港のひかりのレビュー・感想・評価
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誰もが誰かの“ひと筋のひかり”になれる
「正体」で第48回日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した藤井道人監督が、主演に舘ひろしを迎えて送るヒューマンドラマ。7年ぶりの単独主演作となる舘が三浦役を演じ、盲⽬の少年・幸太役を歌舞伎界の新星・尾上眞秀、成⻑した⻘年・幸太役を眞栄⽥郷敦がそれぞれ演じる。
「港のあかり」をひと言でいうなら、
「ひかりを失った少年と彼にひかりを与えた元ヤクザの物語」。
数々の名作を手がけてきた撮影監督・木村大作が、全編を35ミリフィルムで撮影したという港町の風景は、それだけで少しノスタルジックで観るに値する美しさ。潮のにおいがしてきそうな空気感と、冬の光みたいな少し冷たい色合いの中で、寡黙な昭和の男の背中が静かに語り続ける。
“昭和の男の強さ”って、
怒鳴ったり、威圧したりすることじゃなくて、
「自分の感情をぐっと飲み込んででも、守るべきものを守り続けること」
寡黙で口下手、背中で語るタイプの、まさに昭和生まれの父を思い起こさせてくれるような映画でした。
本作で主演を演じたのは、歳を経てなお渋みを増す舘ひろしさん。「危ない刑事」の頃のギラギラしたダンディさは少し影を潜め、限りなく渋く静かな語り口が沁みた。
言葉は少ない。
でも、海を見つめる横顔や、
ふっとタバコに火を点ける手つき、
誰かのために黙って動く背中。
その一つひとつが、
「この人は何を背負ってここまで来たんだろう」と想像させてくる。
物語全体に流れているのは、
男の哀しみと、それでも人を突き放し切れない不器用な優しさ。過去はどうあれ、方法はどうであれ、誰かを守りたいという気持ちはまっすぐで嘘がなかった。
それは生き方を懺悔する気持ちから来てるのかもしれないし、純粋な同情からきているのかもしれない。
だけど思う。
「誰もが誰かのひと筋のひかりになれたら」
「強さ」と「優しさ」は、同居している。
本当に優しい人は、いつだって誰よりも強いものだから。
そう思わせてくれる、“静かな余韻の映画”でした。じっくりと味わう映画がお好きなあなたにオススメの映画です🎬
人はどこまで他人のために犠牲になれるのか。
昨年の日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞された藤井監督と、レジェンド木村大作さんの全編35mmフィルム撮影。昭和と令和の化学反応のような作品で、どこか懐かしく、忘れかけていた、古き良き日本映画を見ることができた。
縦書きのエンドロールすらエモい。
ヤクザものを多く見てきたわけではないけれど、こういうフィクションでのヤクザの義理人情は胸が熱くなる。
舘ひろし演じる三浦の奥深い包み込むような優しい声が、盲目の少年にとってはどれだけ心の支えになっただろう。そして村八分だった三浦にとって、少年のまっすぐな愛情や信頼は、どれだけ救いになっただろう。
ふたりの心のつながりを感じとることができる前半が良い。だからこそ後半からクライマックスにかけてはもう涙がこぼれて仕方がなかった。
出てくる俳優さんたち皆さん良い演技をされるから、ストーリーは正直ベタ展開で斬新さはないかもしれないけれど、とても感動する。
震災前の能登半島の景色もとても美しい。
やり方はどうであれ、三浦が幸太に対してした行動。そして三浦からもらったものを大切にまっすぐ育つ幸太を見て、忘れてはいけない大切なものを思い出させてくれた。
今の時代だからこそ光る良作。
タイトルなし(ネタバレ)
日本海を臨む能登の寒村。
元ヤクザの三浦(舘ひろし)は、新参の漁師として細々と暮らしていた。
ある日、漁の帰りに、同級生からからかわれる白杖の少年(尾上眞秀)を見かける。
少年の名は幸太。
両親を事故で喪い、自身は視力を失った。
いまは自堕落な叔母(MEGUMI)に引き取られている・・・
といったところからはじまる物語。
藤井道人監督には「東映映画が似合う」と以前から思っていたが、木村大作のカメラを得て、令和版『冬の華』とも言える堂々とした東映映画になっていた。
三浦役の舘ひろしが少々歳をくってる感はあるが、40代の俳優では、悲哀などが出ないだろうから致し方ないか。
藤井道人監督、木村大作のカメラを得たので、演出では「音」に力点を置いた。
白杖の地面を叩く音、キーホルダーの鈴の音。
ともに、画よりも先に音を届けていた。
このあたりの演出は、忘れずに記しておく必要があろう。
後半、物語がやや荒っぽく粗くなってくるのだが、そこは目をつむって、満足の一編。
後半残念
前半、子供とのやり取りは良かった。充分、複線は作れたし感動出来た。
泣けるシーンも豊富であった。が、
後半のストーリー展開の雑さは頂けない。三浦の正体や病院に連れて行ってくれた事実を知るシーン等。特に、最後のヤクザとの攻防は突っ込みどころ満載で興ざめ
してしまった。ヤクザ達弱すぎ。エンディングも急に雪景色だし、残りのヤクザ追ってこないし。セリフが響かない。
もったいない。ピエールが薬関係に絡む役どころが好感持てた。
本当の''強さ"とは?
The昭和!骨太作品
前情報なしだったので、
なぜか、高倉健さんの作品をリメイクしたものだと勝手に思って鑑賞したので、
コンタクトレンズの調子が悪かったのもあるのですが、
幸太と船に乗っているシーンの三浦の姿に、
高倉健さんが重なって浮かんできて、びっくりしました。
三浦は、オヤジなき今、幸太がこころのよりどころとなったのでしょうね⋯。
誰かのために生きて、最期は、微笑みながらだったから、彼は本望だったのかな。
映像もストーリーも、The昭和!の骨太の作品でした。
笹野さんの荒川さんが良い味で、ホッコリ。
東映のヤクザ映画、というジャンル
藤井道人監督、木村大作撮影監督というだけで期待して鑑賞。藤井監督は何故かヤクザを描く事が好きなのか、舘ひろし今回2回目の藤井監督作品でヤクザ役、今回は元ヤクザだけど、結局は任侠の世界に生きる人だった。漁師になったとしても格好良すぎ。今任侠道って残ってるのだろうか。暴力団は今ビジネスで稼いでいるイメージだが、キャストの役者達が個性的なメジャーな人も多く、藤井作品に出たい、というメンバーなんだろうと想像。。岡田准一出たかったのだね、ひょっこり現れて笑った。綾野剛も出て来るかと身構えたがさすがに無かった。なかなか強引なストーリー展開ではあるが、東映って感じがして、王道の日本映画は守られていくのだな、と何だか安心した。
河村の親分さん
東映マーク荒磯に波。
ヤクザ映画。
あしながおじさんと街の灯。(先週劇場で街の灯観て号泣してきたばかり)
舘ひろし。
「冬の華」以降の高倉健世代にはたまらない。
木村大作の撮影、岩代太郎の音楽。
映画観た〜って満足感いっぱいで劇場をあとにすることができました。
とってつけたように鈴の付いたキーホルダー買ったから、結末が見えたように思ってたらちょっと使われ方が違ってよかった。
斎藤工は多分自ら好んでこんな役やってるんだろうけど、正統派二枚目の役で主役張ってほしい。
ひらパー兄さんはもう主役か特別出演枠でしか出られなくなってるのがかわいそう。
黒島結菜きれいだったな。
映画だから敵役だけど椎名桔平の役かわいそうだったな、汚れ仕事引き受けて皆んなを食わせてるのに嫌われて。
縦書きで左から右に流れるエンドロール、意外と見やすくてよかった。
個人的に梨園の方々には銀幕の世界に入ってきてほしくないと思っているので(松たか子さんと藤純子さん・おばあちゃんなんだ、は好きです)、子役さんだけが残念だった。一番泣ける、泣くシーンが泣いてるように見えなくて。
兄を持ち運べるサイズにの男の子だったらよかったのに。
映画はその時のその風景を残してくれる。
ゴルフクラブで殴ったら骨砕けるだろうな。
薄味だ
舘ひろしが引退したヤクザで漁師をしている。正義のヤクザで、負の側面が全くない。男の子の義父を殴るくらいしか暴れない。最後拳銃で大暴れするかと思ったら拳銃を置いて膝をついてお願いする。ピエール瀧も全く暴れず大人しいまま死ぬ。
盲人は明かる人が多いと言う。目が見えないうえにいじめにあって、家でもDVでは暗くなるのも仕方がないけど、あまりにベタだ。学校にも通わせられていないし、DVもあるし児童相談所が親身に対応してくれるケースだ。
また、密漁など、漁業はヤクザの利権であることも多く、そういった側面があるかと思ったら全くない。
目の手術で500万は無保険か。子どもは医療費が安く大体520円で診察が受けられるし、高額医療の場合はお金が戻る。医者も含めて無知なのか。
12年の歳月が流れ、ともすれば近未来SFにもなり得るのだけど、時代の流れが描かれない。どこも現代にしか見えない。
東映マークで始まり、任侠ものらしいところや、刑事役の市村正親はどこか鶴田浩二の面影がある。少年役は、藤純子(お竜さん)の孫だし、令和の「東映映画」になった。
陳腐な話と思っていたけど、監督・脚本が藤井道人だったので、ちょっと期待して見てきた。
監督が脚本を書いているだけあって、映像で語ろうとするところがいい。
話はそれほど作り込みは感じなかったが、破綻がなく、滑らかに見入ってしまう(結構無理がある話だけど、気にならずに見入ってしまう)。
カット割や映像はオーソドックス。木村大作のカメラが往年の「駅 STATION」のような映像で楽しませてくれる。(荒れた海などの自然のカットが、フィルムらしい味わいがあり良かった)
鈴のキーホルダーや、黒スーツにワイシャツなど上手く使っている。大人になってからの出会いのシーン、鈴のキーホールダーでの二人のやりとりは泣かせる。ワイシャツの効果としては、ラスト、舘ひろしが殴られながら水をかけられると、ワイシャツが濡れて刺青が透けて見える。そこには、活字(小説)にはない、映画としての醍醐味がある。
ラストの吹雪の中、舘ひろしが濡れたワイシャツのまま熱演するシーン。眞栄田郷敦も良かったけど、何より舘ひろしがいつものカッコよさ以上に、貫禄のある演技を見せてくれる。
東映マークで始まり、任侠ものらしいところや、舘の兄貴分的な刑事役の市村正親は、どこか鶴田浩二の面影があるし、少年役は、藤純子(寺島純子)の孫(寺島しのぶの息子)だし、足長おじさん的な話は「冬の華」を思い出す。令和の「東映映画」になった。
で、ラストのクライマックスは、「レザボア・ドッグス」のような撃ち合いになる。
アクションシーン、銃の発砲シーンは手を抜かずによく出来ている。筋もよくアクションシーンもいい、さすが藤井道人監督。ちょっと古さを感じさせるけど、職人的なうまさを感じさせ、娯楽映画としては一級品だと思う。
倉庫からでるとそこは大雪だった
舘ひろし主演と言う時点であらかじめ諦めてはいたがいろいろ中途半端で残念な作品。何より許せないのはMEGUMIの出番初日に12年後のシーンから先に撮ったこと「むしろ若返ってないか?」という違和感の理由を知り唖然とした。ストーリー自体は悪くないけれど脚本が浅くて無理筋のだめだめでこんなに簡単に自分の人生を投げ出せるほど少年に尽くす「おじさん」の心情がこれっぽちも描かれていない。藤井道人監督が出世作「新聞記者」からずっとタッグを組む河村光庸プロデユーサーが企画に名を連ねてはいるが2022年6月に亡くなられていることを考えるとどこまで脚本や制作に関与しているのかは疑問で撮影監督に木村大作を起用して35㎜で撮ることにどれだけの意味があったのか?もしくは老害によるマイナスの方が大きくないかと勘繰る。メイキングでヤクザ事務所のシーンに即席のクレーンを手作りしているエピソードが紹介されていたけれど老人の自慢話でしかなく本編でその移動ショットが全く無意味であったことを確認しやるせなかった。「名カメラマン」の洗礼を受け藤井監督も自分たちのやり方に確信が持てたのではないだろうか?次回作を楽しみにしたい。
全183件中、1~20件目を表示
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