映画 ◯月◯日、区長になる女。のレビュー・感想・評価
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2022年6月20日、岸本聡子さんが女性初の杉並区長になりました
タイトルで◯月◯日とか、ぼかしているのは本作は選挙運動としてYoutubeで先に流されていたものを再編集してドキュメント映画にしたから、撮影時期との時間差でしょう。
撮ったのは劇作家、脚本・監督でもあるペヤンヌマキ(溝口真希子)、彼女自身、杉並区のアパートに住んでいて道路拡幅で立ち退きと知り工事の見直しを絡めて区長選挙応援に一肌脱いだということです。岸本さんは187票の僅差で現職の田中さんを破って当選、勝てたのはマキさんのネットPRで投票率が上がったのと地道な街頭演説で女性層の支持を得たからでしょう、奮闘ぶりは伝わりました。ただ、道路問題はマキさん自身の最大関心事だから同様に反対する住民の声を強調し過ぎの感、客観的に観れば首都直下地震が懸念される昨今、木密地域、延焼防止や避難路、緊急車両通行などで道路の見直しを都が計画するのはあながち無謀という訳ではないでしょう。
ミュニシパリズム(直接民主制)を含め岸本さんが区長に適任かどうかは映画を観た限りでは分かりませんでした、評価は杉並区が今後どうなるかでしょう。
素晴らしかった
杉並区長選挙のドキュメンタリーで、枡野書店がある南阿佐ヶ谷の場面がたくさんある。自分にも所縁があるので引き込まれる。今現在、東京都知事選を来月に控えており、自民党候補が地方の補選や市長選などで立て続けに負け続けていて、この映画のように政党の支持がなくても本気の市民が当選させる運動が各地で起こっている。杉並区は投票率が高まったことも勝った原因なのだけど、地方の選挙は投票率が低いままで自民党候補が負けていることだ。これまで漠然と支持されていた自民党がいよいよ見限られてきている感じだ。9月にある自民党の総裁選は萩生田あたりが総裁になって今以上に自民党がボロボロになったらいい。
岸本さんが区長になって、議会でおじさんに意地悪されていてどうなることかと思ったら、岸本さんを応援していた人たちが区議会議員に当選しまくって、素晴らしかった。希望の光のような素晴らしい選挙だ。
「○月○日、見て元気になる映画。」
2022年の杉並区長選挙の過程を追った、というか伴走して駆け抜けた短くも熱い日々の記録。
そのポスターや題名からトンガッた映画かと思って見たら、極めてしなやかな感触の作品だった。
そして、杉並のランドマークとしてドローン撮影もされ住民から愛されている大樹のように、すっくと一本スジが通っている。
選挙の立候補者と支援者の関係は候補擁立に尽力した支援者のほうへ発言権の比重が傾くように私は感じていたが、ここでは対等に議論がなされる。
そして候補者の“愚痴”も丁寧に拾って、陣営内部の本音と本音のぶつかり合いも隠さず明かす。
選挙結果は判っているが、勝利が確定した瞬間はやはり感動的だ。
私はかつて、選挙で当選した共産党候補の事務所で万歳三唱をしている光景をネットで見て違和感を覚えたことがあったが、岸本陣営の「バンザーイなしよ」は当然といえば当然ながら清々しくて心地よい。
187票差の勝利。民主政治の要諦は「敵とともに統治すること」とはいえ、そうしたあり方を脅かす勢力もおり、岸本効果で杉並区議会は男女同数を実現させながらも順風満帆とは言い切れないようだ。
立候補を「出馬」と言って選挙戦を競馬のようなレースに見立てたり、候補者を「神輿」に例えたりする言説は、すべての人が当事者である民主主義を担保すべき選挙本来の姿を見えにくくしている。
本作は、この国の選挙が総じて民主主義のための選挙であることを今更ながらに思い出させてくれて、元気が出て勇気と希望が湧いてくるお薦めのドキュメンタリーだ。
ミュニシパリズムとは何かを問う映画
今年初映画「○月○日、区長になる女」をポレポレ東中野で見てきました。昨日ロードショーで当面満席とのこと。私が住む杉並区は人口57万人、有権者数47万人なのですが、2022年6月の区長選挙はわずか187票という僅差で、もともとオランダに本拠がある国際NGO団体にいて選挙のわずか2ヶ月前に帰国した岸本聡子さんが現職で4期目を目指す田中良さんを破りました。爾来杉並区は市民運動が盛んな土地柄でかつ田中区長が2021年の緊急事態宣言下に群馬県に支持者とゴルフ旅行に行っていたなど言動・区政に批判があったとはいえ奇跡的な結果でした。この映画は以前は政治に無関心だったがたまたま都道の延長計画の区画整理地に住んでいた脚本家が区政や岸本聡子さんに興味を持ち、撮り貯めた映像をまとめたものです。途中の岸本さんと活動歴ン十年の市民運動家との軋轢・葛藤・昇華がリアルに小気味良く描かれていました。当選確定時のシーンは感涙もの。上映後のトークも勉強になりました。
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