「つまんないワケじゃないが、まったりした」ゴーストバスターズ フローズン・サマー つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
つまんないワケじゃないが、まったりした
前作「アフターライフ」がオリジナルと原題をつなぐ物語として最高に機能したのに対し、「フローズンサマー」はオリジナルの正統続編として、テイストを受け継ぎつつ、現代らしさをプラスして作られた「The続編」という作品だった。
そこに感じたのは、2020年代になって色んなものが公正・公平を目指し、結果窮屈になってるんだなということだ。
劇中でのフィービーのセリフ通り。家業とはいえゴーストバスターズとして労働に従事するには子ども過ぎると言われ、「昔なら立派な労働力で4児の母だ!」と不満をぶち撒ける。そのあたり、昔はなぁなぁだった。家の手伝いになんとなく含まれて、勿論無給なんだけどお駄賃みたいなのは貰える時もあって。
ちゃんとしなきゃいけない時代に、ちゃんとするとは最も縁遠いゴーストバスターズはかなり窮屈そうである。
フィービーの空回りや、ガラッカの封印、ゲイリーの微妙な立場、オリジナル・メンバーたちなど、前半は後半の大団円の為の要素を丁寧に作り込んでいたと思うが、丁寧すぎてかなり低刺激だったし、後半の盛り上がりまでの助走が長過ぎたように思う。
今回メインのゴーストであるガラッカの出番も少なく、殆ど封印されていたまま物語が進んでしまうので、急に凍りついたNY市民的にもゴーストの仕業かどうか判断がつかなかったんじゃないかと心配になるレベルだ。
ちょっと時間を前後させるか、ガラッカの封印が半分解けてる状態を作って、街に不可解な動物の凍死体が出ていたりする方が、間延び感を回避できたかもしれない。
とはいえ、春休みらしく中学生くらいのグループや親子連れみたいな観客も多かったので、これくらい捻りなく進む方が「初めて映画館で映画観たよ!」という層には有り難いかもしれないので、匙加減は本当に難しい。
映画が公平で公正であるためには、映画オタクだけでなく子どもや映画を観慣れていない人への配慮も必要だし、そういう人々が「フローズンサマー」で大画面のアクション・コメディを気に入ってくれたらこんなに良いことはない。