった。息子から許可もらって息子をハグするママ。おばあちゃんもママも息子の元・パートナーに会っていてよく知っている。そう、この映画にはゲイかどうかなどを気にしたり問題にする人はそもそも登場しない。世間なんかどうでもよくて「自分はどう生きたいのか」をシャープに焦点としている。観客は祖母を中心としたファミリー・ストーリーを知り、孫のラッセルが俳優かドラァグ・クイーンか、で迷い悩み、祖母と母と改めて邂逅することで前に進む姿を見届ける。最後のパラレル・シーンは哲学的で美しく優しい。アート。人生そのもの。
うちに帰ったら、日本人女性カメラマンによる写真集”DRAG QUEEN”を見よう。みんなすごくかっこよくて美しくて自由で力強い!
私小説的映画
映画『ジャンプ・ダーリン』ドラマ的高揚感もないままに、ラストに突入してゆく。この映画は一体何を言いたいのだろう、そう考えてしまう。つまりこの映画は、私小説なのだ、だた自分に起きたことを時系列に並べただけ。そう考えると納得もできるのだが。
結論は、私小説的映画
こう説明しないと、なんか納得できない作品。
主人公が、同棲中の彼と別れるところから、映画は、始まる。
同棲相手は、同性。
男同士で、別れのきっかけは、エリートの彼に対して。
主人公は、役者を目指すことを諦めて、ドラッグクィーンに成り下がっていること。
なんか、でだしから、どうでもいいことなんですが。
ドラッグクイーン自体も日本では、あまり馴染みなく。
まあ、ゲイで女装して、口パクで踊ったり歌ったり。
そんな程度の認識しかないので。
出だしから、ハズレの映画の感が。
映画は、盛り上がりを見せるかと思いきや。
彼氏と別れた、主人公は、認知症の祖母のもとに転がり込む。
一人暮らしの祖母。
ん〜ここで、独居老人と老いのテーマかと思わせるのもつかの間。
ドラッグクイーンをなじられた主人公は、一発奮起。
役者への道の再チャレンジかと思わせるのですが。
有名ゲイディスコのドラッグ・クイーンにチャレンジ。
なんか、よくわかんないよな。
ドラッグ・クイーンのどこが悪いの、極めてやる。
そんな、開き直りなら喝采を送れるんですが。
なんか、そんな吹っ切れた演出もなく。
ただ、ながれのままに。
映画的盛り上がりはどうなるのですか、と問いたくなる展開。
はあ、これは、あくまで私小説の世界なんだと。
それを描いてるだけなんだと。
そう思わないと、見てられない作品。
老いのテーマはどうなるのか。
これも、祖母との生活で、映画のもう一つの重要なテーマとなる。
しかし、認知症で、自分の意志がはっきりしなくなる祖母。
その、祖母は、自分らしくいられないならと、死を選んでしまう。
おそらく、製作者の実体験なのだと。
これも、賛否両論ですね。
作家の野坂昭如さんも、老いて自ら死を選択するのもありだと、発言したこともありましたが。
ご本人がなくなられたのは、老衰。
難しい問題なんですが。
だれでも、老いはやってくるので、目をそむけるのは。
あるキリスト教団体の老人ホームでは。
人生の最後は、その人にとって、一番美しい時間でなくてはならない。
そんな理念をあげておりますが。
これもまた、綺麗事のような気がして。
老いは、醜くなる容姿、薄れてゆく記憶と意志。
人それぞれ程度が違いますが。
そんなに美しいものではない。
となると、自然に老いを受け入れられればいいですね。
映画のように、自ら死を選ぶということは、したくはないものです。
となると、この映画は、あくまでも私小説的世界だと。
自分の中では、そう結論づけました。
LGBTQの流れもフツーになったね。
LGBTQに焦点を当てたわけではない。
ストーリーは普通だと思うが、見せ方、持って行き方が上手いので、ドラァグクイーンという絵面が浮かずに映える。
見た目の奇異や偏見にとらわれず、本質に共感を得る流れ、いいなぁ。
字幕のわかりにくさがややネック…。
今年33本目(合計1,125本目/今月(2024年1月度)33本目)。
いわゆるドラァグクイーンを描く、LGBTQ+を扱う分類になります。日本ではこの手の映画はごく少数ですが、海外ではそこそこの割合があるようです。
このLGBTQに関する生き方や問題提起というより、その主人公を取り巻く他の方(とくに、祖母)に焦点があたるストーリーで、LGBTQの「成分」はその分少なめといったところでしょうか。
放映されている映画館が極端に少なく、以下に述べるように「字幕が読みづらい」という問題点はあるものの、LGBTQに関することがらにアンテナを張っていればおすすめ以上といったところと思います。
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(減点0.3/字幕の意味が理解しがたい)
中盤あたりか、家族みんなで話をしているシーンがありますが、
「これじゃ自宅が私の(女性の進出という観点において)牢獄になってしまうじゃない、やぎ座じゃあるまいし」
…というセリフがあります。サブ筋として「女性の社会進出」という点を扱っているのだろうという点は理解ができるのですが、「やぎ座じゃあるまいし」は理解がかなり難しいです(というか何なのか本当にわからない…。星座神話?)。
こうした「わかりにくい字幕」がいくつかあるのを確認していて、英語を聞き取ったほうが早い場合もあります(ききとり自体はカナダ英語で易しいので英検2級程度あれば可能)。ちょっと「わかりにくい字幕」は何らかの配慮が欲しかったです。
※ なお、「トランプをやる?」というように何度も出てくる「トランプのお誘い」は「コントラクトブリッジ」というトランプゲーム(トリックテイキングゲームの一種)です(日本では「トリックテイキングゲーム」を俗に「トリテ」といいプレーするゲームサークル等も一応あるので、知っている人も一定数います)。字幕では単位「トランプ」ですが、ちゃんと「コントラクトブリッジ」と話されています。
途中下車という選択。
俳優の道を諦めドラァグクイーンとしてステージに立つラッセル。行き先すら見失った人生という名のバスに一人揺られる祖母マーガレット。家を売りマーガレットを施設に入れようと勝手に話を進める母エネ。1組の祖母と孫、2組の母子の物語。
初めは悩みを抱える孫が久々に再会したおばあちゃんと暫しの同居生活を送る中で世界を広げてゆく話かと思っていたけど、なんだか空しくやるせない気持ちになりました。どれだけ深い皺を刻んでも今までの人生を満足して終えられるなんて、そんな簡単なことではないとまるで諭されているような。想像だにしてなかったラストシーンはかなり衝撃的でした。
一体何の為にステージに立つのか。そこから何が生まれるのか。何が終わり、そして始まるのか。儚くて美しいラッセルのダンスシーンは圧巻です。
道に迷ったドラァグクイーン
俳優を目指していたがドラァグクイーンになったラッセルと、独り暮らしの祖母の話。
ステージの直前にパートナーからゲイのショーは見ていられないと言われ、やさぐれて田舎町に住む婆ちゃんの家を訪れて巻き起こっていくストーリー。
シャワーさえもままならない暮らしをしている婆ちゃんが気になって、しばらく同居することなって行くけれど、ちょいちょいキレの良い毒舌を吐く婆ちゃんの過去と、クィアが集まるパブで出会った大学生の店員との関係の中で、自分自身を見つめ直していく物語が、なかなか波乱万丈だしユニークだしで面白かった。
ジャンプ、ダーリン カナダ発のLGBT作品。ドラァグクイーンという...
ジャンプ、ダーリン
カナダ発のLGBT作品。ドラァグクイーンという日本ではそこまで馴染みのない職業という事もあって映画を通じて得る物が多く興味をそそられた。
無一文で行き場がなく祖母の家に転がり込む主人公。
その主人公と祖母の関係が非常に温かくて好きな関係性だった。
もちろんただ温かいだけではなく二人はそれぞれ傷を負っていたり背負ってる。
それは主人公がLGBTだからではなく、皆誰しもが抱えてる物でありその傷を無理に完治させるのではなく、時間に身を委ね、お互いに思いやり合いながら癒していく姿がとても美しく描かれていた。
個人的な2024年洋画新作鑑賞ランキング
1 ネクスト・ゴール・ウィンズ 4.8
2 アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション4.5
3 アクアマン/失われた王国 4.5
4 ニューヨーク・オールド・アパートメント4.3
5 異人たち 3.7
6 ミツバチと私 3.6
7 僕らの世界が交わるまで3.0
8 弟は僕のヒーロー 2.8
9 ジャンプ、ダーリン 2.5
10 エクスペンダブルズ ニューブラッド 2.3
11 哀れなるものたち 2.3
12 葬送のカーネーション 2.2
13 サン・セバスチャンへ、ようこそ 1.8
14 VESPER/ヴェスパー 1.5
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