WILLのレビュー・感想・評価
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愛する我が子への「WILL=遺書」
俳優・東出昌大が狩猟をする姿を追ったドキュメンタリー映画。公開前から楽しみにしていたのですが、なんとも凄いものをみせられた気がしました。
東出昌大さんといえば、誰もが知っている朝ドラ俳優で女優の杏ちゃんと結婚、3人の父となり順風満帆にみえた人生を一瞬にして崩壊させたひと、やっぱり懲りないひと。世間の認識は多かれ少なかれそんな感じではないだろうか。では、実際の彼はどうだろう?映像から垣間見えるでっくん(東出昌大)は、純粋で人を疑うことを知らない、気さくでオープンな人柄だ。純粋であるがゆえに危うさも感じるが、その人間的弱さが垣間見れるところが彼の良さだとも思う。どんなに都会を離れて山に籠ったとしても、彼が世俗を捨てることはなさそうだということ。周囲の狩猟仲間もそれを理解している。「狩猟は趣味で、役者が本業だと」いつかはまた、華々しい世界へ戻っていく彼が、束の間に心を癒す場所ーそれが山であり、狩猟である。映画全般にわたって、彼は悩んでもがいている。登場する狩猟の師匠たちの「命」を頂くことに対する思いもまた深い。このドキュメンタリー映画に登場する全ての人が、「命とは?」「生きるとは?」という答えのでない問いに、逃げずに、真摯に向き合っている。また、特筆すべきはラップグループ「MOROHA」の音楽かもしれない。魂を揺さぶる言葉と音は、映像が私たちに問いかけてくる意味をよりいっそう深化させ、なくてはならない演出となっている。
でっくんが、この映画の出演を決めたのは子どもたちの為だという。「WILL=遺書」を残すことで、生きる意味を再確認していく彼の姿がリアルに映し出されていて、何かしらの重い衝撃(感動)を持ち帰ることになる映画です。数ある映画のラインナップの中から、本作品を1番にチョイスすることは、まずないと思いますが、観ておいて損はない良作ドキュメンタリーだと思います。殺生や生々しい映像が苦手な方にはおすすめしません。
もの凄くリアルな生と死が描かれた映画。 普段、死は特別で遠い出来事...
もの凄くリアルな生と死が描かれた映画。
普段、死は特別で遠い出来事と思っていたが、生の隣には死があるんだと感じられた。東出さんがクローズアップされがちだと思うが、東出さんの生き方を通してもっと大きな自然の営みを感じられ、私たちもその一部であることを再確認した。
個人的には、昔ながらの猟師が今の猟師の問題を語るシーンや、「(野生の)熊の肉がおいしい。」というセリフ等が印象に残っている。スーパーの肉とは違う生命の味なんだろうな。
この映画、世界の人に観てもらいたい。
生きるために
食う。食うのに狩をする。
って、そんな御託並べてるけどさぁ。
狩をしなくても食えるように人間が色々発見開発してきたのは
どう思うんだよ。
って突っ込みたい。
プリミティブな疑問や問に行き着いたら尊い奴
みたいな空気感で
ひたすら、自己肯定しかしない輩のドキュメンタリー。
こう奴ばかりの世の中になったら
世の中荒れまくるよね。って
僕は思ってる◎
配信で観れた方ちゃんと観てみたけど
これは金払って観たいとは思わねぇ。
なぜその生き方に至ったか
個人評価:4.2
いいドキュメンタリーだと感じた。
以前、森達也の『FAKE』をみた時と同じように、作り手から対象者への愛を感じ、どのように解釈してほしいかの示唆がわかりやすく、またそこに好感が持てた。
本作は東出昌大のファンか、またその逆の人しか見ないだろう。しかしいずれの鑑賞者も、なぜ東出昌大が、その生き方に至ったかが分かる作りになっている。
【”世界は残酷で溢れている。それでも僕は、自分の生き様を会えない子供達に遺すために命を自らの意思を持って戴き、生きる。”俳優、東出昌大の役者人生の瀬戸際からの生き方を描いたドキュメンタリー作品。】
ー 俳優、東出昌大氏が、今作の中でも自ら口にしているが、自らの奢りによりある出来事を惹き起こし、家庭は崩壊し、仕事は無くなりメディアにも出られなくなった事は、映画を観ている方であれば、ご存じのことであろう。
今作は、そんなどん底の状態の彼が、山の中に籠り、狩猟免許を取得し”単独忍び猟”を初め、野生の鹿、熊などの肉を食いながら、数名の人間と関りを持ちながら生き、再生していく様を描いたドキュメンタリー作品である。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・今作の冒頭から、強烈な存在感を発揮している東出氏が慕う”単独忍び猟なら、一番上手いのは、服部さん。”と語る、登山家服部文祥氏についてまずは触れたい。
私が、服部氏を知ったのは大学のサークル内に山のように積まれていた雑誌「岳人」「山と渓谷」の記事である。
そこには、大学生だった服部氏(当時は村田氏。その後奥さんと結婚し”格好いいから”奥さんの苗字にした。)自身が書いた破天荒なK2登山の記事が載っていた。それまで、登頂記はマジメに書かれたモノばかりだったが、彼が書いたK2登山記事は強烈だった。
その後、服部氏は”サバイバル登山”と言うジャンルを確立し、登山界に衝撃を与える。所謂、テントやシュラフ、ヘッドランプと言った登山には必須のモノを”ズル”と言いきり、米と味噌だけ持参し、後は渓流で岩魚を釣り、食える草(山には多数ある)、蛙、蛇を現地調達し、2週間ほど山を渡り歩くスタイルである。
この辺りは、みすず書房から出版されている超絶面白い「サバイバル登山家」に記載されている。その延長上に狩猟サバイバルがあるのである。この辺りもみすず書房から出版されている「狩猟サバイバル」に記載されている。
更に、冬の黒部(フツーの人は行かない。理由は明白。死ぬからである。)に、冬黒部の先駆者で、多分服部氏が唯一頭が上がらないと思われる和田城志氏と、故、ベニシアさんの旦那さんで山岳写真家の梶山正氏と登った登頂記は戦慄モノであった。
とまあ、兎に角トンデモナイ人なのであるが、今作でも冒頭からのマクロ的な死生観を語る言葉が凄い。東出氏は黙って聞いているのみである。
そして、服部氏は鬱状態にあった東出氏に、”慎重に言葉を選んで”メールを売ったりもしたらしい。実は、繊細な人である事が何となく分かる。
東出氏の再生のきっかけになった人物の一人だと思う。
・序盤は、東出氏がスキャンダルから逃れるためと、仕事がなくなったためなのか、彼が狩猟免許を取得し、鹿を撃つきっかけを話すシーンが多く映される。
その中で彼が口にするのは、”圧倒的な生の実感。”と言う言葉である。
マスコミに叩かれ、根拠の無い事を週刊誌に書かれ、事務所との契約も解除になりながら、東出氏が言った言葉は重い。
■再後半、東出氏がカメラに向かって言う言葉も実に重いが、観る側に突き刺さるのである。
”このドキュメンタリー映画の制作をする意図っていいましたっけ?”と言いながら、彼はハンドルを握りながら、”子供達への遺言の積りで撮って貰った。”と言うのである。
<東出氏が行った事の代償が余りにも大きかった事は、冒頭に記した通りである。そして、彼が非常にクレバーな頭を持ちながら、時に衝動的に道を外す性格であることも、観ていると分かって来る。
故に序盤は、観ていて”この人、プライバシーもなく、世間に叩かれ続けて大丈夫なのかな。”と思っていたが、徐々に猟で獲った鹿肉や熊肉を地元の猟友会のオジサン達と食べている姿と、上述した彼の”子供達への遺言の積りで撮った。”と言う言葉を聞いて、東出氏の生に対する考え方が変わったのかな、と思ったのである。
今作は、俳優・東出昌大氏の狩猟生活に密着しながらも、実は大きな過ちを犯した男の喪失から再生して行く姿を撮った優れたドキュメンタリー映画ではないかな、と思った作品である。
俳優・東出昌大氏の近年の作品を選んだ映画での演技は素晴らしいと私は思う。今後も、良い映画で更に活躍して欲しいと、切に願っている。>
東出昌大氏の素顔
生きることは,他の命の上に成り立っていることを思わされた。
私には東出氏のドキュメントと音楽、歌が合わなくて、イライラしてしまいました。淡々と東出氏を追いかけるだけで、またはギターの演奏だけでよかったように感じました。
7月6日監督ご本人の舞台挨拶で再鑑賞。
ご本人曰く全編通して、見れてないとのこと。出てくる歌い手さんはご友人であることを知りました。
誠実に作られている印象。
狩猟する人は私の身近にもいるが、嘘や誇張は特に感じなかった。誠実に作られているように思う。
狩猟に縁がない人にも伝わるよう、鮮烈な映像で見せてくれている。また、殺生とは?東出さんはじめ狩猟をする人が何を感じているのか?それらについても深めようと試みている。難しいことなのに、なかなか頑張っている。
東出さんの心の窮地は狩猟が支えた。そして今、狩猟がある生活により、前よりもっとバランスが良く充実した生き方ができているようだ。
彼のように野山を駆け回ることなど、私にはできない。でも、彼のように視点を変えることが必要な時もあるのかもしれない。また、自然の摂理の中で自分は何?と考える必要がある…。ということを気に留めておきたいと思った。
場面がよく飛び、時系列も行ったり来たりなので実は観ていて少し疲れた。
また、流されたラップ音楽は、決してきらいじゃないがクセはあるので、気分のノリを選び、突然わーと流されて少し疲れた。もう少し短めにするとかなるべくバックで流すとかのほうが私的には助かった。
また、インタビューなどで言葉を引き出そうとしているようだけれど、無理して理屈でまとめなくてもよいのかな…と感じた。
しかし好感は持てて、かなり印象に残る映画だったと思う。
狩猟と釣りはちがうのか
信頼している映画評論家のひとり、MT氏(町山さんじゃないほう)が推薦されていたため鑑賞。
本ドキュメンタリーの仕事をうけたのは子供への遺言、と作品内で東出が語っていたが、このようなかたちで自分の生き様を残せる役者という職業にはややうらやましい。
TVをあまり見ないし、週刊誌も読まないのでこのヒトの不倫騒動というのは全然知らないが、映画のなかでの彼はとても真摯な生き方をしているようにみえた。
劇中、害獣駆除狩猟の問題点とか小学生相手の食育のはなしなども扱われていて興味深い。
ただこの類のドキュメンタリーだと、すぐ哲学的な「いきものの命を奪って云々」の問いがでてくるがあれは日本人特有なのかね。狩猟民族起源の欧米ではどうなんだろう。日本でも釣りの分野はそんな問いはせずドライにやってるような。(松方弘樹がマグロを釣って自問自答しているとは思えん)
ところで、劇中説明される東出の狩猟歴からするとおそらく使用している猟銃はライフルではなく(ライフル所持許可は散弾銃を10年以上所持が条件)、ボルトアクションのハーフライフル銃(散弾銃の親戚)をスラッグ弾で使用していると推察する。作品内で2度ほど排莢不良シーンがはさみこまれていたが、あんなにジャムるものなのか?
鹿可哀想 でも美味しいので食べます
福田村事件の東出さんにやられて実物が見れる!と思いトークショーに行きました。狩猟に関しては実家でよく鹿が罠にかかり自治体から派遣された決まった猟師さんにさばいた肉のお裾分けを頂いてます。鹿は本当に美味しい。山の恵みに感謝です。
映画本編ですが親鹿打った後に子鹿を打つのが悲しかったです。つぶらな瞳のままの解体作業と。肉くれる猟師のおじさんこういう事やってるんだ、自分は無理だなと思いました。イノシシ猟友会のグループにも実家で出くわした事ありましたが、温厚で人当たりいい印象はなかったです。内輪のグループで排他的なオーラありました。映画の猟師の方々も皆さん親切ですが温厚でとっつき易いたぐいの人々ではないですよね。強くて厳しそうな。そうでないと狩猟はできないのでしょうね。猟友会の方も信頼できないと仲間に入れないと言ってたので東出さんも然ることながら撮影に協力してもらえたのは監督のエリザベスさんの人柄も大きかったような気がしました。 サイン会で監督さんなのに驕ったとこがなくものすごく優しい方だなと思いました。
小説 葉真中彰さんの凍てつく太陽でアイヌ民族の儀式イオマンテで大切に育ててきた小熊を男全員で矢で仕留めて生贄にする儀式がありましたがこの映画に通じるものがありました。儀式を通じて生き物は何ものにも抗えない力を受け入れなければならないと感じたと主人公は言ってました。鹿鍋食べてるシーンで服部さんが同じ事言ってたような。
服部さんは映画で自死は一つの選択と言ってました。トークショーでは子供は生んで生物のサイクルで循環させるべきだと。昨今引きこもりや精神障害や子供の自殺などもあり産めばいいという気持ちに疑問はあります。ただ生死の近くで生活すると命の価値をもっと身に沁みて感じられるのかなと。服部さんのおっしゃることは正しいとも思います。服部さんだから説得力をもって言える事です。しかし都市型でしか暮らせない弱い人間だと悩みが多くて単純には考えられません。自然に身を置けば小さな悩みなのかもしれません。でも健康な身体を持つ事が前提なのであって。。。アメリカの共和党の哲学に近いものを感じました。どう感じるかは人それぞれ。
子供たちに赦しを乞う遺言
体毛に覆われた獣たちの死骸を見るのだって辛いのに、それを猟銃で撃って殺す。そして鮮血滴る温もりの残る獣たちの身体を自らのナイフで捌いて食らう。時には殺された母鹿を見つめる小鹿の姿を映像がとらえることもある。はっきり言って残酷この上ない。獲物を求め猟銃を手に山道を歩く彼の姿は自らを貶めているかのようにも見える。
4年前に、不倫(不倫報道)→世間からの袋叩き→離婚→事務所からの解雇。人間失格の烙印。
一方でハンサムで背が高くて気さく(人たらし、女たらし)な有名人だから、結局どこへ行っても人気者。黙っていても皆が寄ってくる。助けてくれる。(な~んだ。これもまたこの映画を通して、ずっと思い続けた僕の感想でもあります)
「どうしてあなたはいつだって怒らないんですか」という質問に「そんなことにエネルギーを使いたくない」という返答。この言葉に今の彼の立場、考え方が凝縮されている。世間に自分を晒して生きる仕事をしている。そしてこれからもそれを生業として生きていく。だから下らない世間の下らない評価にも晒されてしまうことも仕方がない、という彼の考え、覚悟を感じた。
最後にこの映画を作った意味を語る。会えなくなってしまった我が子への思いを言葉少なに語る。そういうことか。僕にはすべてが腑に落ちた。
汚い存在の自分を許して愛してほしいという、東出ひいては人間への監督からのメッセージ
実は彼の映画やドラマを一本も見たことのない私。
彼に狩猟の手ほどきをした一人に、サバイバル登山家の服部文祥さんが関わってると知って、俄然興味がわきました。
干された芸能人のしがない生活を同情的に描く話ではない。
普段他人が殺した肉をのうのうと食べて命を頂く感謝が薄れている世の中で、あえて狩猟で命と対峙することの喜びと悩み、自然破壊した人間や増えすぎた鹿と無駄になる野生肉のこと、生き物の内蔵を撮る石川竜一、鋭いリリックで世の中の欺瞞を痛烈に叫び救いを探し続けるMOROHA、そして人間の存在が地球にとってどうあるべきなのか?まで問い続ける服部さん。ほか多彩なゲストや猟銃会のおっちゃんたちの話などに彩られて、深く重たいテーマに収斂。
WiLLの意味が最後明かされたとき、人間社会が一番残酷だよなと思いました。芸能人の色恋沙汰なんてこちらの人生には一ミリも関係ないのに社会的抹殺されるほどなのか?と。
最終的には監督から東出さんへのエールなのかなと。MOROHAの歌詞が、こんなに汚い自分でも自分を愛せるときがくるのかというような内容だったので、東出さんに自分を許して愛して人生を楽しんでほしいというメッセージと受け取れました。
生き続ける
生き物を猟銃で撃ちナイフで解体していく場面がけっこうありました。命を奪う自らの行為に心を痛めつつも自らが生きるために美味しくいただく。その矛盾に悩み考え続ける東出さんの、田舎暮らしを始めてからの記録。身から出た錆とはいえ、心傷つき痩せ細ってしまった東出さんが、田舎で出会った素敵な人生の先輩方とのふれあいの中で、逞しく再生されていく様が見れて良かったです。これからもしっかり生きていって欲しいと思いました。いつか、きっと子どもたちと会える!生き続けていれば! それから、MOROHAの音楽が良かったです。初めて聴きました。感動しました。
命を喰らう人たらし
東出昌大の映画はつい見てしまう
このドキュメンタリーは最高に刺激的で引き込まれてしまった
世間の女性からはきっと嫌われているんだろう
彼の正直に生きている所に男も女も惚れてしまうのか
そしてたまにそんな女に巻き込まれて世間を騒がしてしまう
きっと悪気はないのだろう
野生の動物を撃って、命をいただく
人間にとってはとても原始的な行為であるのでしょう
師匠である服部さんの言葉はとても哲学的で説得力があり
葛藤しながら狩猟をして生きているのを感じた
MOROHAの歌もこの映画にとてもよく合っていて感動でした
どっかで見たことあると思ったら、ほやマンだったのですね
140分という長かったが、引き込まれてしまいあっという間でしたね
ちょっとでも気になる人は絶対見てください
今年一番になるかも
鹿が死んでも目を閉じないのは、命が繋がっていく様を直視したいからなのかもしれない
2024.2.29 アップリンク京都
2024年の日本映画(140分、G)
北関東で猟師をしている俳優・東出昌大を追ったドキュメンタリー映画
監督&編集はエリザベス宮地
物語の舞台は北関東のとある村&東京
不倫スキャンダルから事務所解雇に至った頃に、北関東に移住をすることになった東出昌大の日常を追っていく
主に2021年11月から、22年9月ぐらいの約1年間の密着を元に構成されている
その期間は、ちょうど不倫スキャンダルで謝罪会見を終え、その後、舞台『悪魔と永遠(演出:川名幸宏)』での復帰、映画『福田村事件(監督:森達也)』の撮影時期となっている
また、報道されなかった女性猟師のマツハシとの関係、彼が移住することになった経緯などにスポットライトが当たっていく
映画は、狩猟シーンが頻繁に登場し、ガチで捕らえた動物を解体するシーンなどが登場する
なので、血がダメという人は直視できないシーンが多く、劇中で登場する写真家・石川竜一の『いのちのうちがわ』からの写真も引用されていく
内容としては、命に向き合うことを描きながら、彼がそこに安息を求めている理由などが描かれていく
かなり哲学的な内容になっていて、映像と上映時間の長さも踏まえて、相当な覚悟が要る反面、「すごいものを見たな」という感覚は拭えない
人類が肉を食べていることに向き合い、命の選別とその業を真正面から描き、そこに在る葛藤なども浮き彫りになっていく
劇中で印象的だったのは、小学生たちが解体シーンを見学するところで、先生たちは「小学生たちの意思を尊重して参加させている」ところだろう
そこで「かわいそう」と呟く子どもたちも真剣にその様子を眺め、そして「かわいそうだけど、肉は美味しい」という素直な言葉を残していく
動物から命をいただくことを真剣に捉え、無駄に捨てることがないように全てを享受する姿は、フードロスがどうのとモニターの向こうで鍔迫り合いをしていることを思えば、それらがいかに偽善的で軽薄なもので在るかがわかってしまうように思えた
個人的には、「概念としての地球にとっての癌細胞」が「現実的に思える」と紡がれる言葉が印象的で、これは劇中で登場する登山家・服部文祥の言葉でもある
他にも元猟師のフジナミという老人から学ぶ、「熊などが人間の世界に降りてくる理由」なども新鮮な情報で、いかに本質に向き合わない議論がメディアを覆い尽くしているのかがわかる
動物愛護団体が見たら発狂する内容だし、ファッション・ヴィーガンの人たちも卒倒すると思うが、このあたりのガチな議論をするベースとしては、新鮮かつ意味のある燃料投下のようにも思える
「森の中で死んで、そのまま動物や虫に食べられて朽ちていきたい」という東出の言葉は印象的で、命の循環の中にある一瞬を与えられていることの意味というものは大きいように感じた
いずれにせよ、普段はドキュメンタリーを見ないのだが、俳優がガチの狩猟で生きているということに興味が湧いて鑑賞した
映画の中で見る東出昌大、メディアで報道される東出昌大、そのどちらからもかけ離れた存在であるものの、その露出した部分の根幹にあるものは違わないように思える
音楽をMOROHAが担当し、その叫びも重なっていくのだが、現代社会に生き抜く上では避けて通れない問題を描いているのだな、と感じた
圧倒的な臨場感!
平日の夜の部だが8割の入りですごい。序盤から圧倒的な臨場感で画面に釘付けとなる。生と死と命。ドキュメンタリー映画としては87年の「ゆきゆきて神軍」を初めて観た時以来の衝撃でした。そして人としての東出昌大の存在感がものすごい。この前の福田村事件の時の芝居も素晴らしかったですし、今回はご本人のドキュメンタリーということで過去にいろんな報道などありましたが個人的にはすごく大好きになりました。圧倒的な映像、大自然、地元の人達や週刊誌との付き合い方、俳優という仕事への向き合い、家族などの話など。MOROHAの音楽も作品にとても合っていて、とにかく素晴らしい作品です。
謙さんもお忍びで山小屋を訪れる気がする・・・・
上映してる劇場は大阪と神戸で、時間的に行けるのは神戸元町ですが・・・
事前にネットでチケット買えない座席確保も出来ない元町劇場は、行く道中のストレス半端ない(-。-;
俗に言う不貞行為で、大バッシングを受けた俳優・東出昌大狩猟生活ドキュメンタリー
同じような事をしてても彼のように叩かれない人もいる芸能界の不思議!?
私的には、時折見せる彼の憑依的な演技は嫌いじゃないだけに、スクリーンから消えないで欲しいと思ってました。
信用を失い苦境に立ちながらも生きる居場所を見つけて、懸命に生きようとする姿に引きつけられる人達がいるからこそ、世に出た映像の数々は、ショッキングな映像も多いので、簡単にオススメは出来ませんが・・・
日本以外でも評価されると思う想像以上のドキュメンタリー!!
彼と対峙する人々が、己の生き方を貫いて人達なので、台詞ではない会話がリアルで、ラップグループ「MOROHA」渾身の叫びが、心に響く
ココからは妄想ですが・・・
彼を決して責める事の出来ない元義理の父が、この作品観たら、あの山小屋に来るような気がするし・・・
お子さん達もいずれ自分の意思で、父を訪ねて来るでしょう。
そんなWILL 2と3は、映像にならなくてもきっとある。
生々しい狩猟のシーン。。。俳優 東出が世間で叩かれ、狩猟で救われる。
猟師の師匠がまた アクの強い男。自信にあふれ哲学的。
私生活でマスコミに叩かれ、離婚し事務所も辞めた。
不眠になり薬や酒が無いと寝れない生活。
そんな中でも役者の仕事には打ち込む。
鹿を撃ち殺し 猪を撃ち殺し、内臓を出して革を剥ぎ、
血みどろになって解体し、そして食べる。
リアルな感触を通じて、変化していく一介の男、東出。
2024 自分の中の暫定1位
東出の魅力が溢れる
週刊誌、テレビ、ネット記事を通して描かれる歪曲された印象とは異なる、東出の純粋さかつ自然な姿を見せてくれる。この自然さが漁師仲間や周りの人たちに気に入られ可愛がられるのだろう。
狩猟を通して自分自身、生きることの意味など答えの出ないことを考えながらも役者の仕事をする今の感じが合っていそうで良かった。
東出の好感度が上がって来てるのでこのスタイルで役者を続けてほしい!
革命
例の不倫や、撮影現場に女性を連れ込むなどなど、世間を騒がせてきた東出昌大さん。ここ数年はシネコン・ミニシアター問わず様々な作品に出演されており、騒動が起こる前よりも応援したくなったなと思っていたところでのドキュメンタリー、しかも狩猟を交えてという中々異色なドキュメンタリーに惹かれて鑑賞。
狩猟がメインに据えられており、東出くんもしっかり狙撃して鹿を捕らえていました。血抜きのシーンや肉を削ぐシーンも多くあったので、耐性が無い人にはキツいかもしれませんが、こうやって食事が食卓に出てくるんだよなぁと大人になった今しみじみ思います。
東出くんの人の良さがこれでもかと発揮されており、狩猟会の人たちともすぐに打ち解けて、東出会(と呼ばれてる集まり)や作品での繋がりのある俳優陣、そして敵であるはずのマスコミの人ですら仲良くしてしまうという前代未聞な映像が流れていて笑ってしまいました。
その後もちゃっかり仕事に繋げてて、こういう縁を作るのが本当に上手なんだろうなと思いました。
関わる多くの人の言葉がそれぞれ命を持っていて、服部さんの「サザエさん一家のように国民的な家庭をぶち壊したんだからそりゃ責められるよ」という例えは的を得ていて言葉の組み立てが上手いなぁと思いました。
狩猟含め自給自足の生活がメインなので、料理がたくさん出てくるもんですから、腹の虫が鳴きまくっていました。
しっかりと野生の生き物を自分の手で調理して、それに齧り付く東出くんたち。あれはたまりません。
東出くん自身もSNSでの誹謗中傷についてしっかり語ってくれていて、人の粗探しをするくらいなら自分の楽しいことを探せばいいのにっていうセリフはそうだよなぁと共感しまくりでした。
MOROHAの音楽も相まって、フレーズひとつひとつに東出くんの波瀾万丈な人生が詰め込まれているかのようでした。
自身の子供への遺言、そのためのドキュメンタリー。これからも俳優と狩猟、二足の草鞋で生きていく彼を応援し続けたいと思います。カッコよかった。
鑑賞日 2/18
鑑賞時間 19:25〜21:50
座席 E-1
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