コット、はじまりの夏のレビュー・感想・評価
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こちらあみ子 を思い出した
主人公のあり様は違うけど、日本映画で一昨年の作品こちらあみ子を思い出した。本人の性格は全く真反対だけど、心の変化に自分が自覚しきれてないもどかしさ。それをこの作品、よく表してる。
雄大な時間と小さな変化
映画というメディアが持つひとつの特性に“時間の流れ”の描き方というのがある。故に映画は時に時間軸をずらして見せたり、前後の時間を入れ替えるなどの魔法を使って観客を翻弄し、魅了する。では、本作の時間の描き方はどうだろうか?複雑な時間のトリックはない。だが、木漏れ日溢れる美しい自然美を背景に映し出しながら、ゆったりと流れる時間を観客に堪能させる。これは実に贅沢な映画体験だ。
コットが走り出す、手を繋いで水を汲みに行く、農場の手伝いを行う、そんな些細なシーンの一つ一つにこそ彼女の心身の成長が垣間見られる。そして、それは同時にコットを預かる親戚夫婦の心の隙間を埋めていく。髪を梳かす、街に買い物に行く時に渡すお小遣い、洋服を試着したコットを見つめる表情。直接的な言葉は使わないものの、それら全てが偽りのない愛の形として描かれていく。
だが、その雄大な時間の流れもやがて終わりを迎えることとなる。実際、そこからの展開は早く、寒々しくも映る。しかし、親戚夫婦と過ごした時間の中で確実に起こった小さな変化の蓄積こそが最後に大きな感動を呼ぶ。一度見ただけで理解したとするには勿体ない作品であり、特に舞台となる夏の終わりにこそ繰り返し観たくなるであろう良作に出会えた。
自然な愛
小鳥のさえずり、木々を渡って木の葉を揺らすそよ風、月夜のさざなみ
そのような自然の営みの音が全編を通じて人の自然な営みとしての愛の在り方を思い起こさせる効果を与えていたように感じた。
主演の少女の尊さは私の拙い表現力では伝えきれない。素敵でした。
ひと夏のパパとママの、少女へのいたわりに胸をあつくしました。
当人に自覚があるかなしかは別として、悪意が全ての人から消えることはないのでしょう。それでも人の心を動かすのはやはり善意なんだと信じたいと思いました。
さてどっち?
ああいう終わり方は本来嫌いなんですが、なぜかこの映画は許せるかも。「おじさんさよならありがとう」なのか「やっぱりおじさんと暮らしたい」なのか、どちらにとらえても感動です。まあ親父が「ショーン、娘をたのむ」なら良いんだけど。
タイトルからは想像できない…
飲む打つ買うのダメダメパパと子だくさんママの家族の一番下の娘が、子供の無い親戚に一時的に預けられたことで、子供らしさというか人間らしさを取り戻していく内容
最後は泣いた😢周りからもすすり泣きが…
いい映画だけれど、寡黙すぎて‥‥。
アイルランドの風景がきれいだし、主役の少女は、透明感のある美しさ。ところどころ意味不明なシーンもあるが、少女のひと夏の経験を描いたいい映画だ。しかし、少女コットと、心を通わせるショーンの二人が、あまりにも寡黙過ぎて、いまひとつ感動に至らなかった。
ラストシーンも、少女の今後を想像すると、複雑。でも、見て損はない映画だと思う。
空気感は好きだけど、きれいすぎる
好きなスタンダードサイズの作品。
映るものが絞られることで、観ていて心地良い。
それぞれが不器用な登場人物がうまく演じられていて、セリフは多くなくとも、気持ちが伝わってくる。
田舎の風景や、家庭間の対比、子供を巡る夫婦の思いなど、短いながらも感じることが多かった。
ただ、映像はとてもきれいなのだけれど、画が整いすぎているというか、印象的なものがあまりなかったのが正直なところ。
自分が見慣れてしまったのか、画の綺麗さをもとめて、少しリアリティがうすくなってしまったのか。
総じて、期待通りの作品でした。
アイルランド 少女の夏
あらすじ読むのがキライだから、
アイルランド、少女の夏
それだけの情報で観ました。
アイルランドの自然が綺麗で美しく、センスよく切り取っては、絵画みたいな素晴らしい画を観せてくれます。
牛のミルクについて、少女コットが言った言葉が好きだわ(笑)
そうだよね、そのとおり(笑)
汚れていない子供の心。
静かで、優しく、美しい、映画かな?
最後は、どう受け取りますか?
たぶん、みんな同じでしょうけど(笑)
スコアは、70点ぐらいです。
おとなしいハイジ
題名から、性自認や、性的指向に目覚める少女の話かと思って警戒していましたが、違いました❣️
あやうく、佳作を観る機会を逃すところでした。
はっきりとした虐待はなさそうでも、冷たく乾いた雰囲気の家、明るくはないけれど、接し方には愛がある親戚。愛情の有無は子どもにもわかります。
ひと夏預けられたくらいでは、明るい子にはならないし、実家も変わらないし、実家に帰らないといけないのも変わらない。
それでもきっと、この夏の思い出が、これからのコットを支えてくれるはず…❣️
そう信じたい、余韻のありすぎる最後の場面でした🩷
都合のいい時間に上映されていたから、という消極的な理由で観ましたが、思わぬ拾い物でした。観てよかったです😊
最高の体験をありがとう
物語の紡ぎ方、魅せ方、オチへの流れ、そして振り返ると演出意図が私ごときでも理解できる。フラッシュバックのようにすべてのシーンが最後の余韻として心に来る。
私にとっては最高の映画でした。
この控えめで育児放棄されてきた子どもの演技を主演の彼女がどうしてこ...
この控えめで育児放棄されてきた子どもの演技を主演の彼女がどうしてこんなふうに適確に演じられてしまうのかということにまず驚く。表情、佇まい、頑なな感じ、繊細さ、人との距離感、すべてが素晴らしい。
ショーンが最初、目も合わさない冷たい関わりだったのは、息子への感情を消化できていなかったからなのだということが後でわかる。ショーンはむしろ優しすぎるくらい優しく少女を抱き抱えるからだ。逆に少女に過剰に優しさを示す妻の方はむしろより深い心の傷にさいなまれていることが後でわかる。日常の中の心の亀裂、怖いくらいの表現。
原題「The silent girl 」そのままの静かな映画
前評判を読んだことによる期待が高すぎたのか、起伏が自分にとっては無さすぎて、半分寝かけてしまった。原題が「The silent girl」だからかな?預け先の牧場のおじさん(このおじさんとの出会いも素っ気ない)とのふれあいがもう少したっぷり描かれてたら、もう少しおじさんとの牧場仕事のシーンが多かったら、もっとよかったかも。
透明感のあるとても美しい映像でした💛
アイルランド映画って初めてかも。主人公の内気な少女コットが、初めて家族の愛に包まれ、殻を破って成長する姿が、とても美しく描かれてて、じ〜んときちゃいました😃
ある無口な少女コット
両親からネグレクトされた物静かな9歳の少女が、夏休みの間子供のいない親戚宅に預けられ、自分の居場所を見つける単なるビルドゥングス・ロマンとして見たら、この映画面白くも何ともないのです。高々数週間を一緒に過ごしたくらいで、血も繋がっていない叔父さんのことを「パパ」と呼んですがりつく少女の姿にまったく共感できなかったのですが、映画をご覧になったみなさんもきっと「ベルリンでグランプリを受賞するほどの作品か?」という感想をもたれたはず。
80年代アイルランドの田舎が舞台になったこの映画、なぜかイングランド人映画評論家がのきなみ星5つをつけているほどの高い評価を受けているのです。技術的にも未熟な若手無名監督が撮った映画にも関わらず、です。妹に冷たい姉3人、ギャンブル好きで粗暴な父親、いつも不機嫌な妊娠中の母さんに囲まれ、四女のコットは学校にもそして実家にも自分の居場所がありません。精神的に不安定なコットは、そのせいかおねしょ癖がなかなか治りません。そしてある日、母親の従姉にあたるアイリーンとその夫ショーンが営む牧場に預けられることになるですが....
しかし、子煩悩のアイリーンはともかく、夫のショーンの方ががなかなかコットに心を開いてくれません。そんなある日、ショーンがコットに向かってこんなことを言うのです。“Many’s the person missed the opportunity to say nothing.” と。口は災いの元だから何も言わないことはけっして悪いことじゃない、とコットに諭すのです。これってもしかしたら、ことあるごとにアイルランド国内でテロ騒動を起こすシン・フェイン党ならびにIRAに対する皮肉なのでは、とふと思ったのです。
いわゆるアイルランド内戦は、おおまかにいうとカトリック(アイルランド独立派)vsプロテスタント(イングランド帰属派)の紛争であることがよく知られていますが、劇中、それを臭わせる怪しい表現が多々見受けられるのです。食の細いコットが座っているテーブルにクッキーを置く(聖体拝領)ショーン、知人の葬儀では酒(キリストの血)を未成年のコットに飲ませ、極めつけは聖なる人工池に落ちて全身ずぶ濡れ(バブテスト派の洗礼)になるコット。
実はこの映画見かけとは違って、貧乏なカトリック(独立派)の家に生まれ邪魔者にされた少女が脱走し、最終的に裕福なプロテスタント(帰属派)に改宗、新しい神=父親=ショーンを「パパ」と(強引に)呼ばせる、なんともプロパガンダ臭の強いメタファーがしれっとしこまれていたのです。イングランド人の評論家がこぞって本作にをおす理由もご納得いただけると思います。単純に『ハイジ』をパクった映画ではなかったのです。
心が穏やかになる作品でした
とても穏やかな作品で派手な見せ場はなかったですが、心が洗われる良心的な気持ちになりました。
寡黙で大人しい少女コットは夏休みを親戚夫婦キンセラ家の農場で過ごすことになります。
キンセラ家のショーンとアイリンの夫婦の愛情に接し徐々に心を開いていく少女の心を繊細に描いています。
ラストも心地よい雰囲気で終わりおすすめ度は普通のやや上です。
幼少期に田舎に預けられた経験がある自分には懐かしさを感じる作品でした。
綺麗な作品
映像もストーリーの進み方も終わり方も綺麗。
血のつながりだけが全てではない
一緒に過ごして、少しずつ関係が変化して
お互いの心持ちも変化して
心地よい距離感で、心地よく過ごせる人というのは
なかなか出会えない。
そういう部分を、少ない会話と美しい映像で表現していて
とても良かった。
終わり方も全てを語らない感じが良かった。
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