港のひかりのレビュー・感想・評価
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“おじさん”と少年の交流。血の通った温かい人情の話だろうと予想はしていました。だけど思っていた以上にグッときて、涙が出たのです。
「正体」で第48回日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した藤井道人監督が、7年ぶりの単独主演作となる舘ひろしを迎えて送るヒューマンドラマ。北陸の港町を舞台に、過去を捨てた元ヤクザの漁師と盲目の少年との⼗数年にわたる絆を描き、数々の名作を手がけてきた撮影監督・木村大作が全編を35ミリフィルムで撮影しました。
盲⽬の少年・幸太役を歌舞伎界の新星・尾上眞秀、成⻑した⻘年・幸太役を眞栄⽥郷敦がそれぞれ演じます。
●ストーリー
日本海を臨む小さな漁村で漁師として日銭を稼ぎながら細々と生活する元ヤクザの三浦(舘ひろし)。
ある日、三浦は通学路で白い杖をついて歩く少年の幸太(尾上眞秀)を見かけます。弱視を患う幸太を、同級生の子どもたちは、わざと転ばせて笑い者にしていました。
幸太は両親をヤクザ絡みの交通事故で亡くし、彼を引き取った叔母はろくに育児もせず、その交際相手からも虐待を受けていました。
事情を知った三浦は、孤独な幸太にどこか自身の姿を重ね、自分の船に乗ってみるかと誘います。
どこにも居場所がなかった者同⼠、2人は年の差を超えた特別な友情を築いていきます。自分のことを“おじさん”と慕い、一人の人間として接してくれた幸太に救われた三浦は、幸太に視力回復の手術を受けさせるため、舎弟の大塚夕斗(ピエール瀧)から情報をもらい、かつて所属していた組の麻薬の取引現場を襲い、金を奪います。そして幸太に一通の手紙を残して自首するのです。
目の手術に成功した幸太は、。遠くへ行ってしまった“おじさん”を見ることなく幸太は孤児院へ入所するのでした。
12年後。出所した三浦は、静かに暮らすことを望み、地方の運転代行業者として働いていました。幸太(成人後・眞栄田郷敦)とは手紙のやり取りは続いており、“おじさん”に会いたいと思いながら、幸太は三浦に憧れて刑事になっていたのです。
そんな中、警察の資料から“おじさん”の正体を知って葛藤する幸太。それでも会いたいと願った幸太は居場所を突き止め、三浦と再会します。しかし、彼らの出会いはかつての因縁を呼び起こしてしまうことに。ヤクザに狙われる三浦と幸太。一人ヤクザに立ち向かう三浦。そして、幸太も”おじさん”のためにヤクザの元へ向かっていくのですー。
●解説
「世代/過去を超える絆」「フィルム撮影」「北陸の港町」という3つの要素が、本作の世界観を支える柱です。特に「35mmフィルム」という選択は、現代のデジタル撮影が主流となった中であえて選ばれた“フィルムならではの質感”を視覚的に観客へ届けようという意図が感じられます。
また、舘ひろしにとっては「俳優人生50年の集大成」と語るほど格別な作品となっており、彼のキャリアを振り返る上でも興味深い作品です。
映画のラストにおいて、血の繋がりがなくとも築ける絆、そして誰かのために生きることの美しさが語られます。三浦が背負ってきた過去と、幸太が歩んできた苦悩は、港町の風景とともに映され、その中で“光”を取り戻していく物語。また、撮影がフィルムで行われたことで、海・漁船・港の情景が持つ質感がよりリアルに、そして詩的に観客に届けられます。
本作のもう一つの魅力は、ロケーションと撮影技法にあります。
北陸の港町としての能登・富山撮影は能登半島・富山県を中心に行われ、実際に起きた「能登半島地震」後の海の変化も映像に取り込まれています。
具体的には、漁港・朝市通り・海の風景がドラマの背景として機能し、そこに人生のうねりが交差します。特筆すべきはこの能登朝市通りの情景です。実はこのシーンは地震が起こるわずか9日前に撮影された、当時を忍ぶ貴重な映像となりました。
撮影監督・木村大作が全編35mmフィルムで撮影を行ったという点も注目です。現代はデジタル撮影が主流ですが、フィルムには“粒状感”“光と影の表現”“風景の深み”といった質が宿ります。まさに映画として“焼き付けられた世界”を観客に届ける意図が感じられます。
木村撮影監督特有の水平線に雲間から光が差す光景や真っ赤な夕日が落ちる光景が、作品の間を作り、作品の“港町”“海”“漁船”“時間の流れ”というテーマを盛り上げていました。
●感想
さすがの東映作品でも、ヤクザが復讐のため、日本刀かざして一人で切り込みに行くという三浦の過去に起こしたエピソードは描かれません。こんなに義理人情に厚い役柄にどハマりするのは、はやり高倉健の役どころでしょう。
三浦を演じている舘ひろしも、脚本を書いた藤井道人監督も、きっと高倉健を意識せざるを得ないストーリーです。寡黙で過去を背負う男という役柄は共通していますが、さらに本作では、幸太に見せる優しい表情が、舘ひろしの持ち味だと言うべきでしょう。わずかに顔の表情の変化で優しさを伝える舘ひろしの演技に泣けてきました。
“おじさん”と少年の交流。血の通った温かい人情の話だろうと予想はしていました。だけど思っていた以上にグッときて、涙が出たのです。
あとヤクザの斎藤工のインパクトがすごかったです。見終わってもあれが誰だったのか気づきませんでした。同じく組長役の椎名桔平の切れっぷりもすごかったです。
また三浦を慕う舎弟役で復帰久しいピエール瀧も、本作では結構見せ場を作ってくれました。寺嶋しのぶの息子である尾上眞秀の映画初出演にもにも注目。なかなかしっかりした演技ぶりでした。
でもやはりなんと言ってもスーツを着こなして、しゅっとした舘さんの様子の良さは、年齢を感じさせない、ダンディぶりでした。
凡庸の極み
驚くほど新鮮味のない、いつかどこかで観たような話である。
定番というものがあり、それを望み楽しむという考えがあるのは理解しているが、それには役者の魅力や演出の工夫は不可欠だ。
看板である舘ひろしは幅の無い平板な演技で魅力がまったく伝わらないし、尾上眞秀君の少年もただの不幸の象徴ぐらいにしか描けていない。
椎名桔平、斎藤工、赤堀雅秋ぐらいは遊び心持ってキャラを作れているが、他の役者陣は軒並み平凡な定番の演技しかしていない。
演出にしても、目の手術後に念願の海を見るシーンの描きかたが、あまりにも普通で怒りを通り越して呆れてしまう。
藤井監督には舘ひろし主演で木村大作撮影ならそれで良しぐらいの考えなのかと疑ってしまう程に失望させられた。
もっとおしゃれに
タイトルなし(ネタバレ)
所々びっくりするというか
え?と冷静に観てしまうシーンがあった
館さんあんまり観てないのもあるだろうけど
初めて良いなぁと思った郷敦さん然り
日本っぽさはとてもすきだった
ベタ映画
試写会にて鑑賞。
鑑賞前に元ヤクザと目の見えない少年の絆の物語とのあらすじを見てストーリーを予想していたが、ほぼ的中。
ベタな展開ではあるが、俳優陣の演技力で最後まで退屈せずに観れました。
少年が同級生から虐められるシーン、家で虐待されるシーン、主人公が現役ヤクザから呼び出されて行くシーンなどはリアリティがなく昭和の映画のような懐かしい感じがした。
港のひかり
試写会当たったので。
『帰ってきたあぶない刑事』で、顔が皺々だった舘さん、若返りが半端なく、メイクの技術たるや恐るべし。
さりながら、凛とした立ち姿、老いを感じません。
で、作品はと言うと。
The昭和。
高倉健様や菅原文太兄に憧れて、映画館を出たら、肩で風切って歩いた諸兄。
刺さりますよ。
かく言う私も、そんな1人です。
なんですが、★が伸びない理由は、序盤で結末まで見えてしまった事です。
何ひとつ予想外が無い。
それが狙いなら、仕方ないです。
逆に言えば、我々世代は安心して観られます。
俳優陣。
斎藤工さん、頭のネジが壊れたチンピラ上り、お見事です。
特筆は椎名桔平さん。
キレっキレの悪役やらせたら、今や天下一品じゃないですかね。
このお二方は、★5です。
骨太な人生ドラマ
ヤクザ役とは
地味に泣ける話
怒怒哀哀。最高にハートフル。
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