ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのレビュー・感想・評価
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"最高!"の一言に尽きる
初ミニシアター
宇多丸の受け売りだけど、これほど尊く崇高な映画を観たことがない。
言葉の使い方が非常に巧みで、例えば"我々だけの話(アントルヌー)"や"バートン男子"、"キャンディケーン"など、アンガスとハナム先生の間だけで使われる言葉が度々登場するが、それらの使い所がオシャレすぎて感服する。
加えて終盤ハナム先生が校長に対して口にする"人間の形をした陰茎癌"はピカイチのセンスにコミカルさも相まってすごく笑えた。
これらのユニークな言葉を巧みに使いながら、ラストシーンでハナム先生がアンガスにかける言葉は"頑張るんだぞ、君なら大丈夫"というなんとも普通で気取らないありきたりな言葉。
真に大事なことを伝えるときは、カッコつけずまっすぐに伝えるというメリハリのある台詞遣いがたまらなく良い。
実際にバートン校の演劇部に所属するドミニク・セッサの演技には脱帽。
声質が非常に耳心地よく、表情の演技も素晴らしい。
ポール・ジアマッティの過去作で最も印象に残っていたのは"アメイジングスパイダーマン2"でのライノ役だったが、これほど素晴らしい演技ができる役者とは知らなかった。
アカデミー主演男優賞はキリアン・マーフィーではなく彼に贈られるべきだったとさえ思う。
音楽や映像からもレトロな雰囲気が敢えて醸し出されており、70年代の古き良きドラマ映画が現代に甦ったかのような感覚に陥った。
間違いなく映画史に残る大傑作!
タイトルなし(ネタバレ)
ハナムは根はいいやつだけど過去の出来事もあり劇的に不器用
アンガスも根はいいやつだけど環境のせいで不器用かつ生きにくそう
どっちも人間関係下手くそだけど、ぶつかり合ってお互いの理解者になっていてよかったな
あんなに嫌なハナムが、人と関わって少しずつほぐれていって、最後は身を挺してアンガスを守っていた変化にぐっときた
最後チクショウの親のせいで解雇になったのは納得いかない。親チクショウすぎる
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ
恵まれた環境の満たされない子ども
教育とは何か
もうちょっとリアリティを
勧善懲悪でないあたりが本作の魅力か
特別な年末年始をじっくりと
【鑑賞のきっかけ】
アカデミー賞受賞作品であることも知らず、未見でしたが、動画配信が始まってからは、高評価の作品として、注目されていることに気づき、鑑賞することとしました。
【率直な感想】
ジャンル的には、「コメディ」となっているけれど、心暖まる人間ドラマの雰囲気を強く感じた作品でした。
題名の「ホールドオーバーズ(The Holdovers)」というのは、「残留者」という意味だそうです。
時は1970年、とある寄宿学校で、ほとんどの生徒が、年末年始を帰省して過ごすこととなる中、寄宿学校に残ることになった生徒・アンガス。
そして、残留する生徒の面倒をみることとなった、古代史の教師・ハナムと、料理長のメアリー。
3人の過ごした1970年末から1971年初までの10数日を描いたのが本作品です。
それぞれが、心の中に何らかのわだかまりのようなものを感じており、本来なら、孤独な年末年始を送ることになっていたかもしれません。
しかし、たまたま3人一緒に、年末年始を送ることになり、それぞれの思いを共有することで、冬の寒さとは裏腹に、彼らの心は次第に暖まっていく・・・。
特別に大きな物語展開があるわけではないですが、その心の交流は、鑑賞していて、とても清々しく感じられ、どこか、切ない感じにもさせてくれます。
【全体評価】
年が改まったからと言って、生き物としての人間は何が変わるというものでもないけれど、新しい年の始まりというだけで、人間の特質である「心」の部分は、何かが変化しているかもしれない、と感じるもの。
本作品の3人は、「何かが変化していると感じた」ではなく、「確かに何かが変わった」のです。
そう思わずにはいられない、特別な年末年始を疑似体験できる、良作でした。
感想メモ
クリスマス休暇に学校の寮に置いていかれたアンガス、お堅い歴史教師のハナム、息子を亡くした料理長のメアリー
2週間を共に過ごす内に互いに心を通わせていく
割と序盤で生徒1人だけになってかわいそう
賽は投げられた、でカッコつけてジムで宙返りして即脱臼は笑う
賢くて気取ってるけどまだ子供なんだから、誰か大人が寄り添ってあげないとね
自分から見えている部分だけで他人を判断できない、それぞれが生きた人間でもっと深みがある、クソガキにもクソガキなりの葛藤がある
アントルヌー、ここだけの話
君は父親とは違う、君という1人の男だ、とアンガスに諭すシーンは感動
自分のために怒ってくれる大人がいるってすごく嬉しいことなんだろうな
トリメチルアミン尿症、魚が腐ったような臭い
配慮と思いやりを持って人に接することの難しさと大切さ
大人と子供…
子供は大人から教えられ、大人もまた子供から教えられる。こんな師に会いたかった。教師と生徒の関係で当初は反目し合うハナムとアンガスだったが、料理長メアリーも加わり、立場も境遇も異なる3人が共に時間を過ごすことで、互いを知り、自分を見つめ直す契機に。ゆったりしながらも、無駄のないテンポと心地よい音楽も相まって、昔の映画ではないかと思えるほど、衣装や小物なども本当にその時代にタイムスリップしたかのような展開が心地良かった。その後の2人の人生も見てみたい。
終わって欲しくない、ずっと続いて欲しい居残り休暇
ほっこり、そしてちょっと切ない
ヘンテコな残り者達のクリスマス。
不思議とほっこりする雰囲気がすてきでした。
この作品を見て、人ってやっぱり面白いなと思った。
それぞれ色んな事情があるけれど、ほとんどの人はそんなこと知らずに過ごしてる。
もっと想像力をはたらかせて理解し合えたら世の中はもっと面白くなるかもなと思いました。
ラストはちょっと切ないけれど、前向きな門出になると信じたい。
とても素敵な作品でした。
かっこいい
なんだかんだ三人とも純粋で素敵だった
まさに年末年始の、地元で久しぶりに飲んで、いつの間にかみんな歳とっちゃって、家族できたり色々あったり、なんて話をしてた時期だったから?ノックアウトされてしまった
自意識過剰だった(この点で叱られたわけではない)大学時代
よく叱られた必修科目の教授を思い出した
我々、同じ国の人間ですよね?ってくらい
価値観とか言い回しのクセが合わなくて
お互いめちゃくちゃ嫌ってたけど
ラスト4年目で大人しくして黒板消し頑張ったら
ギリ単位くれた
本質的には全く本作とリンクしてないけど
そんな懐かしい思い出もよみがえった
昔の名画のようなつくりながら、現在が描かれている佳作
本年、最初の一本に相応しい作品だった。
オープニングから1970年代の雰囲気のつくりでフィルム映画っぽく、昔の名画を観ているような鑑賞体験だったが、描かれているものは、まさに現在もリアルに問題になっている事柄であって、映画の中で出てくる「歴史は過去を学ぶだけでなく、今を説明すること」を体現していた。
観た人同士で語り合いたい切り口は幾つもあるけれど、レビューとして言語化してしまうのは野暮ったい気がするので、一つだけ。
ハナムとアンガスのように、ズケズケと言いたいことを言い合いながらも、きちんと相手を丸ごと受け止められたらそれはもう家族だし、逆に、形は家族であっても、それができなかったら、残念ながら赤の他人だよなぁということを書き留めておきたい2025年の正月。
息子たちの物語
本当は映画館で観たかったけれど行きそびれて…。でもクリスマスの時期にVODで鑑賞できてむしろ良かった、心に残る逸品です。
何組もの親子が出てきますが、親に対して複雑な思いを抱く息子たちのイニシエーションとなる冬休みの物語、と自分の中ではまとめてみました。
主要な3人が背負う数々の苦難、そりゃキツすぎでしよ、と突っ込みたくなるほど。特にハナム先生は、学位のこと、病気のこと、外見のことなど、性格ひねくれても仕方ないです。それでも好きなことへの思いが人生を支えてくれている、実はとても誠実な先生だな、と。
印象的なシーンは幾つもありますが、私が一番良かったと思うのはラストシーン。学校の敷地を出る丁字路で一旦停止する車が、母校というある種のサンクチュアリから飛び立とうとする先生の、飛び立つ直前の深呼吸のように見えました。
サントラが気になったのも久し振り。新年に向けて、頑張ろう!と背中を押してもらえる映画でした。
どのように同士になるか
⭐︎4.0 / 5.0
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