「エンドロールで客席が凍りつく吹替版よりは、字幕版の方が精神衛生上良いかもしれません」ゴーストバスターズ フローズン・サマー Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
エンドロールで客席が凍りつく吹替版よりは、字幕版の方が精神衛生上良いかもしれません
2024.4.3 字幕 イオンシネマ京都桂川
2024年のアメリカ映画(115分、G)
シリーズ4作目にして、前作『ゴーストバスターズ:アフターライフ』の続編映画
ニューヨークを舞台に、伝説のゴーストと戦うバスターズを描いたアクション映画
監督はギル・キーナン
脚本はギル・キーナン&ジェイソン・ライトマン
原題は『GhostBusters:Frozen Empire』で、「凍てつく帝国」という意味
物語は、前作から3年後のニューヨークを舞台にして、ゴーストバスターズの活躍が描かれて始まる
前作で12歳だったフィービー(マッケナ・グレイス)も15歳になり、兄トレヴァー(フィン・ウィルハート)と母キャリー(キャリー・クイン)とともに、母の恋人ゲイリー(ポール・ラッド)と一緒に暮らしていた
かつて消防署があった場所を基地兼住居にしていて、要請がある度に出動していたが、その際に多くの損害を引き起こしていた
市長のウォーター・ペック(ウィリアム・アーサートン)は活動自粛を言い渡し、未成年のフィービーを働かせるなと言い放った
やむを得ず、フィービーを外して活動に勤しむものの、それによってフィービーは居場所を失ってしまう
ゲイリーを亡き父の代わりとは思えず、複雑な想いを抱えたフィービーは、公園のベンチで一人チェスをして時間を潰すことになった
だが、誰もいないはずなのに駒が勝手に動き出し、突然目の前に少女のゴーストが現れた
彼女の名はメロディー(エミリー・アリン・リンド)と言い、焼死してこの世を彷徨っているという
彼女は両親の元に行くことを望んでいて、その方法をずっと探していたのである
映画は、ゲイリーが擬似的な父親から脱却できるかを描きつつ、フィービーが存在意義に悩む様子を描いていく
微妙な年頃の女の子で、父が死んだ後に恋人を作る母の神経がわからない
兄がそれを受け入れていることも意味がわからずに「父とは呼べずにいる」のだが、それがひと夏の経験を経て、「父」と呼べるようになる、という内容になっていた
また、ラストのガラッガとの戦いにおいて、フィービーの活躍がニューヨーク市民に支持され、それによって彼女の待遇というものが変わっていく
それでも、法律は法律なのだが、この世界でそれを言うのは野暮ということになっていた
物語は、思春期の抵抗みたいなものだが、年齢以上に見えるので違う意味での葛藤があるように感じてしまう
若気の至りで暴走し、メロディに利用されたりするのだが、ラスボスが死ぬほど弱いので、ラストバトルは冒頭のゴーストドラゴン捕獲シーンよりもショボい
ファイヤーマスターなる伝説の人物の後継者・ナディーム(クメイル・ラズマディ)も登場するが、ぶっちゃけると不要な人物のように思えた
そこは、兄貴にその力が実はあったのです、ぐらいでも問題なく、彼らは根っからのゴーストバスターズだったと紡いでも良かったのではないだろうか
いずれにせよ、吹替版で某パフォーマーのMVを強制的に見せられるという誰得が話題になっているが、子ども以外は字幕版で観た方が良いと思う
4DXとかなら吹替版やむなしだが、MVに関してはスルーして退場しても問題ないと思う
話題のためにタイアップをするのはわかるが、ここまで露骨だと効果が逆転するので、ねじ込んだ担当者&Pはもう少し真剣に考えた方が良いのではないだろうか
字幕版だと、そう言った無茶なゴリ押しには遭いにくい(遭わないとは言っていない)ので、映画の余韻を壊したくない人は、チケットを買う前に確認した方が良いだろう