「Radical」型破りな教室 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Radical
革命的な授業、こういう授業を小学生の時に受けてたらどうなってたんだろうなーって観ながら思いました。
序盤からメキシコの現在の状況を少ないセリフとシーンで見せるのがお見事でした。
車椅子を押す少年はヤングケアラーだと思いますし、麻薬組織が蔓延っていたり、奴隷のように扱われてる人たちと一気に不穏な状況が映され、これがリアルなんだとも突きつけられるのも強烈でした。
ダメダメな教え子たちをエリート教師が立ち直らせていくという感じの構図だと思っていたのですが、子供たちの知識を伸ばす方向にシフトしていくというのが珍しく面白かったです。
学校のお堅い考えを全て変えていくとかではなく、ちょっとおかしいんじゃない?というところを楽しく開拓していくスタイルがとても好みでした。
ボートの推進力や密度などを小難しく説明するのではなく、生徒同士で考えて、人でも実践してみようというフアレス先生の考えが展開されるんですが嫌味なくストレートにこちらにも伝わってくるもんですから小学生の頃を思い出すようなワクワクした授業風景が繰り広げられて楽しかったです。
最初は嫌がっていた校長先生がめっちゃ協力してくれるのもとても良かったです。
パソコンがあったら子供たちは自分たちで学んでいくから導入してほしいという切り口はとても新鮮でした。
現代的に捉えればパソコンやスマホは中毒性のあるものだからむしろ離すべきという考えになってしまうんですが、そういう文化が根付いていない国や国民にとっては便利なもの一つがあれば価値観も変わるんだなとなって感心しっぱなしでした。
子供たちの状況も中々にヘビーなものが多く、貧困もあってゴミ捨て場に住む子もいれば、麻薬組織に勧誘されている子、母親が妊娠しており母親代わりに弟妹たちを育てるといった過酷な状況が提示されるのでグッときましたし、しっかりと育ててもらったんだなと改めて両親に感謝しなきゃだなと思いました。
麻薬組織がいるからこそ日常の身近に潜む"死"がショックを引き起こすというのも中々に辛く、フアレス先生が塞ぎ込んでしまうのも仕方ないと思うのですが、最初にこの学校に来た時の最初の信念を思い出して一念発起する流れ、テストをカンニングに頼らず真っ向勝負で挑む姿勢がもう素晴らしすぎて拍手喝采でした。
希望が微かに見えたラスト、それでも変わらない状況がいる子供たちがい続けているリアルもあるという考えさせられる作品にもなっていたので本当に凄かったです。
その後のキャリアで大成する子もいたりと、フアレス先生の努力と子供たちの努力が実っていったんだなと観ているこちらも嬉しくなりました。
鑑賞日 12/26
鑑賞時間 13:50〜16:00
座席 G-1