劇場公開日 2024年4月19日

「「精神統一」縫い目の乱れは、心の乱れ。運針始め!」あまろっく Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「精神統一」縫い目の乱れは、心の乱れ。運針始め!

2024年5月1日
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鑑賞方法:映画館

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関西が舞台のせいか、東京では上映館が少ない。新宿、池袋、銀座各1館のみ。丸の内TOEIで「あまろっく」を。
普段は新宿で観るので丸の内TOEIに来たのは40年振りか?

江口のりこを初めて観たのはTV「時効警察」で、オダギリジョーと麻生久美子の同僚の警察官だった。いつも不機嫌そうな顔をして笑顔なしだった。
そんな江口のりこの不機嫌顔満載?の本作は、笑福亭鶴瓶主演かと思っていたが、義理の娘江口のりこと義理の母親中条あやみの物語だった(逆ではありませんよ)。

優子(江口のりこ)は、京大卒でボート部でも活躍した。会社においても能力は優秀で表彰される位だが協調性に欠け、部下にも厳しく当たるために理不尽にもリストラされてしまう。
家に帰って来れば父・竜太郎(笑福亭鶴瓶)は、玄関に「祝リストラ、おめでとう」という手製の横断幕を出して優子を苛つかせる。優子は就職もせずニートのような生活をして時が過ぎ39歳になる。
母親が亡くなって19年経ち竜太郎は再婚すると言うが、連れて来た再婚相手は二十歳の早希(中条あやみ)だった。
早希は家族団欒を望むが、優子は自分の娘でもおかしくない歳の義母に心を開く事が出来ない。そんな彼女の息抜きは小学校の同級生がやっているおでん屋だった。
そんな時に父竜太郎が悲劇に見舞われる。
少女時代の思い出から家族団欒を望む早希と義母を受け入れられない優子。でも、義母に紹介された見合いの相手が京大時代のボートをやっていた優子を知っていた京大卒のエリート南雲(中林大樹)で、彼の実直さに優子も彼に心を開いて行く。そして遂に彼のプロポーズを受けて一緒にアブダビに行く決心をするのだが…。

出てくる人が皆優しい。チヤランポランだと思った父竜太郎も震災時には他人のために不眠不休で救助にあたる。
他人に厳しかった優子も優しさを見せ、不機嫌顔ばかりだった優子のラストでの笑顔がまぶしい。最後には思いがけない南雲の優しさで映画は終わる。
決して流麗なカメラワークとかではないが尼崎の風景を上手く映し出している。
過去の家族の思い出で時間軸を遡ったりするが、ノーランもこの位にしてくれれば良いのにと思った。
ベテラン工員の佐川満男さんが良い味を出していたが、本作が遺作になった。江口のりこと立派に渡り合った中条あやみも素晴らしかった。
優しさと温かさに満ちたドラマだった。お勧めしたい映画です。

Mr.C.B.2
ふわりさんのコメント
2024年5月2日

こちらこそありがとうございました。
ほんと、高畑さんの場面笑いました。運針やってみようかなと一瞬思いましたよ。
今後ともよろしくお願いします。

ふわり